@ 脳内モルヒネ、α波が出る鍼灸

(明治国際医療大学のPET画像)
鍼灸治療後、リラックスしてα波が脳全体に広がった画像(右側)
針灸治療を受けるとα波以外に、脳内モルヒネ様物質のエンドルフィンとセロトニンが分泌されます。治療後、「気持ちいい」、「頭がスッキリする」と仰る患者さんが多いです。だから自律神経失調症などが改善する事もあるのだと思います。
A 解毒(デトックス)の鍼灸
肝臓は、人体の化学工場と言われ、解毒作用をはじめ、いろんな働きを行います。そこで、肝臓の解毒作用が鍼灸治療で高まる実験を御紹介します。
名古屋市立大学の渡仲三教授は、ネズミを3群に分けて、それぞれ致死量の肝臓毒である四塩化炭素を与えました。
A群は、毒を与えた後に鍼をしました。
B群は、毒を与える前に鍼をしました。
C群は、何もしませんでした。
C群のネズミは100%死亡して、肝臓の細胞もめちゃくちゃになりました。
鍼をしたA群とB群のネズミは、50%も生き残りました。さらに驚くことに、その生き残ったすべてのネズミの肝臓細胞は正常でした。
鍼で、肝臓の解毒機能を高めるだけでなく、解毒の予防も可能である事を意味しています。
B 頭痛には薬より鍼灸
イギリスの医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに、ハリ治療が慢性頭痛、特に偏頭痛に効果があるとの報告が掲載されました。
アメリカ癌センターなど、アメリカとイギリスの研究者らは、ロンドン周辺在住の初診の慢性頭痛患者401名(18〜65歳)を無作為に2つのグループに分けた。
1つのグループには、3ヶ月間に12回のハリ治療をしました。
もう一つのグループには、通常の医療による治療をしました。
結果、頭痛自己評価法で、ハリ治療グループは34%改善しました。通常医療グループは16%の改善となり、ハリ治療グループの方が2倍以上改善しました。
その後1年間の追跡調査では、ハリ治療グループは、他のグループに比べて年間の頭痛に悩まされる日数が平均22日も少なくなりました。また、頭痛薬の使用も15%少なくなったそうです。
B 腎臓改善の鍼灸
東京衛生学園専門学校の鈴木由紀子先生の研究によると、以下のことがわかりました。人の腰の「腎ゆ」というツボに鍼治療をすると、
A. 尿中 PGE2 排泄量 約8ng → 約33ng と4倍に増量
B. 尿中 ナトリウム排泄量 約210mg → 約800mgと4倍に増量
C. 尿量が4倍に増量
A.「腎ゆ」は、腰痛改善や、腎臓や膀胱の機能改善でよく使います。PGE2 とはプロスタグランジンの事で、腰痛治療で投与されるのは、PGE1です。
鍼灸でプロスタグランジンという血流を改善する物質が4倍増加したので、腰痛や、腎臓や膀胱の機能が改善するのだと思います。又、それは、生殖器官に多くあるので、鍼は不妊症に有効なのかもしれません。
B.尿中のナトリウムの量が4倍増えたという事は、水分を集める性格のナトリウムが多く出されるので、余分な水分も排泄され、むくみや、冷え性の改善につながります。
又、ナトリウムは血圧調整に関係し、血圧を下げるのに有効と考えられます。ですから、鍼治療後、血圧が下がる事がよくあります。
C.おしっこの量が4倍増えるという事は、腎臓の働きが良くなった事を意味し ます。最近膀胱炎、おしっこの出が弱くなったと感じる方は、腎臓の疲労回復
に鍼灸治療は有効です。
「腎ゆ」に鍼をすれば、血流改善し、尿量や尿中のナトリウムが増え、腰痛や 腎臓・膀胱の機能が改善し、むくみ、冷え性、高血圧、不妊症などが改善します。
C 心臓回復に鍼灸
カリフォルニア大学のミドルコーフ准教授は、アメリカ心臓病協会学術集会で重症の心不全を鍼治療が改善させることを報告しました。
ミドルコーフ博士は、鍼治療によって、心不全患者さんの自律神経の中の交感神経の低下が出来れば、心不全の改善につながると考え、治療をしました。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、心拍や血圧なども調整しています。交感神経の興奮は、心拍数や血圧を上げるので、心臓に負担がかかります。 それにより、心不全の患者さんは、交感神経の興奮が弱っている心臓に無理をさせる事になり、不整脈を引き起こしやすいのです。
そこで、同博士の研究グループは、心臓移植の適応となる重症の慢性心不全患者さん14名を3群に分けました。
1群は、ツボに鍼治療をおこなう
2群は、ツボでないところに鍼をする
3群は、鍼をせず、首の後ろの部分を鍼の支持部で叩いただけ
その結果、1群の鍼治療グループでは、交感神経が低下する事が確かめられました。他の2つのグループでは、交感神経の低下は認められなかったです。
鍼治療が、心不全の改善に有効だそうです。
D 癌性疼痛と鍼灸
中国伝統医学の鍼灸治療が頭部や頸部のがん手術後の痛みを大幅に軽減させるとした臨床研究結果が2008年5月31日、米国臨床腫瘍学会で発表された
口、鼻、喉、鼻腔、咽喉などのがん手術後にみられる肩部の動きの低下の改善についても、鍼灸治療は有効だったという。
この臨床研究はニューヨークのスローン・ケタリング記念癌センターが行ったもの 手術あるいは放射線治療から3か月以上を経過したがん患者70人のうち、半数に鍼灸治療を行い、残りの半数には化学療法に加え抗炎症薬を投与する通常の治療を行った。
その結果、4週間で4回の鍼灸治療を受けた患者グループの39%で痛みが軽減し、肩部の動きも改善した。
一方、通常治療を行ったグループでこうした改善がみられたのは7%に過ぎなかったという。
バリー・キャサレス所長は「鍼灸治療が全ての人に有効だとは言わないが、多くの人にとって大きな救いになるはずだ」と期待感を示した。
E 胃腸の鍼灸
鍼灸治療では、古くから胃腸病に効くことがよく知られています。
ウサギの足三里に鍼をし、どのように胃が活動するのか調べた実験があります
鍼治療をしたとたん、胃が活動することがわかりました。
鍼灸治療後、胃腸の活動が良くなり、「お腹が減ってきた」、「胃のむかつきが無くなった」「便秘や下痢が治った」などとおっしゃる方もいます。
また、胃酸過多などで、胸焼けやゲップで困っている方に鍼をすると、働きすぎている胃腸を休めさせることがわかっています。
明治国際医療大学の今井賢治 准教授の胃電図による研究では、お腹の胃のツボに鍼をすると、胃の働きがゆっくりになり、足の胃のツボ鍼をすると、胃の働きが活発になりました。鍼治療により、働きの弱っている胃腸には元気を与え、働き過ぎている胃腸には、休ませる効果があるそうです。
F 白血球が鍼治療では約1.5倍、灸治療では2〜3倍に増加
(原志免太郎博士や青地正徳博士らによる実験によると)
血液は赤血球、白血球などからできています。これらの血液成分のうち、
白血球は外部から侵入した菌やウィルスと戦います。免疫担当です。
体の中に細菌が侵入してくると、血管の外に出て細菌を殺します。
ですから体の中の白血球が充分で、活発である限り、伝染性の病気には
かかりにくいということです。
不思議の世界「鍼」 小川春通より
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