米軍人等による事件・事故 被害者救済 Q&A
2009.4.1再編「米軍人・軍属による事件被害者の会」
Q1 米兵等の引起す事件・事故の数はどれくらいですか?
A 防衛省(旧防衛施設庁)によると、終戦後、日米安保条約の下(1952~現在)、米兵等が引起した事件・事故の総数は約20万件超。但し、この数には沖縄の1972年本土復帰以前の数は含まれておらず、合わせると20万件をはるかに超える恐ろしい数となります。しかも、その約76%は公務外の事件・事故なのです。
また、沖縄県では年間約1000件の事件・事故が発生しています。なんとその90%以上が交通事故です。(沖縄県基地対策室資料)
◆日米安保条約第六条(前半部)
「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設および区域を使用することを許される。…」
Q2 被害者に対する補償はどのように行われるのでしょう?
A 日米安全保障条約に基づく「日米地位協定」にその規定が定められています。第18条5項には米兵等の「公務中」の事件・事故について、同6項には「公務外」について記されています。「公務中」の場合は日本国に損害賠償の責任があると明記されていますが、「公務外」の場合は当事者同士の「示談交渉」が基本となることから、被害者は十分な補償を受けることができない状況です。
◆地位協定の正式名称は…?
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約6条にもとづく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」
(1960.6.23 現安保条約と同時に発効 全28条)
Q3 補償に関する米国及び日本の対応策は…?
A 米国側は、米国内法に基づく「慰謝料(見舞金)制度」を設けています。
◆外国人請求法第2734条(合衆国法典第10条)
しかし、この制度はあくまで米国側による好意的・恩恵的制度であるため、被害者にとって下記のよ うに不十分なものとなっています。
①査定基準が低いため、提示額も極端に低い。(請求額の2割にも満たない)
②手続きと支払いに長時間を要している。(1年以上を要する)
③裁量権は全て米国側にあり、被害者は低額でも従うしかない。
◆米側慰謝料はなぜ低額なの…?
米国政府は、公務外不法行為を犯した米兵に補償能力がない場合、被害者に慰謝料を支払う制度を有しています。 外国人請求法第2734条(合衆国法典第10条)
但し、この制度は請求額の2割にも満たない低額なのが実態です。その理由は、『慰謝料』の語の英語正文は、『ex gratia』であり、この語句は元来『恩恵で』という意味を有しており慰謝料というより見舞金的な性格の補償金を意味しているからだと思われます。
◆示談書
被害者が米側慰謝料を申し込む際、最終的に米国側に対する『示談書』なるものにサインする必要があります。その文面は以下の通りです。
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私は茲に…年…月…日に発生した……に係わる事故又は事件より生じた損害、損失或いは傷害に対する総べての請求を完全に満たす最終的解決として……円也を受取ることに同意し、上記事件から生ずる総べての請求、要求、訴訟及び訴訟の原因となるものから同人、日米両国政府及びその職員、代行者、被用者を永久に免責する。その証として、…年…月…日茲に署名捺印する。
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米国側の国内法に基づく慰謝料制度でありながら、日本政府の免責まで求めています。
◆「民事特別法」第一条
在日米軍人・軍属・被用者が、日本国内においてその職務に関して違法に他人に損害を与えたときは、日本国が損害賠償の責任を負うこととする。
Q4 「公務中」・「公務外」の区別はどのように判断するのですか?
A その判断は米軍側の手中にあります。「公務証明書」なるものは、加害米兵等の直属の指揮官もしくはそれに代わるべき者が発行することができます。言わば、犯人の身内が作る証明書であり、地位協定による裁判権委譲等は米軍側の思うままとなっています。日本側が異議を申立て、日米合同委員会で審議されることもありますが、米軍内部のことに反証することは困難とされています。
●05年度沖縄県包括外部監査報告書では、米軍発行の公務証明書は金科玉条のごとく無条件に鵜呑みする必 要は無いことを指摘しています。
Q5:事件・事故を起こした米兵等がよく逃げ帰ると聞きますが・・・?
A 沖縄、特に本土復帰前では当たり前のような光景でした。1996年、私たち「被害者の会」による4つの裁判でも、事実その内3つが「欠席裁判」であったことからもうかがう窺うことができます。
刑事裁判で実刑判決を受けても被告米兵たちは、除隊して帰国する者、或いは転勤(帰国)して除隊する者、又は通常転勤と称して外地へ移動する者、中には米軍将校に昇進し転勤する者もいます。このような状況下では、刑の執行が着実に行われているのかさえ疑わしいものです。
形はそれぞれ違いますが、いずれにしても罪を犯して行方が分からなくなること自体が問題であり、それを放置している日米当局の責任は重大です。
「米兵等が地位協定下で引起す事件・事故は日本側で処理しろ…!と言わんばかりの米国側の横暴な姿勢と、弱腰で米側に追従するだけの日本側の姿勢は、被害者(国民)にとって腹立たしい限りです。
◆米軍人・軍属受刑者たちの厚遇 = 横須賀刑務所の実態 =
日本で罪を侵し、裁判が確定した米軍人・軍属受刑者は全国から横須賀刑務所に収容されている(女子は栃木刑務所)。日本人受刑者とは違い、ステーキ・フルーツなどが振舞われ、その米軍からの補充食料は受刑者一人当たり年間約1トンにも及ぶ。
平成18年7月現在の収容人数は16名である。
(強盗殺人2・殺人1・強盗致傷6・強姦致傷2・大麻覚醒剤2・強盗1・偽造通貨行使2)
Q6 沖縄で、なぜ米兵等による公務外事件・事故の裁判がなかったのですか?
A 1982年(昭和57年)城間氏殺害事件(公務外事件)が唯一の裁判です。この事件は、ノイローゼでアル中の前歴を持つ米兵が無断で基地を抜け出し、コンクリートブロックで城間氏の頭部を投打、殺害したものです。この事件に対し、国も米軍も何ら法的義務を負わないとする「公務外」措置に納得しなかった遺族が提訴したというものです。結果、米側は判決額の約59%に当たる2416万円の慰謝料支払金額を提示し、当時としては米側慰謝料を引き上げたものとして評価されました。
しかし、極めて不十分な金額であることには間違い有りません。
*米兵を訴えると、被害者にとって訴訟費用と時間が負担となる。
*米兵を訴え勝訴しても、米兵個人に支払能力がなく判決額を取れない。
などが、「被害者の会」の調査と経験から推測することができます。
「米軍人・軍属による事件被害者の会」による4件の公務外裁判
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会員名 事故発生日 刑事判決 民事請求 民事判決 米側支払 日本側補填額
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金城ロシータ母子3名 1996.1.7 禁固2年 6200万 6200万 2500万 3700万
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| 海老原鉄平 1996.2.22 禁固1年 7860万 3663万
556万 3107万
執行猶予4年
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| 喜屋武順子 1996.5.8 禁固6ヶ月 2600万 2600万 425万 2175万
執行猶予3年
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儀保真理子 1995.6.18 禁固1年7ヶ月 7509万 7509万 1340万 6169万
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Q7 なぜ国内法の整備が必要なのですか?
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A 現行地位協定による米兵等の公務外不法行為に対する補償規定が、不平等且つ不十分 であることは周知の事実です。事件が発生するたび「日米地位協定」の改正要求は、沖縄県をはじめ関係自治体、各団体等が叫び続けてきました。しかし、安保を前提とする地位協定の壁は厚く、その改正はおろか運用上の改善という最低限の策にとどまっています。
1996年12月、SACO最終報告で上記規定は地位協定を一部運用改善(下記参照)することで日米が合意しました。
*米国側による前払い制度(慰謝料制度)の迅速な支払手続き
(この制度の利用者は皆無です。)
*日本国による無利子融資制度の導入
(融資額振込みまで約4ヶ月を要しています。)
*裁判による確定判決額について、米側慰謝料との差額を日本政府が穴埋めするよう努力する。
(現在に至るまで6件の適用しかありません。内、4件は被害者の会によるものです。)
しかし、支払うかどうか、又は支払い金額の決定権(地位協定に基づく裁量権)は依然として日米両政府にあるため、被害者は裁判判決額を勝ち取っても、その全額を権利として得ることは不確定なのです。
日常的に発生する事件・事故、その損害を受けた被害者の生活を守るためには、地位協定の改正を待つまでもなく、早急な日本国内法の整備が必要不可欠です。よって、私たち「被害者の会」はその経験に基づき、被害者の保護を目的とした「日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の構成員等による損害賠償法」案の一日も早い特別立法を求めています。
◆法案は、米軍人・軍属が公務外に起した不法行為責任、それらの家族が起した不法行為責任を、一時、日本国が肩代わりして責任を負い、後に米国へ求償し、最終的責任は不法行為者本人にとってもらうことを前提としています。
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