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和坊雑記帳


不思議:和歌山カレー毒物混入事件最高裁判事全員死刑支持

2009.4.22

 平成21年4月21日・最高裁判所第3小法廷の和歌山カレー毒物混入事件の林真須美被告に対する判決によれば、自治会の夏祭りに提供されるカレー鍋に猛毒の亜砒酸を大量に混入し、カレーを食べた住民ら67名を急性ヒ素中毒に罹患させ、内4名を殺害した「カレー毒物混入事件」の被告人がその犯人であることは、(1)カレーに混入された亜ヒ酸と被告人の自宅などから発見され亜ヒ酸が組成上の特徴が同じであること、(2)林被告の頭髪から高濃度ヒ素が検出されており、ヒ素を扱ったと認められる、(3)当日、被告人のみがカレー鍋に亜ヒ酸を入れる機会を有し、また、カレー鍋のふたを開けていたことも目撃されていることなどを総合することによって、林被告が犯人であることに合理的疑いを挟む余地がない程度に証明されている。また、カレー毒物混入事件の犯行動機が解明されていないことは、被告人が同事件の犯人であるとの認定を左右するものではない。との理由で、裁判官5名全員一致の意見で、上告棄却(死刑確定)と判決された。

 1998(平成10)年に起こったこの事件は、林真須美被告の逮捕前から、林被告があたかも新犯人と云わんばかりのメディアの過激な犯人あぶりだし報道合戦によって、その言動から受ける印象は「黒」であったが、取り調べから公判を通じ、林被告は一貫して無罪を主張。しかし、1、2審共に死刑の判決が下された。

 この事件を、仮に来月から始まる裁判員制度の裁判員だったら、どのように判定するのか自問自答すれば、犯罪を立証する直接証拠の無い事案でかつ、被告は一貫して無罪を主張していることを考慮すれば、刑事訴訟法の「疑わしきは罰せず」の定めから、推定無罪を主張せざるを得ないと思っていたが、あに図らんや最高裁は控訴棄却。それも裁判官5人全員一致と云う。

 それも、判決の根拠が、前述の1、2、3の状況証拠。検証すると、(1)の「組成上の特徴の一致したので被告が使用した」の論拠は飛躍以外の何物でもない。(2)の「頭髪から亜ヒ酸が検出された」は、保険金詐欺で使用かつ、自宅内にあったので、頭髪から亜ヒ酸が検出されたからと云って、それが本件の殺人に直接結びつく論拠には乏しい。(3)の「カレー鍋の蓋を開けていた」との目撃証言も、当日の被告の着用していたTシャツは黒色なのに白色と証言する等曖昧さがあり、例え、蓋を開けたのが被告人としても、目撃証言は開けて亜ヒ酸を投入したとの証言ではなく、開いたからと云って、それが亜ヒ酸を投入したと結びつけるには無理があろうと判断するが、どうか。

 また、判決では、本件の動機について「動機が解明されていないことは、被告が犯人であるという認定を左右しない」と一蹴し動機は解明されないままとなった。

 素人判断ながら、人間が人間を捌く裁判に於いて、判決が懲役刑ならいざ知らず、こと極刑の死刑の判決で、被告の犯罪と決めつける直接の物的証拠がなく、犯行動機も解明されず、しかも、判決主旨のなかで被告人が犯人であることに合理的疑いを挟む余地がない「程度」に証明されていると云う曖昧さによる極刑判決に疑問を呈するのは自分だけなのか。

 それ以上に、これだけの疑問があるにも拘わらず、最高裁判事5人の中に疑問を呈する判事がいなかった事に驚きと不思議さを感じた判決だった。
・・・それ故に裁判員制度が必要なのかもネ。

追記


平成16年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し,平成21年5月21日から裁判員制度が始まった。


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