【元文期 十万坪銭 背十の類】
14.元文期 十万坪銭の類 元文元年(1736年) 江戸深川十万坪村 鋳造推定
【元文期 十万坪銭 輪十の類】
鑑定ポイント
@銭体、特に輪側と輪背面が歪んでいないか? → 打圧による変形とその修正痕跡を見る。
A輪横の丸みは自然なものか? → 修正による変形、未修正による歪み、不自然な修正痕はないか?
B刻印形状に不自然さはないか? → 全体の形、凹部分の色と形状、刻印の凸部は滑らかか?新しい傷はないか?
Cごまかしのやすり目、加工のための焼き、着色が入っていないか?
D銭径(内径)が縮んでいないか? → 鋳写し贋造を排除。
なお、この刻印銅銭はネット出品者からまとめて4枚購入したうちの2枚です。譲って戴いた方は正直な方でしたので、贋作の可能性を承知で購入に踏み切りました。馬鹿かもしれませんが、最近贋作の可能性があっても勉強のため購入することがあります。馬鹿ですね、馬鹿・・・、はい・・・。
※ちなみに銅銭以外に鉄銭も購入しましたが、こちらは全部セーフです。鉄銭の贋作はほとんどないと思いますが、私は贋作の疑いの強い(刻印が不自然な)輪十の鉄銭を持っています。
なお、真贋の判断は欲を捨てることに尽きます。欲しいものにとびついたり、自分の持っているものが贋作であって欲しくない思いがあるようではだめですね。私はまだまだだめですが・・・。
輪十場替 贋作銭
無印は雑銭なので場替の贋作は多いと思います。
正規のものは刻印後打といっても、出来上がった通用銭に直接刻印を打つのではなく、母銭の段階で刻印を打ち、輪の歪みなどを修正した後で鋳造を行いますが、贋作銭は通用銭に直接刻印を打つため必ず銭体に歪みや打傷が生じています。また、正規のものは流通していますので、刻印の凸面は角張らず滑らかになっています。一方で刻印の谷の部分は流通の間に汚れや埃が付着し、銭体の地の色と同じに染まっているはずです。新しく刻印を打ったものは当然のことながらこの点も不自然になりやすいのです。ただし、贋作者はあらゆる手法をつかってこれらを隠そうとします。
上段のものは私もかなり迷いましたが、刻印の形状と面背の不自然なやすり目からNGとしました。銭体の歪みはほとんど感じられないのですが、ガラス板上に置くとかすかな歪みが見つかりました。刻印部分はざらついてやや角張り、刻印の形状も少し違います。
下段のものは刻印横の輪側面に砥石による修正が見られます。また背面は砥石で修正したようですが、修正し切れていません。また、刻印を打ちやすくするためか銭に焼きを入れています。刻印形状は浅く扁平です。
虎の尾寛小字
虎の尾寛
含二水永
輪十後打
輪十鋳込
背十
十万坪銭類の拡大図
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含二水永 虎の尾寛 について
いずれも元文期の代表的な書体ですが、十万坪銭とされた根拠が傍証のみなどでやや薄弱です。含二水永については輪十の刻印銭がわずかに一品だけ出現しているだけです。ただ、佐渡銭にも同じ書体が存在するため、比較的中央に近い炉において大量鋳造されたものである・・・とは推定できます。虎の尾寛については小川譜では平野新田銭に編入されているなど、かなり混乱しています。このうち虎の尾寛の本体については鉄銭の存在がありません。また、銅色変化が激しく、存在量の多さから比較的長い期間鋳造された可能性もあります。いずれにしても非常に謎の多い銭貨です。
【評価 9】
無印通上爪文
通上に爪文があるもの。十万坪銭にはこのような鋳だまりによる変化が非常に多い。母銭からの変化であると思われ、兄弟銭も多く鋳工のシークレットマークの可能性もある。ただしあくまでも鋳だまり変化であるので新種として大騒ぎするようなものではないと思う。存在は比較的多い。