仮名称について
ここにつけた仮名称は下掲示する御蔵銭第19号の分類名称を基準に私が設定したものが混じっています。秋田貨幣研究会において提案された新名称に順次変更しておりますのでご了解下さい。(菅原様、資料送付ありがとうございました。)
輪のやすり目
江刺の特徴のひとつ・・・輪側面のやすり目ですが、何度か画像収録を試みたのですがうまく行きませんでした。
粗いやすり目・・・といいましたが、線状痕が粗いのではなく、やすりの当て方が手仕上げ風に何度も当てられている感じのものが多いのです。強いて言えば円空仏のような感じ。もちろん、やすり目は流通によって磨耗しますのではっきり残らないことが多いのですが、銭を傾けて光に当てると輪側面が丸みを帯びた多面体のように光るのが分かります。やすりの方向は面側、背側にもぶれて銭の縁をわずかに削ります。この点は私が浄法寺ではないかとしているものとの違いで、浄法寺は面背側へのやすりぶれはあまりなく、比較的安定した仕上げをしています。これは仕上げの際に銭を重ねてまとめて仕上げをしたか否かの問題ではないかと思います。
大頭通
仮称)正字浮点寛
【はじめに】
江刺銭についての分類研究は川村庄太郎氏が発表し新寛永泉志に掲載されたのがきっかけで古銭界に認知されるようになったそうです。
その後地元の研究家たちの地道な調査により、いくつかの細分類がされるようになりました。第14回のみちのく合同古銭会黒石会場にて配布された資料が有名で、それには江刺銭の兄弟銭が多数取り上げられています。
本来の資料には計測データや解説が掲載されていますが、ここでは拓本を中心に簡略に紹介させて頂きます。
【かんたん解説】
江刺銭には同じ鋳だまりや、瑕を持ったものがよく見つかります。一般的には兄弟銭というべき存在なのですが、その存在率が半端なものではありません。自分の所有品を照合してゆくと意外や意外、次々に符合するものが出てきます。これらの鋳だまりや郭の歪みなどは製造過程で偶然にできたものではなく、鋳だまりなどをもった通用銭から母銭を作成して大量鋳造をしたものと考えられます。半ば計画的なな鋳だまりや歪みであり、存在数から見ても江刺銭は相当力のあった銭座のものであると考えられます。
なお、ここに掲載されているものの銅質には赤いものも相当数含まれていて、浄法寺銭との差異があまりないものもあります。
江刺という地は密鋳銭の銅産地から離れているため、あるいはこの銭貨はもっと北よりの浄法寺付近で鋳造された可能性も残っていると思われます。
その意味では、江刺という名称は改めるべきだという論もあるようです。とはいえ、現段階での江刺銭の研究については、この地元の方々の地道な分類研究に勝るものはありません。鋳造地がどこであれ、密鋳銭は制作技術などの類似点などで分類してゆくしかありませんので、その点でこの研究資料はまさに第一級のものであると思います。
なお、本研究についての記事転載を菅原氏にお願いしたところ快くご了解頂いた上に、資料までお送りいただけるとのこと。また、分類名称については現在、秋田貨幣研究会で検討されたものに順次変更してゆきます。
※矢印や〇囲みが鑑識のポイントですが、制作、やすり目などが江刺として基準適合していることも条件です。もちろん、ここに図示されていない江刺銭はそれこそ多数あります。ご了解下さい。
正字C
資料提供:秋田貨幣研究会
正字C
江刺銭は背11波がほとんどですが、稀にそれ以外のものが見つかるそうです。背21波は努力しだいで入手可能だそうですが、仰寶はかなりの珍品。
一文銭に至ってはまずお目にかかるのも難しいくらい・・・だそうです。
私としたことが、満足なお礼も申し上げておりませんでした。ご協力本当にありがとうございました。