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22.常陸水戸銭 及び 擬似長永銭 のグループ

長永は長門銭、信濃松本銭とならび古寛永において鋳造地がほぼ確定しています。長永はある意味で教科書的な書体であり、これを基準として類似銭の解説を行うのが古寛永分類の近道であると考えます。水戸銭という名称のままでも問題はないのですが、前述の水戸銭としたグループとは書体、制作とも隔たりがあり、信濃松本銭と同様に混乱を避ける意味でも確定鋳地の前に国名をつけることにしました。旧来は書体の類似している長永手、仰永を加えて水戸銭としていましたが、さらに浮永、流永を同じグループに加えてみました。水戸銭と称水戸銭という従来の紛らわしい名称を統合することで分類上の混乱を防ぐことができると考えたからです。もちろん、長永類と浮永類が同じ鋳地であるという確証はありませんし、銅質については黄褐色の多い長永類に対し淡黄色のものから純白に近いものまで存在する仰永、浮永類などこれらの書体が一ヶ所の鋳地でない可能性を示唆しています。従ってこの分類は実験的な作業上のこととご理解頂ければ幸いです。なお、長永を標準銭としてこの書体の系統を引く大字濶永になる銭貨群の分類解説をこの後に展開してゆきます。ただし、差異は微妙で、古寛永が難しいと言われる原因の典型であることをお断りしておきます。(私も勉強しながらの分類です。誤りがありましたらご指摘下さい。)

※谷氏の寛永通寶銭譜では 長永類=水戸銭 に疑義を唱えています。なるほどこの説を発表した中川氏が古銭界を追放されたほどの人物であったことは分かります。捏造の疑いがあるというのもうなづけますが、さりとて他銭座に移す根拠もまた見当たりません。したがいまして現段階では古寛永銭譜の分類のままにこれを残します。

長永、長永手、仰永浮永、流永 に大別されます。

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【評価 8】

狭永削頭尓
狭フ永であり、寶尓が削られている。やはり永字のすその広がりに比べ、永柱が短く感じられるような書体。特有の癖としか表現できないのだが・・・。銅色や背が反郭気味になることなど長永と酷似するのであるいは同炉かもしれない。

【評価 4 】

狭永(本体)
既に解説した通り、常陸水戸銭に移籍しても良いほど類似性が強い。ようやく納得のゆくものを入手できたので画像表示する。文字に独特のうねりが感じられる書体である。

【狭永類】
常陸水戸銭の長永に書体酷似しています。書体もさることながら銅色や背反郭気味になることなど類似点が非常に多く、個人的には同じグループに属させても良いような気がします。

23.吉田銭

吉田銭は大きく分けて狭永、広永の2系統に分類されます。このうち狭永は明らかに常陸水戸銭と同系統の書体であり、分類に苦労させられます。面倒くさがりやの私はいっそのこと統一してしまったら・・・と思うほどです。それでもよく観察すれば分類は可能ですので将来の分類統合をどうするかは研究者にお任せすることにして、いかにこの類の特徴を見抜くかを考えることにしました。(狭永本体が希少で比較サンプルがほとんどないためです。)さらにこの類に類似性のある不知銭の降寶を加えて吉田銭グループとして説明を行います。

主な書体として 狭永 狭永小字 広永 と不知銭の 降寶 に大別されます。

【評価 少】

降寶大様
古寛永銭譜等には掲載されていない珍品。外径は25.3㎜で新寛永の文銭とほぼ同じ大きさなので気づきにくいのだが、古寛永の場合25㎜を超えるサイズのものは意外に少ないのである。

文字大きく、通点、永点が草点気味。永字は扁平で長通である。

明暦浅草銭 大字

不草点からの細字変化で、芝銭細字の前駆銭。通字が扁平で寶後足が短く変化している。

芝銭 不草点細字

通点、永点が草点気味で空豆状。昂フ永で長永に似るが永尾が浮き、寶冠点が冠から離れる。

芝銭 二草点手(細字)

通点、永点が草点になる。永字は洽水点が低いため扁平に見える。ノ画の打ち込みも急。

芝銭 二草点

寛冠開き、寶字俯す。通辵底部が直線的。永字の打ち込みが強い。

高田銭 笹手永

通辵頭が反り返る癖がある。寶前足長く、永尾浮き気味で長い。縮通気味。

坂本銭(不知) 長尾永

寶字はほぼ正立する。通辵頭に爪があるか反り返る癖がある。

坂本銭 正永

寛目寶目小さく、寶字はほぼ正立する。永フ画の払いは短い。寶前足が長い。

坂本銭 高頭通

この手の標準銭。永柱が長く、永字が二等辺三角形を描く。フ画が永柱に接し、永尾が直線的。冾水気味でもある。

長永

寶尓の後点が下がる。長永に似るが永のすその広がりが横方向である。

芝銭 不草点

寶前足が長く、寛後足が郭右に出る。横点永気味になる。流永に似る。

水戸銭 湾柱永

永フ画の横画が短いため、永字のすそがひろがったように見えるのが普通。削頭尓がほとんど。

吉田銭 狭永(削頭尓)

冾水気味でフ画が永柱に接する。永尾が浮き上がり長い。寶字の筆法は浮永と同じで前足が長い。

流永(白銅)

永フ画が柱から離れる。永尾がわずかに浮き波行する。寶貝が大きい。冾水にはならない。

浮永(白銅)

長永と仰永の中間体とのことだが仰フ永、降点通である。永尾は長永より軽く浮く。

長永手(濶縁)

フ画が仰ぐ。フ画が永柱にほぼ接し、冾水気味でもある。永尾は軽く浮きうねる。

仰永(白銅)

長永と不草点類の書体は非常に紛らわしく、寛永通寶専門の収集家でさえしばしば分類を間違えます。そこで代表書体をここに集め、基礎分類の参考として頂きたいと思います。

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【評価 7】
【評価 5】
【評価 9】
【評価 9】

狭永小字(汚頭通刮貝)
通頭に鋳だまり生じているもの。

狭永小字(巨頭通)
通頭の鋳だまりが削られて大きな通頭となっている。

狭永小字(本体)
長永に似ているが濶縁になり、文字が縮小する。寶足は魚尾状に開く傾向がある。この他に汚頭通、巨頭通などの変化がある。当初は分類は容易・・・と、思っていたが本銭を見る限り水戸長永との区別は難しい。たしかに濶縁縮字で魚尾寶気味であるが、なにかしっくりこない・・・。永の形状が気に入らない・・・(もっと洽水気味のはずなのですが・・・)。

狭永小字(削頭通)
通頭の縦画が失われている。寶貝の第2画と5画が接しないので刮貝と呼ばれている。通頭は必ず俯し気味になる。粗銭が多い。

【狭永小字類】
書体的には長永の濶縁小字銭といって良いような存在ですが、制作や金質に隔たりがあります。制作が劣るという意味では狭永本体とも隔たりがあり、次掲の広永類の方にに類似性があります。その意味でこの銭グループの分類にはまだ考察が必要だと思います。

【評価 稀】

流永広郭大様
外径25.56㎜の大様銭。郭も広く堂々とした雰囲気が判るだろうか?

(平成17年銀座コインオークションカタログより)

【評価 稀】

長永手広郭大様
外径25.9㎜。極稀に見つかる大様銭。

(平成17年銀座コインオークションカタログより)

仰永大様広郭
仰永以外、このグループ全体にも存在するのですが、銭径が飛びぬけて大きなものも見つかります。初鋳大様と思われますが存在は稀です。

収集 穴銭入門 古寛永の部より

【仰永類】

【評価 6】
【評価 9】

仰永(白銅銭:長門銭様)
白銅銭で背の仕上げが長門銭に非常に近い。現段階ではなんとも評価しがたいところ。諸賢のご意見をお聞きしたいところである。

仰永(濶縁)
正確には仰フ永である。書体、制作とも長永に非常に似ている。永尾は長永や長永手よりさらに波行する癖がある。長永手よりフ画が短い。

【評価 9】

広永
非常に癖の強い書体である。総じて濶縁のものが多く、永字は扁平ながら両端のすそが気持ちよく広がる。通字、寶字は縦長で通頭扁平の割りに用画長く大きく、寶冠狭く寶足は完全に魚尾状となる。

【広永類】
書体的には全く変化しますが、銅質や制作は狭永小字に類似します。唯一といって良い書体の類似性が寶足の形状でなかでもこの広永ははっきりとした魚尾寶になります。

【評価 8】
【評価 8】

降寶(濶縁狭穿)
上図の狭穿になるもの。雰囲気だけならば鳥越銭に似ている。

降寶(広穿)
永フの横画が極端に短く、永字がアンバランスである。寶足は魚尾状にはならない。筆法は上掲の広永に類似性があり、古寛永泉志では同一筆者との見解を示唆している。ただし、制作や銅質に小異があり、同炉とするのには今ひとつの感があるが、分類上この籍を借りておき、後の研究を待つこととする。

【降寶類】
書体的類似性から同じグループとしましたが、制作的にはもう少し時代が後になるような気がします。制作の雰囲気は鳥越銭に酷似していますので、いずれ再考が必要になると思います。

【流永類】

【評価 5】
【評価 8】

流永(濶縁縮字)
本銭は銅色こそ黒茶褐色であるが背の形成は長門銭のようであるし、書風は井之宮の縮寛濶縁のようである。間違いなく流永の書体を踏襲しているが銭容は全く違う。雑銭であろうが私の好きな一品である。

流永
永尾が浮き上がるのは浮永と同じ癖だが、永字が洽水で長く尾を引く。

【浮永類】

【評価 7】
【評価 8】

浮永(背濶縁広郭)
背輪が太く、郭も立派である。逆に背輪が細くなるものも存在する。両方とも存在はやや少ない。

浮永
書風は長永に酷似して永字縦長だが冾水にならない。そのため永字の左右のバランスが崩れ、右のはらいが浮き上がるように見えることから命名されている。永フ画は柱から少し離れる。細字であるが幾分文字の太細が目立ち文字も大きい。銅質は黄褐色~白銅色と幅広い。

【長永手類】

【評価 6】

長永手濶縁
長永手は長永と仰永の中間体。永フ画がわずかに仰ぐが仰永ほどでもない。また必ず降点通になっている。永尾は長永ほど直線的ではない。掲示品は白銅質で長門様と呼ばれる背の形状である。濶縁は輪幅が広くやや縮字になっているもの。確かに長永には類似しているのであろうが、銅質や制作に少し差があると思う。

【評価 8】

長永手
長永と仰永の中間体。個人的には仰永降点通で良いと思う。

【擬似長永銭のグループ】
以下の銭貨群は長永に書体の類似している一群で、古寛永泉志では仰永と長永手を鋳地確定銭の中に組み込んでいました。ところがこれらの一群の制作は長永とは少々異なります。その最たるものが銅質と背郭の形成で、以下のものには長門銭と見まごうようなものが散見されるのです。そのためあえてグループを分離して掲示します。なお、個人的な見解ですが長永手、仰永、浮永、流永はその書体から同じ鋳造地であるのはほぼ確実だと思います。

→ 二草点

→ 不草点

→ 吉田銭

→ 二草点手

長永大字
長永系の大珍品です。通頭の形状が長永の系統そのものですが、永字は浮永類に近似しています。あるいは長永手系または仰永系の細縁大字なのかもしれません。

収集 穴銭入門 古寛永の部より

【評価 8】
長永(狭足寛広郭)
寛前足が短い。寶貝の第一画と第五画が必ず開く。
【評価 6】
長永(狭寛背反郭大様)
掲示品は外径25㎜のやや大様銭。狭寛は微差であるが寛目が狭く、フ画の位置が下がってより洽水気味に見える。また背反郭が基本である。吉田銭との類似性が特に高い書体である。

【評価 9】

長永(本体)
収集誌で吉田狭永本体として入手したものであるが長永本体であると断定した。それだけ吉田銭との差異は微妙で、同炉銭としても差し支えないレベルにあると思う。永フ、永尾がわずかに屈曲するも直線的。文字やや細く、永字の洽水点が柱の上方に位置しているため縦長に見える。永字の左右の振分が均等でフ画が柱に接する。永字で二等辺三角形を描いている感じ。吉田銭の狭永本体に非常に似ているが、永フ画の横引きが長い。その他の違いは非常に微妙。寶尓の第1画は寶冠に密着する。本体以外の吉田銭は削頭尓になるので区別は容易である。銅色は黄褐色~淡褐色。
【評価 9】

長永(濶字)
濶字というより濶縁小字である。書風は似ているが永字と通字はやや背が低く、永尾が波行するので全く別者といった印象がある。また寛尾が高く跳ねる。この銭は芝銭の不草点類と間違えやすい書体である。あるいは銭籍を移動したほうが良いのかもしれない。内径が小さく文字縮小し、進冠寛でもある。

【評価 9】

長永(広郭)
長永には広郭になるものが存在する。その初出のものは大様になり、かなり珍しい存在である。

【長永類】

特徴:書体細く大きく、特に永字が縦長で冾水気味である。この掲示以降の大字長永書体の基準銭とする。