萩(曳尾)
曳尾の極印はほとんど不鮮明。これはやっと撮影できたもの。全体の形状は薩摩広郭に似ているものの葉脈が急角度でヘの字を描いているようです。横葉脈は中央の柱に接していません。葉の下部もやや尖っています。

萩(平通:笹葉型)
曳尾と違い丁寧に打たれた感じがします。はじめは曳尾に似てない・・・と思ったのですが良く見ると似ていますね。この極印は葉脈がとても太く笹の葉状です。中央の柱も太く横葉脈の上に乗る感じで立派です。

薩摩(広郭:三角耳カブト型)
大量生産なのでタイプはいくつかあると思いますが、比較的デザインはこじんまりまとまっています。打刻はややいい加減で、側面からはずれたり二つ打ちになったもの、打ち損じもあるようです。

会津(長貝寶:菱の実型)
上下部の尖りが強調された三角形の小さな極印。この極印は上下さかさまに打たれていました。極印の打ち方について厳密な規格統制が本座のようには行われていなかったようです。サンプル数は2枚しかありませんが極印はきれいに葉脈まで観察できました。

秋田(広長郭)
小桐タイプか?あるいは破損極印?手持ち品は極印の上下さえ良く分からない状態でした。
水戸(遒勁)
末広がりですわりが良く堂々とした極印が深く打たれています。オーソドックスですが葉脈に太細はなく、下部方向に大きく長くカーブします。。
盛岡(銅山手)
手持ち品に明瞭なものがなく、あくまでも参考。画像で見る限りオーソドックスな形状に見えますが、破損・磨耗のため良く分かりません。
会津(短貝寶)
粗製乱造だったのか手持ち品の短貝寶は磨耗していて、葉脈が見えません。短貝寶の極印はダビデの星に似てやはり三角形を2つ組み合わせたような形状です。私は会津の極印はこじんまりして小さいというイメージがあります。
琉球通寶小字(桐極印)
琉球通寶の桐極印。広郭に良く似ています。

本座(大型桐:磨耗?)
深く打ち込まれていますが極印が磨耗してしまって脇の花がはっきり見えません。本座の極印は権威の象徴なので、側面幅の中央に正しく打たれるものが多く、逆打ちは滅多にありません。極印が大きくなるほど下部幅が広がる傾向にあり、上と同様に葉脈に太細が見られますが、横葉脈は一筆書き状(三ケ月状)です。
このように極印は破損が激しかったようで様々なタイプが見られます。
本座(小型桐)
大量生産なので本座の極印は大小様々なものがあると思いますが、これは比較的小型のタイプ。葉脈はゆるやかに弧を描き、葉の下部は豊かなふくらみを見せ、もっとも桐らしいデザインです。

桐極印の形状と名称(仮)
桐極印について、おおざっぱな形状説明と部分の名称付けをします。
なお、各部分の名称は正式なものではなく、私が説明用に名づけたものです。
※桐紋は金座後藤家が、家紋の五三の桐を簡略にデザイン化したものです。凹部で紋の外周・・・3枚の葉と左右の花序を、凸部は葉脈と主花序の芯をあらわしています。
極印は破損しやすく、左右の花序部分はとくに失われやすかったようです。また、凹部の中にある葉脈も打刻の具合や、側面の状態(磨耗など)によって良く見えないものがかなりあります。極印によっては主葉脈の頂点に玉のあるものがあり、花序や葉の形状も丸いものから尖ったものまで形状は様々です。なお、極印が横打ち、逆打ちされる例が多く見られますが、掲載画像では花序が上で左右の葉脈先端が下がる方向が正しいものとしました。
はじめに・・・
天保銭の桐極印は一部の品種を除いてあまり注目されていません。と、いうのも極印はあまりに小さく、打ちそこないも多いからで、いわゆる質の均一性にかけるため、収集界ではあくまでも補助観察的な存在になってしまっています。
その一方で、流通当時の極印の持つ意味は大きく、無極印は撰銭(受け取り拒絶)の対象になったようですし、本座の鋳銭工の地位も極印職人が最も高かったという記録もあるようです。
極印に注目してやろう・・・と、思い立ったのは良いのですが、なにせサンプル数が不十分。また、極印は金属に打刻するので、磨耗や破損が多く見られ、おまけに打ちそこない、打ち漏れ、横打ち、逆打ち、上下不可解などの要因にやはり悩まされました。したがってここに掲示するのはあくまでもこのような形状のものがあるという意味程度・・・絶対的な分類ポイントではありません。
細郭手(お花型)
子桐極印の上に孫桐極印が乗っかっています。まるでお花が咲いたような可憐な形状ですが葉脈は確認できません。
長郭手(UFO型)
ここまで省略されると気持ちいいですね。大きな凹みの中央にUFOがぽっかり浮かんでいます。笠型とか半月型とか呼称してもよかったのですが、横文字で決めてみました。
細郭手(三又槍型)
海の神ポセイドンの持つ伝説の武器(トライデント)の先の形。
細郭手(ハート十字型)
良く見えませんが全体に凹んだ形がハートマーク形状で中央に十字架があるようなデザインになっています。
ミッキーマウス型極印のイメージ図
写真写りが悪いためいまひとつかもしれませんが左図のような形をしています。変形極印の中でもとても目立ちます。アダムスキー型円盤にも見えますね。
細郭手(ミッキーマウス型)
ナスのヘタ状の凹みの下に大きな凸玉、その下にリンゴマーク状の凹み・・・ひっくり返すとミッキーマウス・・・というより読売新聞のキャラクター『ダッチ君』みたいです。当然ながら左右とも同じ極印で、桐以外を意識してデザインしたのではないでしょうか?
中央分離型極印のイメージ図
長郭手(中央分離トの字型)
太い柱が極印の中央をずばっと左右に2分しています。柱のやや上部から2本の枝が左右に広がります。
細郭手(動物型)
葉脈らしきものはしっかりあるのですが、外輪形状と一致していません。外輪はクマみたいです。おそらく右下にも花房の部分があったのではないでしょうか?
長郭手(俯頭通)
本座の大型タイプに似ていますが横に扁平で葉脈が上部に長く突き抜けています。脇花もしっかりあります。本座の大型桐極印に良く似た形状ながら、葉の部分の表現(葉脈周囲の余白)がほとんど見られません。
細郭手(容弱)
極印としては最小クラスながらしっかり打ち込まれています。それにしても小さいですね。
水戸(濶字退貝寶:上部肥大型)
粗い極印打ちのようでおおよその形状しか確認できません。大字短足寶の極印の撮影も試みたのですが、いずれも満足のゆく画像は撮れませんでした。この画像で判断する限りは繊字に下部は似ていますが上部の花序部分が極端に大きいように感じます。
※短足寶の極印形状は少し変わっているように感じました。
玉持ち極印のイメージ図
仔細観察するとやはり桐の形状になっていると思われます。当百銭カタログなどのイラストは花序が省略されていて180°倒置だと思います。とはいえ私もこれしかサンプルを持っていませんので大きなことは言えません。
福岡離郭(玉持ち極印)
やや右に傾いて打たれているので見づらいかもしれませんが太目の葉脈の頂に丸い玉があります。この極印は中濶縁のタイプ(次鋳)にのみ散見されるようです。

六角小桐極印のイメージ図
名称は私のつけた仮称です。この形状の極印は離郭には比較的良く見られるものだと思います。花序と葉の大きさがほぼ同じで六方向に飛び出します。

久留米(背異替:石持ち桐極印)
今回の撮影で偶然発見したもの。高倍率のスキャナー撮影でなかったら見落としていました。背異替の石持極印は少ないと聞いていましたのでちょっぴりうれしい。ただし、実は存在が少ないというよりも確認できる状態の良い個体数が少ないといったほうが正しいかもしれません。
秋田(細郭:星型)
やや直線的で角のしっかりある形状極印が深く打たれています。
福岡離郭(普通桐:カブト型)
離郭の極印は個性豊かですが、これはオーソドックスな普通桐タイプ。本座に似ていますが葉脈に太細がありません。なお、極印の打ち方はさまざまで破損印や打ち損じも多く見られ、あわてて大量生産した雰囲気が伝わります。
秋田(小様:フジツボ型)
ふくよかなチューリップ型、あるいはフジツボ型?。これを見る限りこの座と上のものが同炉だとは思えないのですが・・・。
薩摩(広穿長尾通:尖り桐型)
初期の薩摩は直線的でとげとげしく鋭い桐極印・・・まるで折り紙の兜のようです。こちらのサンプル画像は二つ打ちになってしまったもの。

また、この極印は左右の葉の先端が尖っています。子供の頃、ウルトラQで見たカネゴンをほうふつとさせる形・・・なつかしいです。
水戸(繊字:下部尖り型)
水戸銭は極印がはっきりしないものが多くスキャナーで読んでも穴ぼこにしか見えないものばかりです。この繊字も極印が破損しているのか上部の花序部分がほぼ失われています。下部の尖りが鋭く大きい特徴があり、石持ち桐極印とは大きな隔たりがあります。
下左 土佐(称:南部民鋳赤銅質)
下中 土佐(額輪肥字濶縁)
下右 土佐(額輪小様)
額輪の肥郭(覆輪タイプ)の赤銅銭。この手のものは極印がつぶれたものがほとんどながら、これは形が良く保存されていました。小ぶりながらしっかり尖った桐です。ただし、ここまで良く見えるのは稀かもしれません。肥字系は葉脈ばかりで葉の余白部分がほとんどないようです。

土佐(額輪本体)
イメージとしては小さめの極印がガツンと深く打たれている感じ。本体の極印は本当に小さい。
※以前掲載していた画像は誤りでしたので差し替えます。