日本の品質管理の原点がここにある。
脚本や関連資料を読んで二宮金次郎は大変な人であることを発見しました。
戦後から20世紀後半にかけて資源のない日本は世界に追いつき追い越せとどん底から世界の経済大国に成長しました。なにがこうさせたのか振り返ってみると、皆が知恵を絞ってもの作りに邁進したことでしょう。「良いものを安く作ろう」を合言葉に努力した結果であることは間違いありません。この根幹をなすのが品質管理システムの構築であったのではないでしょうか。不具合はなにか、その原因はなにか、皆で改善案を考え、実行し、不具合が再発しないように歯止めをかけるPlan−Do−Check−Actionを実行したことである。これがエズラ・ボーゲル先生をして日本アズナンバーワンといわせたTQCという全社的品質管理です。
二宮金次郎の改革、改善の跡を調べてみると見事にこれを実践しているのです。まず、第一にやったことは、不具合は何か、事実を徹底的に調べあげる。財政再建も、災害、米作りすべて同じです。いつの時代にも改革をしようとすると、既得権を持つ抵抗勢力が反対し改革が頓挫するのが常です。金次郎は常に現場にあって、どこの田んぼで、どうした作り方をして、どれだけ取れて、できばえはと、データを集め、農民たちと一緒に不具合を解決する案を考え出しているのです。江戸時代でよくこれだけの科学的手法を考え出したと感嘆します。そして長期の目標と戦略を入れた計画書を作り、実践して効果をあげ、民衆の人望を築き上げています。そして「日光仕法ひながた」という手引書は改革の標準化です。まさに全社的品実管理をやっていたと言えるのではないでしょうか。
いま、世の中の不具合は何なのでしょうか。新聞紙上では年金、医療制度で大騒ぎになっています。しかし、私たちは国債発行で700兆円を越える膨大な借金を作りました、次の世代の人が返さねばならないのです。今こそ本当に世直しが求められています。それに加えて本腰を入れてやらなければならないのは教育改革ではないでしょうか。温暖化でも大騒ぎになっています。300年で3度上昇し、CO2濃度が3%になるといわれていますが、温暖化では人間は死なないのです。しかしCO2の濃度が3%になりますと、人間は生きていけないのです。いまこそ空気中に排出されたCO2を人間が必要とする資源に戻すことと、安全なエネルギーの確保を考えなければなりません。科学者は総力をあげてこの研究に没頭する必要があり、科学者を育成する教育が最も求められている時代ではないでしょうか。金次郎が江戸時代にやったように教育を施し、人材を育成しなければならないのです。ここに金次郎の現代における存在意義があると思います。

二宮金次郎の存在意義
中沼 尚 の意見