終焉の詩〜天から堕ちし神〜
序章
暗い。
誰も居ない暗い空間で彼は降誕した。周囲には誰の姿もない。父も、母の姿すら。ただ暗闇が彼の周囲に纏わり付き、彼の視界を永遠と閉ざしていた。
彼は暗闇を振りほどこうとしてもがいた。しかしそもそも自分が瞼を開いているのか、暗闇の外に本当に彩られた世界が広がっているのかすらも、彼には判らない。暗闇は水に濡れた衣服のように彼に纏わり続ける。
判らない。何も判らない。本当に、自分が生まれたのかさえ。
彼は記憶を手繰り寄せようとした。既に生まれていたのであればあるはずのものだ。しかし見つからない。それでも生まれたばかりの赤子のように無の状態ではなかった。
だから彼はまた判らなくなる。生まれたのか、生まれていたのか、生まれていないのか……。
それを思案しているうちに彼は気づいた。
「俺は、死んだのかもしれない」