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白虎と青龍 天平を駆け抜けた真成と真備




白虎と青龍は、文明国家日本の誕生の為に、命を擲って海を渡った、

養老の遣唐留学生、井真成と吉備真備の物語です。


井真成の詳しい情報は、井真成市民研究会のホームをご覧下さい。


井真成 墓碑
二〇〇四年四月、西安郊外で発見された

井真成の墓誌。

概要


 
西暦二千四年、西安郊外で遣唐留学生の墓碑が発見されました。
墓碑に曰く、
尚衣奉御を追捕された井公の墓誌の文、序と併せる。
公は姓は井(せい)、字(あざな)は真成(しんせい)、国は日本と号し、
才は生まれながらに優れてい た。
命を受けて遠国へ派遣され、中国に馬を走らせ訪れ、中国の礼儀
教養を身につけ、中国の風俗に同化した。

墓碑には中国名井真成と日本という国名が刻まれていました。日本という国号が記された最古の文献です。

この物語は、西暦七百三十六年、留学先の長安で志し半ばで客死した井真成と、
同期留学生吉備真備を主人公にした歴史小説です。

 白虎と青龍 プロローグ

 遥かなる昔、
 日本が中華の国から蛮夷と蔑まされていた頃、
 官吏を養成する最高の教育機関、大学寮開闢(かいびゃく)以来の俊英と噂される二人の若者がいた。
 一人は下道朝臣真備(しもつみちのあそんまきび)、静かに瞑想してその時を待つかのごとくの真備を、都の人々は青龍に喩えた。いま一人は白猪史真成(しらいのふひとまなり)、貪欲に獲物を求めるかのごとくに走り回る真成、人々は云う、白虎の真成。
 共に地方豪族の出でありながら一身に期待を集める二人。成人した暁には、必ずや平城京師(ならのみやこ)、大和朝廷東西の守護神になるに違いない。と…

「藤三娘(とうさんじょ)と知っての狼藉であるか!」
 ただならぬ声に、雪の竜田道を走り出す真成。

 二十人程の賊徒が、五人の家臣が守る若い娘を取り囲んでじりじりと迫っていた。
 ザッザッザッザッ! 雪を踏みしめて走る音が聞こえ、黒い影が疾風の如く走り込んで来た。
「藤家(とうけ)の女性とお見受けした、御助成致す!」
 真成が囲みを破って斬りこんで来た。
 娘めがけて十数本の松明が投げられ、雪の上に転がった。
 松明が若者と娘を照らし、灯りの下でお互いが顔を見合わせた。
「なんと爽やかな若者!」
「まるで観音菩薩のような、こんな気高い娘がこの世にいるとは!」
 その瞬間、二人はお互いをこう思った。
 その娘は侍女から大学寮の白虎、真成である事を知らされたが、真成には藤原某(なにがし)かの三娘である事しか分からなかった。


本書『白虎と青龍』には脚注などはあえて入れませんでした。
本書を読んで、何か疑問点や質問、知りたいことが有ればメール
ご連絡下さい。可能な限りお応え致します。


例えば、
   Q 「高梓は実在の人物ですか?」
   A 「いいえ、しかし梓の長男高内弓は実在の人物です。続日本紀に
      二度ほど出てきます」
   Q 「戒融は天平の甍に出てくる戒融と同一人物ですか?」
   A 「はい、筑紫の僧侶としか分かりません。渡唐して三十年後
     渤海経由で内弓と共に帰国しますが、その後の消息は不明です。
     二人の物語は第四部で取り上げる予定です」


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