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モーツァルトの不思議なオペラ

『魔笛』の謎?


 魔笛はモーツアルトの最高傑作と称されながら名演奏・名舞台の少ないオペラです。
その謎に迫ってみます。
 魔笛の謎といえば、誰もが三つの試練、三人の侍女、三人の童子、などにかかわる
フりーメンソーの事だとお思いでしようが、日本人の私に分かりませんし、語る資格も
有りません。ここで言う謎というのは、冒頭で指摘したように、最高傑作で有りながら、
極端に名演奏が少ないんです。オペラの重要な要素は、指揮者、オーケストラ、合唱団、
歌手陣、演出(美術・衣装も含めた)ですが、二つ位の要素が90点だったとしても、必ず
50点以下の部分が出てしまいます。それだけモーツアルトが偉大で、魔笛の上演は難
しいという事なんでしようね。
 私が観たり聞いたりした数少ない魔笛(それでも十数個にはなります)では殆ど演出
で躓いていました。
 私が最初に感動した魔笛は、もう30年以上前になりますが、イングマール・ベルイマン
の映画でした。ベルイマンに心酔していた私は胸をときめかせて、岩波ホールの座席に
いました。いよいよ序曲が始まりました。わたしはそこで初めて、この序曲が名曲だと
言うことに気付かされました。すでにベルイマンの魔術が始まっていたのです。カメラは
序曲の間中観客のアップを追い続け、たびたび可愛らしい少女の顔を映し出します。
希望に胸をときめかせて目を輝かせる少女。私はその顔を未だにはっきりと覚えてい
ます。死ぬまで忘れないでしょう。
 以来、私は魔笛を観ると、どうしてもベルイマンと比べてしまい、満足した事が有りま
せん。大蛇が気に入らなかったり、魔笛に併せて縫いぐるみが踊るのが馬鹿馬鹿しく
なったり、ザラストロが崇高過ぎたり、夜の女王の悲鳴に悩まされたりしました。
 そして去年、ケネス・プラナーの魔笛を観てまた感動しました。不思議なことにこれも
映画ですよね。この作品でもまたまた序曲、奇跡の和音とともに映像がフェードインし、
空と雲と蝶、渡り鳥や兎、そこへ戦争の不安が忍び寄ってきます。驚いた事に、序曲
の間中ワンカットの移動撮影で通してしまいました。このプロローグだけで十分です。
後は観ないでもいいとさえ、その時は思いました。
 観る前、私はどうせ期待はずれだろうがとりあえず観てみようか、という軽い気持ちで
したが、本当に期待を外されてしまいました。ザラストロの慈愛に満ちた目、悲しみを秘
めた夜の女王、パパパパパパパ、パ、パパパパパパぱ、パ、とにかく楽しませてもらい
ました。ケネス・プラナーの演出は最高でした。
 この魔笛を観て気がつきました。魔笛は演出主体で創られるべき作品だと。どうしても
オペラは指揮者と歌手に重点が置かれてしまうのです。魔笛の上演を成功させるには、
優秀な演出家を起用するべきです、トウーランドットの北京公演でチャンイーモウを起用
したようにです。
 一つ分からないシーンがあったのですが、どなたか教えていたた゜けませんか?
 無数の墓標を前にしてザラストロが歌います。墓標に刻まれた若者の名前が三分の
一が日本人だったのです。第一次世界大戦でこんなに日本の若者が戦死した筈が有
りません。もしかしたら、神風か回天なのでしょうか? 結局未だに分かりません。

ベルイマンの魔笛
ブラナーの魔笛
レバインの魔笛
ウイーンフィル盤です
メト盤もあり甲乙つけ
難い出来。
ザワリッシュの魔笛
一番無難で演奏も
歌手も揃っています
が、演出が今ひとつ



ベルイマンのお薦め映画。
 処女の泉。第七の封印。野いちご。ファニーとアレキサンドル。
 鮮烈だつたのは処女の泉、はまったのは第七の封印、結局この二作品は未だに理解しているとは言えません。
いま考えてみると、野いちごが一番良かったのかも知れません。

ブラナーのお薦め映画。
 ヘンリー五世。ハムレット。愛と死の間。フランケンシュタイン。
 ブラナーはやはりシークスピアです。ハムレットは四時間を超える大作で少々疲れてしまいますが、ヘンリー五世
はシェークスピアとブラナーが好きなら是非観て下さい。DVDは廃盤に成っているようです。
 変わったところで出演作(主演では有りません)のスウィングキッズ、ジャズ好きなら必見です。
                                        2008.11.11  立花左近

エリナ・ガランチャ〜マリア・カラスの再来


今、マリア・カラスの再来と謳われる若手歌手がいます。

ラトヴィア出身のメゾソプラノ、エリナ・ガランチャです。

カラスとの違いは、カラス程気難しくなく、演技の面から見ると、より知的でより計算された

演技をします。目の輝きはスターとしてのオーラさえ感じさせ、手と指、そして体全体を駆使

して感動的な歌と演技を見せてくれます。日本ではまだライバルのネトレブコほど知られて

はいませんが、数年後にはネトブレコの人気を超えると私は思います。ノリントンとリッカルド・

ムーティも絶賛し、世界中の音楽祭と歌劇場から引っ張りだこだそうです。メゾソプラノですが、

トレーニングで音域を一オクターブ以上あげたと語っています。

薔薇の騎士や皇帝ティトの慈悲などをレパートリーに加えていますが、なによりも衝撃的だった

のは、ザルツブルグデビューとになった、マスネーのウェルテルでした。オペラ歌手の演技の

概念を超えた快演です。カラスの歌と演技は天才的な閃きで時として共演者を置き去りにして

しまいますが、女優を目指していたガランチャのそれは共演者、さらに指揮者とも共鳴するような

質を持っています。ガランチャがさらなるトレーニングで音域を広げ、カルメン、トスカ、トウーランドット、

仮面舞踏会のアメリア、ドン・カルロのエリザベッタを歌う日が近い将来実現し、カラスのように伝説を

創るに違い有りません。 
 

                      
2008.10.12 立花左近

 
ガランチャの2009年メト出演が決まりました。

 
ロッシーニのラ・チェネレントラ(早い話シンデレラ)です。私は必ず観に行きます。皆さん

もどうですか? えっ!? メトロポリタンまで行けない? ダイジョウブ、東京東劇、大阪

なんばパークシネマ他各地で五月三十日から六月五日まで上映されます。



ガランチャのおすすめディスク。

マスネー 歌劇『ウエルテル』




ウイーン歌劇場の2005年のライブDVD、オケはもちろんウイーンフィル。

現在、唯一の国内盤なので、是非機会がが有れば観て下さい。




The Opera Gala

バーデンバーデンのライブDVD、ライバルのネトブレコやラモン・バルガスと共演
していますが、彼女の存在感は共演者たちを凌駕しています。残念ながら輸入盤
でしか手に入りません。





ベルリンフィルは今が最高!

帝王カラヤンからアバド〜アバドからラトル



 魔王カラヤンの呪いをアバドが拭い、ラトルが過去半世紀で最高のベルリンフィルを築いた!

 誰もが世界最高と讃えるベルリンフィルにも弱点が有りました。時として、二軍・三軍をツアーに送り込む、とか、……伝統に胡座をかいている、とか……管楽器に比べて弦が弱い、とか……

何れもいわれなき中傷でしか有りませんでしたが、二十一世紀に入ると、ベルリンフィルは自ら進んで改革に乗り出しました。若くて優秀なソリストを募集し、若返りを図りました。その時加わったのが清水直子でビオラの主席に座っています。ラトルの任命も、変わろうとするベルリンフィルの堅い決意をあらわしています。

 今井信子に師事した清水直子は、師・今井信子ゆずりの暖かく豊かな音色と真摯な演奏で楽団員とサイモン・ラトルに絶賛されています。ラトルはインタビューで彼女はベルリンフィルの至宝であると語っています。みなさんも是非、全盛と伝えられる二十世紀後半のベルリンフィルと直子の加わった新生ベルリンフィルを聞き比べて下さい。とにかくしなやかでやさしく、特に弱音が美しいんです。ともすれば力でねじふせるような圧迫感を与えた旧ベリンフィルから完全に脱却しています。



 1955年4月5日、カラヤンがベルリンフィルの常任指揮者となりました。奇しくもカラヤン47才の誕生日であったという。カラヤンは楽団員の国際化を進めるほか、精力的に録音活動を行った。カラヤン=ベルリン・フィルの組合せでの録音は、膨大な数に登りました。帝王と呼ばれた(もしかして呼ばせた?)カラヤンは終身指揮者・芸術監督となり、ベルリンフィルを使って世界制覇を成し遂げた。

 私も、若い頃はさんざんカラヤンの演奏を聴かされました。ラジオから流れてくるのは、カラヤン、カラヤン、カラヤン。カラヤンだったら何でも推薦版になりました。もしかして、音楽界ではカラヤンを褒めなければ生き残れなかったのかも知れません。私はカラヤンの演奏に一度も感動を覚えませんでした。私自身の音楽に対する感性が欠如しているとしか思えませんね。音楽に耳を傾ける前に、カラヤンの指揮ぶりとヒットラーの演説が重なって見えてしまうのです。

 終身指揮者のカラヤンでしたが、ザビーネ・マイヤーというクラリネット奏者をベルリンフィルに迎えた事で団員との溝が深まり、19894月に辞任しました。ザビーネ・マイヤーは退団し、カラヤンもその年の夏、死去しました。

 当選確実と噂されたロリーン・マツェールを破ってクラウディオ・アバドが常任指揮者に就任しました。楽団員の投票だったそうです。スカラ座でイタリアオペラを振っていたアバドがベルリンフィルの常任指揮者に任命されるなど、誰が想像したでしょうか! 一番ショックを受けたのは敗れたロリーン・マツェールでした、その後9年間、マツェールはベルリンフィルと決別しました。

 任期全般でレパートリーを広げることに尽力したアバドではあったが、自身の健康面の問題で一時代を築けず、2002のシーズン限りで辞任した。後任の最大有力候補はサイモン・ラトルダニエル・バレンボイム2人だったが、楽団員による投票によりラトルが常任指揮者に選ばれた。ラトルは、ベルリン・フィルを政府から完全に独立させ、また一風変わったレパートリーを取り入れて、ベルリン・フィルに新風を吹き込みつつあります。
(ウィキペディアを参照させていただきました)

 カラヤン、アバド、ラトルの聞き比べとして、私はブラームスのドイツレクイエムをお奨めします。違いをご自分の耳で確かめて下さい。
 

 誰かザビーネ・マイヤー事件の詳細を教えて下さい。    2008.10.19 sakon


ベルリンフィルのお奨めディスク。

カラヤンのドイツレクイエム。
 凄いですね、ベルリンフィルも随分鳴っていますね、ロマンティックですね、でもプロテスタントのブラームスがこんな具合に演奏される事を望んでいたでしょうか?
アバドのドイツレクイエム。
 アバドが病に倒れる前のライブで、生きる喜びを謳歌しているような演奏です。少し力が入りすぎているかも? 
ソプラノはバーバラ・ボニーですが、CD盤の方ではシェリル・ステューダが歌っています。そういえば、アバドはステューダが好きですね、随分観たような気がします。ドミンゴ、ステューダを起用したローエングリン、面白いですよ、オケはウイーンフィルですけどね。
ラトルのドイツレクイエム。
 CD盤。良いのか悪いのか? 全く違う曲に聞こえてしまいます。
 私はこれが一番好きです。

プラハのエステート劇場でのライブで、オールモーツァルトプログラムです。衛生でライブがオンエアーされたので観た人がいるのでは? NHKとは違う映像だと思います。
バレンボイムは円熟味を増したようです。今まで聞いたモーツァルトで一番良かったような気がします。清水直子、良いですよ!
アテネでのオールブラームスの野外ライブ。
常任候補だった二人の直接対決です。ブラームス一番のベストではないでしょうか?
ピアノ四重奏一番(シェーンベルグ編曲の管弦楽版)は必聴の名演です。是非是非!



   sakon