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| 住宅の設計コンペについて考える。 | |||||||||||
| 近年、施主と設計者を近づける動きとして、複数の設計者を施主に紹介し、その複数の案を施主に選定させるコンペがあります。 従来、住宅建設ではハウスメーカーの展示場でモデルハウスを見て決める方法、工務店に直接依頼する方法、設計事務所に設計を依頼して、設計完了後に工務店に依頼する方法と、大きく分けてこの三つが選択肢でした。しかし、最後の設計事務所への依頼は敷居が高いとか、特別な設計や高額な住宅でなければ依頼できないという誤解もあってその数は限定されていました。しかし、近年の住宅におけるシックハウスや欠陥住宅といった様々な問題は施主の目を設計事務所に向けることになりました。 それでもなお、設計事務所の選択や選定には難しい問題がありました。 設計事務所の対外的な告知が不十分なために、施主がその存在を認識できていないということです。これは多分に設計事務所の責任でもありました。 そのことを踏まえて、双方を紹介する業者が現れて、告知や紹介の労をとることは当然の時代の流れと言えます。 施主は気に入った案と契約すれば良いのですし、設計事務所は営業の労を肩代わりしてもらって、経費を払えば後は設計に専念すれば良いのです。 何もかも良いことずくめのシステムなのですが、私どもでは一回もコンペに参加したことがありません。 インターネットに数ある、この手のサイトに幾つか登録はしたものの、呼びかけに一回も応えたことがありません。なぜならば、まず設計案の締め切りがせいぜい2週間程度の期限だということです。 基本設計に2ヶ月、3ヶ月を掛けている現状と大きくかけ離れているのです。 また、参加してコンペ案が出揃ったときに、審査は施主がすることになるのは上記の通りです。 このことは一見公正に見えるのですが、一生に一度の経験がせいぜいの住宅建設において、設計の良し悪しを客観的に判断できる能力を施主が持っていると考えることは、生まれて始めて食べるフランス料理の味を審査させることに似て、経験不足を考慮していることにはなりません。 仲介業者が判断の手助けをしてくれる場合でも、客観的な価値判断を下しているか検証は出来ません。 地味でも内容の有る設計案と、見栄えが良いCG(コンピュータグラフィックス)を駆使した案では素人の施主の選択肢は「見える案」に誘導されるものと考えます。 CGによる完成図まで出せる提案は入念な下準備が必要で、あらかじめ下ごしらえをしておくことで競争力を持つことになります。 これは、新たなモデルハウスの手法であり、類型の案が多く生まれる方式でもあります。 モデルハウスに飽き足らずに選択したシステムが、同様に量産・類型のシステムでは施主の期待に応えたことになりません。 入札の様に価格という合理的な審査基準を審査することと違い、設計の良し悪しを判断することは玄人でも難しいことです。ことに住宅は客観的な価値観というものはもともと存在せず、私的、個人的な価値観にすり合わせる過程が設計業務そのものなのですから、一発勝負の提案設計では施主の意に染まないことは当然のことなのです。 施主の要求項目は設計事務所と話し合いを重ねる事で、本人が意識していなくても結果的には望んでいたことが抽出される事も多く、施主の初期の要望が全てではありません。 また、途中で方針転換することもけっして珍しくはありません。 コンペの問題点は以上のような項目なのですが、作風を確認することにおいては有効で、コンペと、開示されているホームページなどと合わせて検討することは選択肢の幅を広げることになります。 まず、賢い消費者になるための情報収集と、自分の抱えている自分自身の文化を住宅に反映させる強い意思を持つことが、良質な住宅を獲得する最良の方法と私どもは考えます。 |
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