2001/12/17作成  2008/01/05更新 第13版(著作権登録済)-12

pH(ペーハー)検査の基本

ペーハー(ピーエッチ)試験紙による比色判定が初めての方々は必ずお読み願います


よく混同されがちですが、pH(ペーハー、ピーエッチ)試験紙とリトマス試験紙は
 全く別のものです。小・中学校で実験に使ったことがおありのリトマス試験紙は、
調べたい液体がpH6.9以下の酸性かpH7.1以上のアルカリ性かの判定をするだ
けのものでして、pH試験紙のように細かいpH値を測定することはできません。

 

 ←使用前の特許pHスティック



 

 
 石鹸水
(pH8.0)
 
 較正液
(pH7.0)

  牛乳
(pH6.2) 

 お酢
(pH5.0)


 液に濡れて発色したpH試験紙を比色表の横に並べてpH値を比色判定するとき、先入観や期待感を持たず、遠目でチラッと見比べ直感的に判定するのが大切なコツです
(先端の糊しろ部分約1mmの色は無視)。
 比色検査の経験がない文科系の方々、特に色彩感覚の優れた美術系の人ほど、比色表との完全一致を求めがちです。でも、それはムダな努力です。何故なら、検査した尿がたとえばpH6.9であるとき、比色表の6.8の色とも7.0の色とも一致しないからです。もっと言えばpH6.90ではなくて、実際にはpH6.87とか6.94などの色が出ているかもしれません。だからエイッヤッとばかり、pH6.8か7.0かのどっちかに決めていただくしかないのです。それ故、pH6.9とか7.1などと奇数値のデータを出さないでください
 また、検査する液体の色の濃い薄いが発色した色調に微妙な影響を及ぼします(たとえばビタミン剤を飲んでオレンジ色を帯びた尿など)。
 さらに、液への接触加減によりpH指示薬の溶出量がマチマチなので、発色した色調に濃淡が生じるのを避けられません。しかも、人間の視覚は光線の当り具合(日向・日陰、晴れ曇り)や光線の種類(太陽光、蛍光灯・電球W数)によっても微妙に影響されます。どうか比色表の色との完全一致を求めないようにしてください(精度重視ならpHメーター使用)。
 目を離して見比べつつ、大体この辺だろうと判定することに不信を抱かれるかもしれません。でも、それで充分なんです。それが昔から
pH試験紙の限界なんです。そんな頼りないpH試験紙だって、ちゃんと役に立ちます。

 なお、特許pHスティックに採用したpH試験紙は、pH指示薬のメチルレッドMR(測定可能範囲:pH5.0〜7.0)とブロムチモールブルーBTB(pH6.2〜8.0)とを混合し濾紙に染み込ませたものです。
 2薬を混合することに若干の無理があるらしく、比色表におけるpH6.8の色調とpH7.0の色調とが
やや不連続なのが気になります。しかし、2薬混合のメリットの大きさに比べたら、この程度の欠点は微々たるものです。たとえば犬の散歩中、道端で排尿姿勢を示したとき、とっさに2種類の
pH試験紙を取り出すのは困難です。かといって、あらかじめ2種類のpH試験紙を手に持ちながら犬と歩くのは面倒です。そして、排尿中の尿線に2枚のpH試験紙を同時に接触させたり、あるいは1枚ずつ続けて接触させるのは、不可能でないにせよ決して簡単なことじゃありません。

 また、比色表に印刷されている色見本は、Dr.中島健次のオリジナルです(著作権登録済み)。
市販されている従来のpH試験紙に添付の比色表をコピーできれば簡単至極。でも、実際は
そんな訳に参りません。白色台紙の上へ部分的に貼ることによって、鮮やかな色に発色します。
 その鮮明な色調を正しく紙へ印刷するために、技術者として私の全力を傾注いたしました。
秘密の一端を披露させていただくと、電極使用pHメーターのゼロ点調整のために市販されているpH5.0とpH7.0の較正液を使用し、12段階の比色表を作製したのです。これに要した開発費を回収するため、比色表を有料(
1枚330円)とさせていただいております。何卒、ご了承願います。
 

 


**株式会社測定部○○様
 特許pHスティックの先端部に貼ってあるpH試験紙は、 アドバンテック社のNo.20です。
pH指示薬2種混合の無理がpH6.8とpH7.0の色調の段階差に出ておりますが、この欠点を、私が全力を傾注して作製・印刷した比色表では、かなり改善できていると自負しております。
この比色表にご不満であれば、もはやpHメーターの電極に 頼っていただくしかありません。
 特許pHスティックは、あくまでも簡易チェックを目的に工夫いたしました。何卒、技術限界をご理解いただきたく、伏してお願い申し上げます。敬具 Dr.中島健次拝 2007/06/15 15:32
 

 

 


当社の調査主旨は、魚類の生息状況の簡易調査です。したがって、pH試験については簡易,補足的なデータを得るために実施しているものですので、製品に添付の比色表で十分対応出来ると思います。それに、COD試験も実施しているので、実際には河川水を採取して試験機関へCOD試験を依頼しております。
その時、当初は採取水のpH測定も並行させて公的試験機関で数回実施していましたが、現時点では、
公的試験機関でのpH値とpHスティックによる簡易測定のpH値とを比べて、それほど大きな差は無いことが確認されています
したがって、こちらとしても十分にpHスティックによる簡易調査で満足する結果を得られておりますので、ご安心下さい。 2007/06/18 10:30 **社○○
 

 

 


**株式会社測定部○○様
 ○○様からプロらしいスッキリしたメールをいただき、涙が出そうになるほどホッと安心いたしました。誠にありがたく嬉しく、心から篤く御礼申し上げます。
 と、申しますのも、比色検査が初体験のペットの飼い主さんたちから、尿を引っ掛けて発色したpH試験紙の色と比色表の色とが一致しないとか、0.2刻みでは大雑把すぎるので0.1刻みにしてほしい、などとウンザリするほど素人っぽいクレームに悩まされ続けてきたからです。
 つきましては、○○様の貴重なメールを私のHPに掲載させていただけませんでしょうか?
ペットの飼い主さんたちに、「ホラ見てよ、水質検査のプロが比色表の色はこれでOKと太鼓判を押してくれました」、と自慢したいのです。
 社名を出してはマズければ匿名にさせていただきます。お差支えなければ、何卒お許しくださいますよう、伏してお願い申し上げます。敬具 Dr.中島健次拝 2007/06/18 11:55
 

 

 


実際、比色表による判定での0.2前後は、その見た人の視覚問題で前後するとは思いますが、私以外の検査担当者の中にはシビアな方もいるようです。
たしかに、公的試験機関に依頼して水を試験した時には、0.2前後(比色表では6.8と読んだが、実際の試験結果では7.0とか)の誤差というか、感覚の違いは人の目で見るものですから、常に付いて回る問題なのでしょうけどね。
今後も何か利用することがあれば、ご協力をお願い(pHスティック購入)するかと思いますが、今後とも宜しくお願い致します。2007/06/18 13:06 **社○○
 

 

 

 

 

 
 十人十色、ヒトさまざま。世の中には、いろんな人がいます。
 「pH試験紙による比色判定法がアバウトで、気になってしかたがない。もっとピシッと
 誰が測定しても同じ色調に見えるように改良しなければいけない」

 まあ、確かに仰られることは真にごもっともでございます。でもね、科学なんて一皮剥
 けば、みんなこんな程度なんですよ。たとえば、皆さんが平気で乗ってるジェット機は
 もちろん、宇宙ロケットや原子力潜水艦でさえ、割り切れない円周率(π=3.14…)で
 設計され、製造されています。ミリ単位のズレを職人芸で誤魔化しているんですよ。
 これに比べたら、アバウトな比色判定ごとき全く取るに足らない問題なんです。
 

 


では、pH検査が初めての方は牛乳で正しい色の出し方と見方を練習してください

 pH試験紙による比色検査は初めて、という方がほとんどだと思われます。それが普通ですの
 で、どうぞ安心してください。どなたも格別の苦労をすることもなく、容易にpHスティックを使い
 こなせるようになります。まず基本として、動いてない止水状態での検査を練習してみましょう。
 検査材料には、身近にある牛乳が好都合です。どうしてかというと、牛乳はpH6.2〜6.6の弱酸
 性ですので、酸性尿を出し続けておられる痛風・糖尿病患者の皆様や、愛犬・愛猫にアルカリ
 性の尿が出続けているため、尿晶形成による尿閉に脅えておられる飼い主の皆様方にとって
 ぜひとも当面の目標としていただきたい弱酸性尿(pH6.4±0.2)のpH値と同じだからです。
 


〔1〕 牛乳で練習
 (正しい色の出し方) 

@コップや皿などに市販の牛乳を少量注いでください。 
 
牛乳は白濁しているので検査に不向きと思われるでしょうが、意外とそうでもありません。

Aスティック先端に貼り付けたpH試験紙全体を素早く牛乳に漬け、直ちサッと引き上げます
 牛乳に漬ける時間は、ほんの一瞬で充分です。数秒間も漬けっぱなしにしていると、
黄色く発色したpH指示薬が溶けて牛乳の中に流れ出てきます。
こうなるとpH試験紙は白っぽくなり、発色不良でpH値の測定なんかできません。
そうならないように、素早く漬けて素早く引き上げる。これが大切なポイントです。
引き上げたpH試験紙の表面に盛り上がるほどタップリと牛乳が付いていると、
黄色く発色したpH試験紙が白い膜に隠れて見えない場合もあります。
そのときは、下に向けたスティックの尻を人差し指でトンと軽く叩き、余分の牛乳をポトンと
落としてください。多少pH指示薬が溶出しはじめていても、一滴分くらいのロスなら、
ほとんど色調に影響しないので、そんなに気にしなくてもだいじょうぶです。
牛乳の付けすぎよりも、むしろ接触不足のほうが厄介です。牛乳の濡らし方が足りないと、
発色したpH試験紙に色の濃い部分と薄い部分の発色ムラができてしまいがちです。
こうなると判定困難なので、もう一度、未使用のスティックでやりなおさなければなりません。
しかし、本番の尿検査では、あっという間に放尿が終わってしまい、やりなおしが出来ない場合の方が多いと思われます。ですから検査は一発で済むように、pH試験紙全体をパッと素早く牛乳へ漬け、サッと素早く引き上げる。このコツが呑み込めるようになるまで練習してください。

BpH試験紙は、パッと瞬間的に黄色っぽく発色します。この色が正しいpH値となります。
 
pHスティックを素早く牛乳から引き上げたとき、すでにpH指示薬の発色反応は終わり
かかっていて、pH試験紙全体が一様に黄色っぽく発色しています。
この色が正しいpH値となるので、比色表と見比べて判定します(
市販の牛乳はpH
6.2〜6.6)。
ただし、
pH試験紙の前縁約1mmは接着剤を付けた糊しろですので、この部分の色は無視 

CpH試験紙が濡れている間は変色しませんから、慌てずに比色表の色と見比べてください。
 
ただし、吸液量や気温・湿度・風などによって乾燥速度が変動するので、なるべく1分間以内に
判定してください。
ついでに、比色判定を済ませたスティックを捨てずに観察し、pH試験紙の乾燥に伴って褪色する様子を確認しておきましょう。何分間くらい当初の色調が持続しましたか?
ずいぶん長持ちするので、きっとビックリされるはずです。

なお、pH試験紙は湿気の多い場所に放置すると性能が劣化します。製品開封後は、なるべく早く使いきってください。もしも、尿のpH値が納得できないほどおかしいと思われたときは、品質劣化を疑う前に牛乳チェックをお願いします(牛乳に漬けて黄色っぽく発色すれば劣化してない)。

また、牛乳の代わりに水道水で練習しても結構ですが、きれいな水は緩衝性がないので発色するまで数10秒ほどかかることがあります。その場合、約1分間後の色で判定するようにしてください。下水など汚れて濁った水だと瞬間的に発色しますが、汚れが色調に影響するのを防ぐため、pH試験紙の先端部をちょこっと浸して水分だけを吸い上げるようにしてください。
 

〔2〕 人尿で練習 (排尿中の尿線カットによるpH検査)



 排尿中の尿線にpH試験紙を素早く
横切らせます(これが
尿線カット
 



pH試験紙に命中しなかったときは、上図の
ようにスティックを傾け、台紙に付着している
尿滴を滑らせてpH試験紙に吸い取らせます

 

 

 勢いよく噴出している排尿中の尿を、pH試験紙の上にジャージャー引っかけ続けると、pH指示薬が溶けて流出し、白っぽく色褪せて判定不能になります。そうなったら新品スティックでやりなおさなければなりません。
 pH指示薬の流出しすぎを防ぐため、尿をpH試験紙に引っかけるのではなく、排尿中の尿線をpH試験紙で「切り」、試験紙に尿を瞬間的に接触させるわけです(これが尿線カットです)。
 pH試験紙が尿で濡れたら、直ちに色を見てください。すでにもう、鮮やかな色に発色しています。
 pH試験紙の上に尿滴が盛り上がっていても、尿の色はほぼ透明なので判定の邪魔になりません。また、盛り上がった尿滴をそのままにしてpH指示薬のロスを防いだ方が、きれいに発色し、乾燥遅延効果もさらに著しく延長します。
 ただし、尿滴が大きすぎると、スティックの先からポタッと垂れることがあります。スティックの先を下に向けず、水平に持つようにすれば、尿滴を落とさないで済みますが、一滴くらいのロスなら余り神経質になる必要はありません。


 排尿中の尿線カットのタイミングについては、特にこだわる必要がありません。
尿の出始め、放出途中、終了間際の三点で比較してみたところ、ほとんどpH値に変化はなく、
たまに差があっても0.2程度の僅かな違いにすぎないことを確認しております。
 ただし、雄イヌや雄ネコのペニスの先が汚れている場合が多いので、一応、気休めかもしれませんが、尿の出始めの数滴は外した方が無難ではなかろうかと思われます。
 また、pH試験紙が尿で濡れたとたん、パッと瞬間的に発色した色調が濃く輝いて見えることがあります。たぶんpH指示薬が激しく化学反応を起こしているせいだろうと推察されます。
1拍(1呼吸)ほどの間をおいてから見れば色調が落ち着いていますので、この色でpH値を判定するようにしてください。

 なお、尿線が目に見えるヒトや大部分の雄イヌと違い、足の短い犬種や、しゃがんで排尿する
習性の雌イヌとネコの場合、尿線が見えにくいためpH試験紙に尿を命中させるのは困難かもしれません。その場合は、動物が排尿姿勢をとったら、すかさず股間にpHスティックを差し入れ、スティックの柄に尿が引っかかった感触を指に感じてください。
 感じたら素早くスティックを引っ込め、柄に付着した尿滴をpH試験紙に吸い取らせます。
すなわち、スティックの柄に尿滴を付着させ、右上図のように、スティックを斜めに支えながら、
スティックの尻を指で軽く叩いてやります。すると、尿滴が柄を滑り落ちてpH試験紙の裏に尿の水溜りを形成します。尻を叩くのが面倒なら、スティックをそっと軽く振り下げて、うまく尿滴がpH試験紙のところで止まるように加減してください。
大 量の尿が柄に載っているときでも、撥水性白紙の後端が段差となってストッパーの役割を果たしますので、尿塊が一挙に柄を伝い落ちることを防いでくれます。でも、あんまり強く振りすぎると、尿滴がスティックの先端から落下してしまうので要注意です。

 ここから犬と猫は別のコースに分かれます⇒犬尿のpH検査  猫尿のpH検査

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