五つ子たちの尿pH

 



 


 

 


 やっと入手できました。まぎれもなく五つ子の尿のpHデータです。それも、東京タワーを間近に見る都内有数の超一等住宅地で、戦災を免れた築70余年の大邸宅にお住まいの奥様から拝借できました。M邸の裏庭の物置の下で、上の写真(右は気付いてから8日後)のように野良猫の五つ子が生まれ、この子猫たちの尿から貴重なpHデータが得られたのです。

 この子たちにストラバイトが出てM夫人は困惑され、Web検索で私のHPにヒット。偶々お目に止まった亡き柴犬デンの後記(動物は動いてこそ動物)の「霊魂あるなら殺人犯を殺せ」に深く共鳴・共感なされたよし。以来ほぼ連日、綿々とメールを頂戴し続けております。
(M様から頂戴した膨大な長文メールには誤字脱字が皆無です。老いてウッカリミスを連発している私には、これだけでも驚嘆。しかも、メールの文章を読み直し、修正してから発信するなんて面倒はしてない。頭の中にスラスラと文章が湧き出し、それをパソコンへ打ち込むだけ。推敲なんてやったことがないそうで、本当に驚きです。紫式部様か平岩弓枝様か?
これが真の文才と言うんでしょうね。とうてい小生ごときの及ぶところじゃございません。今まで私に送信してくださったメールを、そのまま印刷するだけで立派な本になります。子猫たちの楽しい成長記録をまとめ、自費出版されては如何でしょうかと、お勧めしておきました)

 尿のpHデータを含むメールと猫たちの写真のHP掲載をM様に願ったところ、私信の公表など非常識にも程がある。トンデモナイ、と叱られてしまいました。
 でも、貴重この上なきデータを埋没させてはもったいない。再度、重ねてお願いしましたら、①メール内容の要点を私が適当に短縮・要約し、②かねがねM様が思い抱いてこられた憤懣の一端を私のHPに掲載するなら許諾してよいとの仰せ。国家批判など少々ヤバイ。が、背に腹は代え難し。データ公表のため、仰せの通りにさせていただいた次第でございます。
 ただし、現在の猫の写真を公開するのは差し障りが多いとのご配慮により、子猫当時の写真だけが送られてきました。ここに、ありがたく掲載させていただきます。

 これより直ちに本題の「体質」について論ずべきところですが、ちょっと寄り道をしたくなりました。M夫人から電送された上の写真を眺めていて、これを撮影されたM様のお心。母猫と子猫たちへの並々ならぬお気持ちが切々と私に伝わってまいりました。
 それと、M夫人は当たり前のように思っておられるのですが、私から見ればホンマかいなと首をかしげたくなるほど、いやに子猫たちが素直で利口すぎるように思われました。もしかしたら、授乳末期~離乳期に母猫代わりとなった人間には、何か特別のものがあるらしい。
 離乳期を過ぎた子猫を、ペットショップのショーウインドウのガラス越しに見て買って来た場合、どんなに可愛がって大切に育てても、成長した猫と飼い主さんとの間に、これほど深い信頼の絆は結ばれないのではなかろうか? 間違っていたら、ゴメンナサイ。

 巷間よく聞く話ですが、ペットショップで買った血統書付きの高価な子猫よりも、拾ってきた雑種の子猫の方が利口で、飼い主さんの言うことを良く聞き分けるという。それは多分、たまたま離乳期に捨てられたため、拾ってくれた人間を母猫代わりに信頼するからなのではなかろうか。あなたの愛猫は如何でしょうか?
 ペットショップで売られている子猫の姿しか見たことがない飼い主さんたちに、上の写真の光景とM夫人のお気持ちを綴ったメールが非常に参考になる…のではなかろうか?
そんなわけで、ちょっと寄り道させていただきます。<以下メール要約、文責:中島健次>
 

 

 


 2006年9月初め、久しぶりの雨上がり。長らく使っていない北側の和室(昔の女中部屋)に風を通そうと思い立ち、窓の雨戸を開けたら、裏庭の片隅にムクムクと動く黒っぽい塊りが目に入った。アレッ、何だろう? 黒いゴミ袋か何かが風で飛んできたのかしら?
 目をこらして見直すと、何処からともなく黒い猫が出てきて、フッ! 黒っぽい塊りはサッと音もなく物置の下へ。ニャーともミャーとも鳴かず、素早い隠れ方に感心なされたそうです。

 亡くなられた祖父母もご両親も大の動物嫌い、養子に入られたご夫君も動物が苦手。そんな環境で育ったせいか、M夫人は動物とは全く縁のない暮らしをしてこられたとのこと。
 それが、偶然、自邸の裏庭で野良猫の親子を目撃したとたん、興味津々。無用心ながら雨戸を細目に開けたまま、障子の隙間から親子を観察。写真も撮影し、ついには冷蔵庫から新宿・N屋の荒挽きソーセージを出してきて、母猫がいない隙に子猫へ投げ与えてみた。
 すると、どこかで母猫が見張っていたらしく、サッとソーセージを咥えて姿を消す。
アナタッ、何すんのよ! 子供の餌を横取りしちゃって…。なんて憎らしい母親ですこと。
でも、すぐ誤解だったことを知る。子猫たちは、まだオッパイを飲んでいたんです。
 

 

 

 

 

 

  
 そうだったのか、気付かないアタクシが悪かったわ。ゴメン、ゴメン。子猫たちが心配で外へ行けず、それで空腹で、ソーセージに飛びついたんだね。大変だねー。エライねー。
アナタはいいなあ、うらやましいなあ。いっぱい子供が生まれて…。
アタクシは子宝に恵まれなかったのよ。不妊治療もがんばったんだけど、ダメだったの。

 ひとり、待っている子がいるけど、猫の乳首は四つしかないの? 八つくらいあるんじゃないの? 栄養不足でオッパイが充分に出てないの? 弱い子がはみ出てるのかしら…?
 もっとゴチソウ、あげるわよ。オッパイが出るように、いっぱい食べてちょうだい。母猫に荒挽きソーセージを放ってあげる。最初は咥えて、どこかに隠れて食べていたけれど、翌朝は姿を見せたままソーセージを食べるようになった。馴れてきて、ちょっと嬉しい。

 でも、ちょっと、もったいない。お金を惜しむわけじゃないけれど、野良猫に新宿・N屋の荒挽きソーセージはもったいない。身分不相応は気に食わない。
 ふだんは滅多に行かないんだけど、駅前のスーパーで一番安いソーセージを買ってきた。
気前よく4・5本つかんで母猫の前に投げてやった。ところが、匂いを嗅ぐだけで食べない。
何で食べないのよ…。ヒトがわざわざ買ってきてあげたのに…。
 しょうがないのでN屋の高価なソーセージを投げてみたら、母猫がパッとジャンプして空中でキャッチ。何なのよ、ゼイタクねえ。アナタ、ちょっと生意気よ、野良猫のくせに。
 

 

 

 
 それまで動物と無縁に生きてきたM夫人は、このとき初めて畜生の存在に意識が向いたのだという。畜生なんて人間様の足元にも寄れない下等なもの。ずーっとそう思い込んできたし、それで何の不都合も感じなかった。
 だから、野良猫ごときがソーセージを選別するのをコシャクに思いつつも、贅沢で美味しいソーセージを選ぶセンスの良さが非常に新鮮な驚きだったという。そして、変な話だと笑わないでくださいとメールに書かれていたのですが、母猫に親近感というか、友情というか、見直して尊敬したいような変な気持ちが湧き上ってきたのだそうです。

 母猫の方もM夫人の気持ちの変化を敏感に感じ取ったのか、はたまた餌をくれる親切なオバサンだから警戒心を解いたのか、M夫人が女中部屋の窓から見ていても気にせずに、平気で寝そべって子猫たちに授乳するようになった。
 数日後、母猫がソ-セージを噛み切って子猫たちに食べさせていた。その数日後、ソーセージを投げてやると、子猫たちが飛びついて食べた。それを母猫が寝そべって見ていた。

 そして、黒い動く塊りに初めて気付いてから8日後、子猫たちは丸々太って毛色が変わり、窓から見ていても可愛らしい。抱いてみたい。でも、母猫に叱られそうで恐い。
 植木の陰で見張っているに違いない母猫を気にしつつ、恐る恐る勝手口から裏庭へ出る。手にオミヤゲのソーセージを持って、子猫に近寄る。母親は襲って来ない。ヨシ、大丈夫だ。今のうちだ。生まれて初めて子猫に触ってみた。何と柔らかくて、温かくて、可愛くて…。

 それっきり母猫の姿が見えなくなった。今までウンともスンとも無音だった子猫たちが、母親を呼んでニャーニャー、ミャーミャー。鳴きわめいて、うるさい。ああ困った、どうしよう。
 夜まで待っても帰ってこない。アタクシが触ったのを怒り、母親が子猫を捨てたのかしら?
それとも、屋敷の外に飛び出して車に轢かれでもしたのかしら?

 M夫人は直感したそうです。「ああそうか。子供のいないアタクシに子猫をくれたんだわ!」
ダンボールの箱を持ち、真っ暗な裏庭に出る。物置の脇でかたまって鳴いている子猫たちを懐中電灯で照らす。「さあ、おいでー。新しいママがお迎えに来たわよー」
なんと、なんと、なんとまあ。子猫たちが駆け寄って来たじゃないの! ああ、良かった!
 

 

 

 
         
 

 

 

 
 ダンボール箱に5匹を入れて、ワクワクしながら居間に運ぶ(居間と言っても近頃のいわゆるリビングではない。M夫人の寝室兼用12畳の和室)。ご主人には内緒、ナイショ。
 箱から出すと、シッポを真っ直ぐ立てて膝に乗ってくる。ああ、可愛いなあ。嬉しいわあ~。
おやまあ、おメメが青いのねえ。お母さんは金色だし、外国から来た猫チャンなのかしら。
 つかみ上げると、ミューミュー。甘ったれた声で鳴く。なあに、どうして欲しいの?
アッそうか、お腹が空いてんのね。ちょっと待っててね。すぐソーセージ持って来ますからね。

 ン…? 何よ、これ? エッ、うんち? キャー! アナター! 大変よー、いらしてー!
 <この調子で要約してたらキリがない。以下、ストラバイトに至る粗筋だけ記しておきます>

 ご夫君は糞の始末を拒否し、明朝、保健所に電話して子猫を処分すべきだと強く主張。
そんな可哀想なことできない。断固、M夫人は反対なされ、家に入れず庭で飼うことで妥協。
 今夜だけダンボ-ル箱に入れて、夫人と一緒に客間で寝る。翌朝、夫人の居間の日当たりの良い縁側の下に、ダンボール箱を横倒しに置き猫小屋とする。雨に濡れる心配なく、広い庭で自由に遊びまわれる。それで子猫たちが居付くも良し、出て行くも良し。M夫人としては、気が向いたときに縁側で子猫たちに触れることができれば、それで満足、それで良し。

 畳の糞を片付けてもらうため、週一派遣の家政婦さんに臨時に来てもらおうと電話する。急には無理だと断られ、別の家事代行サービスに電話。それが良かった。3人の子育てを終えて再び働き始めたばかりのSさんは猫好きで、自宅に爺さん猫を飼っていた。
 Sさんに汚れた畳を拭いてもらっても不潔感が消えない。しょうがないので、20数年振りに居間の畳を新規に交換する(畳替えが終わるまで客間で起臥)。

 Sさんは子猫たちを縁の下で寝かすことに賛成できない。自分が一つもらいます。残りは里親探しのボランティアに頼みましょう。親切に申し出た。が、M夫人は拒絶。
 それでしたら、ソーセージは塩分が多いので子猫に良くありません。これからキャットフードを買って参ります。ありがとう、いろいろ教えてちょうだいね。それまでの家政婦派遣会社と契約解除。以後、猫に詳しいSさんに家事代行と子猫の世話を任せる。

 みんな可愛いけど、M夫人お気に入りの順にアーちゃん♂、イーちゃん♀、ウーちゃん♀、エーちゃん♂、オーちゃん♀と命名。縁側で名を呼べば、庭から駆け寄るようになる。
 Sさんに見分けてもらうため、5色のリボンを首に巻く。アーちゃん赤、イーちゃんイエロー、ウーちゃん海(ブルー)、エーちゃんエメラルド(緑)、オーちゃんオレンジ(橙)。

 Sさんが買ってくる猫用缶詰やカリカリとかいうビスケットみたいなものを旺盛に食べていたが、2ヶ月ほどすぎると、ほとんど減らなくなった。食欲不振?
 病気かと心配したが左にあらず。少し前から家の板壁に飛び付く動作が気になっていたけれど、ヤモリを捕まえて食べていた。庭でスズメに飛びかかったり、巣から落ちた小鳥のヒナを食べている。両親が健在だったときは色とりどりの錦鯉が泳いでいた池に手を入れ、フナらしい小魚を食べている。でも、大きなトノサマ蛙は餌にしないらしい。
 トカゲの姿を見かけなくなったが、猫に食べ尽くされたのだろうか。そういえば、子供の頃、天井裏を駆け回るネズミに怯えたものだったが、10数年前に居なくなった。ネズミがいれば、猫たちのゴチソウになっただろうに。池の水を飲んでいるので、水呑み盆を片付ける。
 

 

 

 
 冬になり、寒い曇り日が続き、猫たちがダンボール箱の中でかたまって震えている。見るに見かねたSさんは、もう何十年も使っていない昔の女中部屋(和室6畳)に、猫たちを寝かせてやっていただけませんか、とM夫人にご相談申し上げる。

「どうして~? フワフワの毛皮を着ていて温かそうじゃないの。公園のノラは平気じゃない」
「ノラじゃなく地域猫と呼ぶそうですが、寒いと4・5年くらいしか生きられないらしいんです」
「それなら主人に相談してみるけど、お部屋の中を片付けて畳を裏返しにしておいてね」
「あのー、もしもお差支えなければ、私の更衣室にも使わせていただけませんでしょうか?」
「なあんだ、わかった。あなた、猫にかこつけて昼寝できる場所が欲しかったのね!」
「とんでもございません。そんなあ、奥様、それは誤解です!」
「いいわ。となりのお部屋を使ってちょうだい。女中頭のお部屋だったから、ここよりマシよ」
「ありがとうございます。その前に避妊手術をしておきませんか?」
「まだ子供じゃないの」、「いいえ。猫は早くて、生後半年くらいで妊娠しちゃうんです」
「まあ、そんなに早いの。で、避妊手術って、どうすんの?」
「男の子は睾丸を抜くだけで簡単ですけど、女の子は卵巣と子宮を全部取るみたいです」
「いやよ、そんな残酷なこと! どんどん子猫が産まれたって、宜しいじゃやないの…」
「だめです! このままだと兄妹や姉弟交配で奇形児が生まれてしまいます」、「……」
「だったら、アーちゃんとエーちゃんだけでも去勢させていただけませんか!」、「……」
「奥様、そんなに深刻にお考えなさらなくても…。うちの爺猫だって去勢してるんですよ」

 3日後、ようやくM夫人の説得に成功し、♂猫2頭の去勢をお許しいただく。直ちに町内のY動物病院に予約し、駅前でキャリーバッグ2個を購入して去勢手術の日に備える。
 手術当日、週一回契約のSさんに臨時に来てもらう。風もなく穏やかで暖かな小春日和のせいか、猫たちが縁の下のダンボール箱から出て行ってしまい姿を見せない。

「奥様お願いします。男の子たちを呼び寄せてください」
「アーちゃ~ん、おいで~。エーちゃ~ん、いらっしゃ~い」
(池の向こうでチラッとオーちゃんが顔を見せたけど、他の猫たちは出てこない)
「奥様、本気で呼んでませんね! 来るな、来ちゃダメって、テレパシー送ってますでしょ!」
「そんなことしてませんよ。あなたが両手に提げている大きな袋を怖がってるのよ、きっと」

 結局、その日は動物病院をキャンセルし、手術を1週間後に延期してもらう。♂猫を確実に確保できるようにするため、今日中に急いで女中部屋を改装して猫部屋にする。
 最大の気がかりは、猫たちが部屋を脱出して屋内へ侵入すること。亡き祖父母や両親の懐かしい思い出が染み込んだ建具や家具を、猫の糞尿で汚されたくない。猫の脱出を防ぐため、Sさんがステンレスのフェンスを買ってきて、猫部屋の襖の向こうに取り付けてくれた。
こうしておけば、人間が襖を開けて猫部屋に入るとき、猫が廊下へ飛び出すのを防げる。

 猫たちが裏庭から猫部屋へ直接入れるように、掃き出し口(箒で掃いたゴミを捨てるため畳すれすれに設けた開閉自在の窓、高さ4寸=約12cm×幅1尺=約30cmくらいで泥棒は侵入不可)を利用する。地面から掃き出し口まで高さ2尺(約60cm)。慣れてくれば猫が簡単に飛び上がれる高さだが、一応コンクリートブロックで階段を作ってあげる。

 さあ、お引越し。胴震いするほど気温の下がった夕暮れどき、M夫人が縁の下のダンボ-ル箱を覗くと、5人とも、ちゃんと居てくれた。猫部屋の片付けで忙しいSさんを呼び、裏の勝手口から箱ごと運んで猫たちを新居へ移してもらう。
 遠赤外線コタツに古い毛布をかぶせ、電気代節約のため「弱」に設定してスイッチオン。
待ってましたと猫たちが擦り寄ってくる。でも、毛布をめくって入る智恵がないらしい。脚を立てた卓袱台(ちゃぶだい)をコタツに入れ、毛布の裾を持ち上げて出入り口にする。
 リーダー格のイーちゃんを押し込んでやると、全員続いてコタツの中にもぐりこんだ。よっぽど寒かったんだね。やれやれ。裏返した畳の上に新聞紙を敷き、餌と水の容器を置く。
(翌年4月下旬にコタツを片付けているので、7月のストラバイト騒動に電磁波は関係なし)

 Sさんは猫用トイレを買ってきたいと申し出たが、M夫人はノー。今までどおりウンチ・オシッコは庭でさせる。排泄のため猫部屋を自由に出入りできるように、掃き出し口を開けたままにしておきましょう。今まで縁の下で寒風にさらされてきたんだもの、平気のはずよ。泥だらけの足で帰って来ても、畳を裏返したから気にならない。爪とぎしても気にならない。
 ご苦労さんとSさんに残業代を渡し、ご夫君の了解を得るため書斎に向かう。悪臭や抜け毛、鳴き声など絶対にご迷惑をお掛けしませんから、と。2006/12/15(金)のことでした。
 

 

 

 
 ♂猫2頭の去勢は無事に済み、可哀想だけれど奇形児が生まれる不安はなくなった。
寒気が厳しい日は掃き出し口の障子を閉めていたが、いつのまにか猫たちは手の爪で障子を開けて外に出ることを覚えてしまった。いちいち障子を閉めるのが面倒なので、開けっぱなしにしたままにしておく。猫たちは、いつでも猫部屋へ自由に出入りするようになった。
でも、襖はズタズタ、柱はザクザク、裏返した畳はボロボロ。乾いた泥足の土と削ぎ落とされた壁土が埃となって舞い上がる。外でやってくればいいのに…、爪とぎなんて。

 そうやって冬を越し、春が過ぎ、梅雨となる。インターフォンが鳴り、突如、隣家から苦情。
「誠に申し上げにくいのですが、こちら様の猫ちゃんたちがウチの庭でウンチして困ります」
「まあ大変、どうしましょう…。五郎くんが怖くて、そちら様のお庭へ入らなかったのに…」
「実は五郎が寿命で死にました。コーギーが都内で13年も生きて、長生きできた方です」
「それはそれは、さぞやお悲しみのことでございましょう。心からお悔やみ申し上げます」

 江戸時代から続く屋敷町の住民にとって、ご近所迷惑は最も恥ずべきことの一つ。即座に陳謝し善処を約す。すぐSさんに来てもらいたいのに、今日は別のお宅で家事代行中。止むなくM夫人御自ら重い革トランクを猫部屋に運び、掃き出し口を塞いで猫たちを閉じ込める。とりあえず、この応急措置で猫たちが隣家でウンチするのをストップできる。でも、これから暑い夏だというのに、室内に閉じ込められる猫たちが可哀想でならない。
 翌朝、Sさんが臨時に出勤してくれて、吐き出し口の障子を釘付けにする。障子紙を破って脱出する可能性もありそうなので、家の外側から竹竿を何本も打ち付けて脱出を防ぐ。
 通風対策のため、Sさんが金物店で網戸を買ってきた。廊下の襖を開放して網戸を入れ、裏庭の窓の雨戸を開けて網戸を嵌め込む。これなら屋内に蚊が入らず、風通し良好。

 困ったのがトイレ。M夫人は猫部屋の横にある昔の使用人用の便所(汲み取り式、空の便壷が残っている)を猫に使わせよう。便所に接する壁に穴を開けて通り道を作ろう、と仰る。 Sさん猛反対。「底がない昔の和式便器で排泄を躾けるのは不可能でないにしても、私には出来そうもありません。奥様が上手に躾けられたとしても、万一猫が足を踏み外し、深い便壷へ落っこちたら助け出せない。レスキュー隊を呼んだらテレビに出ちゃいますよ」

 信頼厚きSさんの説得が功を奏す。最もポピュラーな手段として、猫用トイレを購入することでM夫人のお許しをいただく。でも、「1台あればいいんじゃないの?」との仰せ。
 「いいえ、奥様、贅沢で申しておるのではございません。猫はとっても神経質な動物で、自分のトイレでしか排泄しないんです」、「フーン、そうなの。それなら五つ買ってきてちょうだい」、
「ハイ、かしこまりました。これから買い物に行ってまいります。猫草も買ってきましょう」
「アッそれと、家の中が臭くなると主人に叱られますから、月曜と木曜の2回、家事と猫トイレのお掃除に来て欲しいわ。都合つくかしら?」
「あのー、それはちょっと…。猫は神経質なので、毎日トイレ掃除をしてあげませんと…」
「あなたに毎日来ていただくのは、アタクシのお財布が許してくれないし、どうしようかなあ」
「それでは朝9時から12時まで、月水金の週3回ということで如何でしょう。ありがとうございます。ご契約を変更させていただきます」。雨のち曇り、2007/06/25(月)のことでした。

〔本題から外れますが、庶民代表Sさんの素朴かつ率直な質問〕

S:お隣様に、もう一度、犬を飼って欲しいと、お願いできないものでしょうか?
M:この辺では、そんなみっともないこと出来ないのよ。猫を自宅の庭に入れないでと苦情を言うのは構わないけれど、犬を飼って欲しいと頼むのは甘えです。よそ様へ、こちらの都合で勝手な希望を押し付けるのは悶着のもと。よそ様の好意や親切、思いやりに頼ると、ヒトは堕落します。もしも、お隣にお願いして犬を飼っていただいたら、借りを作ってしまうわ。
この辺で長く住み続けるには、なるべく余計な借りを作らないようにしなきゃいけないのよ。
 10年くらい前のこと、どこかのアパートでピアノの音がうるさいと親娘3人が殺されたけど、死刑になった犯人が可哀想。ピアノやバイオリンは、隣家に音が届かない大きな家に住んでいるヒトに許されるものなの。アパートなんかでピアノを弾く方が悪いんです。

S:お隣様との境界が生垣だから、根元の隙間を猫ちゃんたちがくぐり抜けるんです。費用折半でコンクリートの塀に作り直そうと、お隣様にご相談なされましては如何でしょうか?
M:あなた、あの生垣がいつのものか、お分かり? 昔の旗本屋敷の名残りなのよ。地球の温暖化防止なんて大きなことは言わないまでも、東京のヒートアイランド現象緩和のため、先祖譲りの屋敷に住む者の義務として、緑を守らなければいけないの。それに、生垣を植え継いでいるうち、いつのまにか10cmほど隣家の敷地にズレ込んでしまったらしいの。
 境界線のズレ込みが分かったのは、お隣が相続税の物納で敷地の半分を税務署に取り上げられときなの。3人姉妹で残りの土地を3等分し、分筆登記のため測量をして分かったんだけど、びっくりしたわ。まさかねー。きちんと生きてきたつもりでも、知らず知らず迷惑してたんですものねー。そんな弱みがあるもんだから、Sさんが考えるほど簡単じゃないのよ。
生垣の長さを測ったことがないけど、90メートルくらいかしら。ここにコンクリートの塀を建てるとなると、数百万円くらいかかるんじゃないの? 費用折半は図々しいし、全額負担になるのかもねー。そんな余分のお金なんてありませんわよ、うちには…。
 それにしても情け容赦もないのね、相続税って。お隣はお嬢様3人で、お一人70坪ほどずつ分け合ったんだけど、区の条例で細かく分筆できないの。お子様たちの代で二等分すれば、お孫さんの代でもうお終い。土地を売って兄弟均等に分けることになり、そこへマンションが建って屋敷町が消滅してしまう。可愛い子供たちの相続争いを避けたいと願うのは切なる親心。少子化の原因は、こういうところにもあるんですよ。
 

 

 

 
 翌朝、他家の家事代行に出勤前、Sさんが立ち寄ってくれた。トイレ5台のうち、ウンチが載っていたのは1台だけ。裏返しの畳の上に新聞紙を敷いておいて良かった。部屋の隅っこにウンチが3個。これを1個ずつ別々のトイレに載せて、明日また様子を見ることにする。
トイレの外で尿をしているらしく、悪臭がただよう。ご主人様に叱られぬよう、Sさんが消臭剤を噴霧する。また、駅前の商店街で買ってきた活性炭の消臭材を部屋の四隅に置く。
 水曜日、Sさんの目論見が外れ、ウンチの載ったトイレ3台、新聞紙にウンチ2個。トイレの糞と尿ダンゴを捨て、新聞紙の糞を未使用のトイレに載せる。尿の悪臭が消えてないので、時々、お気が向いたときに消臭剤を噴霧してください、とM夫人にお願いする。

 木曜日、運動不足にならないようにと、Sさんがペットショップで選んだ4段リングのタワーが配達される。ふだんは宅配便を裏門の扉を開けて受け取るのだが、重そうなので勝手口まで運んでもらう。無用心だけど、しょうがない。組み立ては、明日、Sさんにやってもらおう。
 金曜日、トイレ5台とも使用されていたが、新聞紙にもウンチ1個あり。Sさんが嘆く、「誰なのかしらねー、物覚えが悪い子は。グズのエーちゃんじゃないかしら?」
 新聞紙に糞臭・尿臭が染み付いているせいかもしれないとSさんは気付き、新聞紙を撤去して畳全面に脱臭剤を撒布する。異臭が付いてないのはトイレだけ。
 一週間後の月曜日、Sさんの畳脱臭作戦が成功! 5台のトイレに糞と尿ダンゴが並び、畳の上には1個も糞がない。「さすがSさんねー、感心したわー」、と奥様に褒められた。

 でも、次の水曜日、奥様に怒られた。「あなた、ウソじゃないの。猫は神経質だから個別のトイレが必要だなんて…。見てると、誰も自分専用のトイレなんか決めていませんよ!」
「おやまあ、申し訳ございません。去勢でお世話になったY先生が、そう言ってたもんで…」
 Sさんの面目は丸潰れ。でも、これが当方(Dr.中島健次)にとって幸いしました。各猫専用のトイレが決まっていないため、キラキラ光るストラバイトが見付かったとき、どの子のものか分からなかった。そのため、5頭全員の尿のpHチェックが必要になったからです(後述)。
 

 

 

 
 なにやかや、いろいろ苦労はあったものの、とにかく5頭の猫の室内閉じ込め生活が軌道に乗る。ヤレヤレと安心したのもつかの間、閉じ込め18日後の2007/07/13(金)、一昨日から雨もよいで冷たい朝、猫トイレの尿を吸ったパルプ塊を捨てようとしたSさんは、キラキラ光る粒々に気付いた。でも、自宅で飼っている爺猫では見たことがないので、無視する。

 2007/07/16(月) 晴れ、清涼。キラキラが畳の上に筋を引いている。トイレの白いパルプ粒の上に赤茶色の斑点がポツポツと垂れている。もしかして、これが血尿なの?
「奥様ー、大変ですー、見てくださーい、変なんですー、なんか病気じゃないでしょうかー」
「あなたが分からないのに、アタクシに分かるわけないわよ。お医者様に来てもらって!」
「では、Y先生に電話します」、「Y先生って、あなたにウソを教えた方なんでしょう?」
「はい、でも人気があって、病院に入りきれず道路に並んでますから、信頼できるはずです」
「それなら、今すぐ来てもらえないか、電話してちょうだい」、「もしもし、Y動物病院ですか?」
「奥様、往診はしてないんだそうです。五人のオシッコを持って病院に来なさいって」、「…」
「そういう時代なんですよ、今は。昔と違って、人間のお医者さんだって往診しませんもの」
「フン、そうなの。で、Sさん、猫のオシッコを採ったことがおあり?」、「いいえ、全然」
「じゃあ、オシッコなしで病院へ連れて行ってもらうけど、キャリーバッグ買い足さなきゃね」
「申し訳ございません。午後から他のお宅へうかがわなければなりませんので…」

 猫トイレを掃除し、裏畳のキラキラを拭きとっているうちに勤務時間終了の正午となり、後ろ髪を引く思いでSさんが去る。M夫人はパソコンを開け、「猫の尿のキラキラ」で検索。
幸運にも、いきなり私(Dr.中島健次)のHPが目に留まる。
「ふむふむ、なるほど、キラキラはストラバイトというんだ。原因は運動不足なんだ」

      ストラバイトはジャンプで溶ける!跳んで跳んでピョンピョンピョン♪
     結石を防いでやるのは親の役。急いでジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!

 それじゃ、今すぐジャンプさせましょう。どの子がストラバイトを出しているのか分からないから、みんな一緒にジャンプさせよう。「みんなー、おいでー、ほーら、ピョンピョンしてー」
猫ジャラシに飛びつくものあり、無視するものあり。五人一斉のジャンプは出来そうもない。
 あっ、そうだわ。襖を外した押入れが空っぽだから、上段から飛び降りさせてみよう。足元に寄ってくる猫たちを次々に抱き上げ、上段に載せる。五人揃ったところで、ヨーイドン。猫たちの尻を押して畳に突き落とす。猫たちはジャンプよりも気に入ったみたい。もっとやってと足元に擦り寄ってくる。HPに書いてあるとおり、何回も繰り返して落としてあげる。

 ああ、くたびれた。猫たちも厭きたらしく、もっとやろうと擦り寄ってくる元気な子はイーちゃんとウーちゃんだけ。これじゃアタクシの身体がもちません。キラキラの出ている子が誰なのか、早く突き止めなければならない。即断即決、直ちに特許pHスティック発注!
 

 

 


 M様 pHスティック承りました。ご愛猫の尿のpH検査のためにL型スティックを1袋、ご発注くださいまして誠にありがとうございました。明日07/18(火)の朝一番の郵便で発送いたします。遅くとも木曜日までにお手元に届くはずです。食品資料も忘れずに同封しておきます。
 でも、ご愛猫たちは1歳にならない遊び盛り。餌の工夫よりも運動励行の方が遥かに大切です。スティックが届きましたら、真っ先に運動後の尿pHをチェックなされますよう、お勧めいたします。弱酸性~酸性の尿が出てこなければ運動不足ですので、もっと運動量を増やしてあげてください。毎日一度でも弱酸性以下の尿が出てくれるようになれば、必ずストラバイトの恐怖から逃げ切ることができます。敬具 Dr.中島健次拝(2007/07/16 18:52)

 中島健次先生 早速の受注確認メールありがとうございます。当家のミックスたちは同じ母親から生まれた五つ子です(雌3、雄2)。この子たちを住まわせている部屋の畳にキラキラ光る粒々の筋が見られ、慌てて検索したところ先生のHPが目に飛び込んでまいりました。
 キラキラの正体や解決方法が分かりやすく解説されていて、お蔭様で大助かりです。先生のスティックが届きましたら、すぐに排尿中の尿線カットというものを試みてみますが、もしもHPに書かれていないコツみたいなものがありましたら、是非、教えてください。猫の尿検査も尿のpH検査も未経験の初心者には、先生だけが頼りです。2007/07/16 19:39 M(東京)

 M様 犬に比べて猫の尿線カットは難しいという飼い主さんが少なくないのですが、猫に深く信頼されていれば簡単にできるようです。「猫尿のpH検査いろいろ」の④佐藤ゆかり様&そら君を参考になさってください。
 トイレにしゃがんでいる猫の尻尾を掴んで持ち上げ、お尻の下の隙間にpHスティックを差し込みます。尿がスティックに当たった感触を指先で察知したら、素早くスティックを尻の下から抜き出し、同時に尻尾を掴んでいた手を離します。尿がpH試験紙に命中していない場合が多いのですが、そのときはスティックを傾けて尿滴をpH試験紙に吸わせてください。絵で説明しておりますので、「pH検査の基本」の〔2〕人尿で練習のところをお読み願います。
 恐れ入りますが、次回のご質問は私のHPの隅々まで目を通してからにしていただきたく、お願い申し上げます。キラキラの本を1冊、タダで読めてトクだくらいの気楽な思いで、お目を通していただけますれば幸甚に存じます。敬具 Dr.中島健次拝(2007/07/16 21:05)

 中島健次先生 お忙しい先生のご事情も配慮せず、たいへん失礼いたしました。愛猫たちの尿に今まで見たことのないキラキラ光るものを見つけて、青天霹靂。不安で動顚している哀れな飼い主とご理解いただき、お許し願います。
 改めて落ち着いてトップページを拝見しました。ちゃんとコンテンツが載っており、気付かなかった私が悪うございました。でも、いささか見難いのでは…?(直言して済みません)

 それはさておき、排尿中の猫の尻尾を持ち上げるやり方。これなら私にも出来そうです。
私と五人の猫たちとは深~い愛情と信頼関係で強くつながっているからです。だから、きっと尿線カットができるはずです。早く試したい。pHスティックの到着を楽しみに待っております。
 それと、pHスティックが届くまで、先生のおっしゃるとおり、毎日数回、きちんとジャンプ運動を励行いたしますので、どうぞご安心ください。2007/07/16 21:51 M.Y子(東京)

 M様 ご愛猫の初めての異常事態でご心痛のところ、たいへん不躾なお願いをさせていただくご無礼を、お許し願います。実は前々から懸案の重要課題がございました。
 同じ母親の腹からほぼ同時に生まれ、同じ環境で暮らし、同じ餌を食べている五つ子や六つ子の中で、ストラバイトが出る子と出ない子がいるのは何故なのか?
 獣医業界では「ストラバイト体質」の一言で片付けておりますが、私は自分なりに勝手に想像して「♂ライオン」の仮説を立ててみました。でも、本当のところは、実際に五つ子全員の尿pHの測定データを検討してみなければ、正しい考察などできやしません。
 つきましては、M様のご愛猫5頭を実験動物とさせていただけませんでしょうか。もちろん無理に強要するものではございません。お気が向きましたら、ということで結構です。もしも幸いにして、尻尾持ち上げによる尿線カットが容易に出来ることをご確認いただきましてから、何卒ご高配いただきたく、伏してお願い申し上げます。
 とりあえず、明日の朝一番の郵便で発送する製品と一緒に、L型スティックの詰替1袋を実験用として同封させていただきます。これは私の勝手な早手回しですので、どうぞ遠慮なく協力不可と仰ってください。その場合、詰替1袋は、お詫びの印しに進呈させていただきます。
夜分、お騒がせして誠に申し訳ございません。敬具 Dr.中島健次拝(2007/07/16 22:48)

 中島健次先生 お早うございます。出てません! キラキラが出てません! 先生の言われるとおり、運動させたらキラキラが出なくなりました。ありがとうございます。感謝感激です。運動させるだけでストラバイトとかいう尿道を詰まらせる原因を除去できるなんて、素晴らしい治療方法です。今まで獣医師というお医者様たちとはご縁がなく、お付き合いをしてきませんでしたが、中島先生にはお目にかかって御礼申し上げたい気持ちで一杯でございます。
とり急ぎ、ご報告と御礼のご挨拶をさせていただきます。
 昨晩遅く、先生からのメールを拝読し、思いがけないお申し出に驚きました。荷の重そうなお仕事で、お断りさせていただこうと思いつつ昨夜は就寝したのですが、今朝の感激により私の消極的な躊躇の気持ちが一掃されました。喜んで先生のお役に立たせていただこうと存じます。どうぞ具体的な段取りをご指示くださいませ。こちらで出来そうなことは何でもやらせていただきます。遠慮ご無用です。重ねて、ありがとうございます。2007/07/17 08:15 M

 M様 貴メールを嬉しく拝読させていただきました。M様ご発案による押入れ上段からの
「5頭一斉突き落とし運動」が見事に奏効したよし。運動療法の発明者として、こんな嬉しいことはございません。キラキラを出していた子が5頭全員かどうか不明の現在、大変でございましょうが、どうぞ本日も明日も一斉突き落とし運動を励行していただきたく願い上げます。
 また、私の勝手きわまる申し入れにもかかわらず、早速ご快諾いただきまして心から篤く御礼申し上げます。でも、慌てる必要はございません。ご愛猫たちの尻尾を持ち上げて尿線カットができることを、ご確認なされてからで結構です。
 排尿中の尿線カットができなければ、トイレに皿を置いたり、ビニールシートを敷いたりして尿を採取しなければならず、非常に手間が掛かってしまいます。そんな厄介なことを他人様にお願いするほど、私は図々しくありません。
 これから朝9時の郵便集配車に間に合うように、L型スティック1袋+進呈の詰替1袋をポストに投函してまいります。遅くとも、あさって木曜日の午前中に、お手元に届くはずです。それを使ってみられて、実際に尿線カットがお出来になられましたら、改めて協力諾否のお返事をいただきたく、お願い申し上げます。敬具 Dr.中島健次拝(2007/07/17 08:46)

 中島健次先生 嬉しくて、いささか有頂天になっておりました。済みませんでした。ご指示にしたがい、オシッコのpHチェックに成功してから、改めてご返事いたします。でも、恐らく大丈夫のような気がしております。私と五人の猫たちは心と心がつながっているからです。
 それなのに、手遅れになれば尿毒症とかで死なせてしまったかもしれず、心のつながりの自信が少しゆらぎかけてしまいました。つながりを再確認するためにも、尻尾持ち上げの尿検査が楽しみです。さて、それでは朝の運動を始めましょう。2007/07/17 09:27 M(東京)
 

 

 

 
 2007/07/17(火)、正午すぎ、Sさんから電話。「猫を飼ってるお友達たちに聞いて回ったんですが、大変なことが分かりました。キラキラや血尿は猫特有の下部尿路なんとかという病気で、オシッコが出なくなり、膀胱がパンパンに膨らみ、放っておくと死んじゃうそうなんです。アーちゃんたち、ちゃんとオシッコが出てますでしょうか?」
「Sさんも気にしてくれていたのね。ありがとう。でも、ダイジョーブ。昨夜、インターネットで良い治療法を見付けたのよ。効果テキメン。今朝はキラキラなし。安心してね」
「そんなの信用なさらない方がよろしいのでは…。動物病院で診てもらった方が安心です」
「動物病院って、あなたにウソを教えたY先生のとこでしょう? よほどハンサムなのね?」
「そんなんじゃやないんです。実は、本当は、先週の金曜日にキラキラに気付いたんです」
「じゃ、今日で4日目ということね」、「もしかして木曜日に出始めて、5日目なのかも…」
「それがどういうことになるなのか、分からない。後で中島先生にメールして聞いとくわ」
 

 

 

 
 M様 キラキラに気付いたのが一昨日でなく、先週の金曜日(07/13、不吉?)だったと正直に話してくれたお手伝いさんは、家事代行の仕事に自信と責任感をもつ貴重な人材だと思われます。余計な差し出口ながら、どうぞ大切に優遇してあげてください。
 ご懸念の件。私には臨床経験がなく、pHスティックご利用の飼い主様たちから情報や知識を得ているだけなんですが、たぶん心配ないと思います。
 何故なら、キラキラ光る砂粒(ストラバイト)が尿中に出現し、剥がれ落ちた膀胱粘膜の断片がストラバイトに絡んだりして尿道を詰らせると、膀胱内に尿が溜まって猫の下腹部はパンパンに膨らんでくるのですが、ご愛猫たちにそんな症状が現れていないからです。
 まさか、M様も、お手伝いさんも気付かず、見過ごしたはずがありません。万一、見過ごしておられたなら、膀胱に溜まった尿が腎臓に逆流して尿毒症で急死するまで約24時間。もうすでに、猫たちが落命している頃合いです。
 ご愛猫たちのキラキラに気付かれてから4日も経っているのに、まだ尿閉が起きていない。というのだから、もう尿毒症の心配はありますまい。もしかしたら、昨日の押入れ上段からの突き落とし運動が、尿閉を起こす寸前、際どいところで間に合ったのかもしれませんね。
 でも、油断大敵。今日から数日間、ご愛猫たちがトイレの周りでウロウロしたり、しゃがんでいるのに尿が出なかったりしないか、下腹部が膨らんでこないか、注意深く見守ってやってください。もちろん、運動励行。押入れから落とすだけでなく、ときには首の皮を手で掴んで放り投げてみては如何でしょうか。厭きっぽい子も楽しんでやってくれるかもしれません。
 なお、万一に備え、お近くの24時間救急動物病院をパソコン検索で探しておきましょう。
お手伝いさんに来てもらえないときは、近くの便利屋が役に立つと思われます。タウンページで探しておかれますよう、お勧め申し上げます。敬具 Dr.中島健次拝(2007/07/17 14:34)
 

 

 

 
 2007/07/18(水)、今朝もキラキラなし。運動療法の効果を再確認。出勤してきたSさんに大威張りでトイレを見せる。「ほら、出てないでしょう」、「本当ですねー、不思議ですねー」
「押入れの上段に載せて、五人一斉に落としてやるだけでいいのよ。あなたもやってみて」

 同日午後3時、Sさんが帰った後に待望のpHスティックが届く。さっそく水道の蛇口をひねり、流水線を細めてpH試験紙に水が当たる感触を指先で覚える。水道水のpH7.2、か?
次に猫部屋へ携帯テレビと扇風機を持ち込み、猫たちがトイレで排尿するチャンスを待つ。

 最初に、オーちゃん♀がトイレに乗った。しゃがんだ。今だ!
左手でオーちゃんの尻尾をむんずと掴み上げ、すかさず尻の下の隙間に長いpHスティックの先端部を差し入れた。入らない。何でだろう? 尻尾を持ち上げて覗き込む。オーちゃんは嫌がらない。ウンチだった。pH試験紙にウンチが付着してしまい、捨てました。

 今度はエーちゃん♂がトイレに乗ってきて、しゃがんだ。今だ!
左手でエーちゃんの尻尾をむんずと掴み上げ、すかさず尻の下の隙間に長いpHスティックの先端部を差し入れた。エーチャンは平気で嫌がらない。
 スティックに尿の当たっている振動が右手の指先に感じられた。あっ、これなのね。
素早く尻の下からスティックを引き抜き、尻尾を掴んでいた左手を離す。
オシッコを終えたエーちゃんは、何事もないかのように平然とトイレから下りる。
エーちゃんの尿pH6.8(本当は6.9くらい)。なあんだ簡単じゃないの。次は、どの子かな?
 

 

 

 
 中島健次先生 無事にpHスティックが届き、先ほど三人の尿のpH検査をしてみました。
尻尾の持ち上げによる尿線カットができるかどうか、心配で心配でドキドキしながらチャンスを待っておりましたが、いざ実行してみると簡単すぎて拍子抜け。本当にこんなんでよろしいのか、どこか手落ちがなかったかなどど、かえって落ち着きませんでした。
 検査順に、エpH6.8(17:10)、ウpH6.4(17:35)、イpH7.0(18:30)です。これは如何でしょう。少なくとも弱酸性尿の出ているウーちゃんは、健康と判断できるのではないでしょうか。
 残る二人のアーちゃんとオーちゃんはまだ検査できていませんが、もう不安はありません。間違いなく、同じようにオシッコのpH検査ができると思います。でも、テレビを見ながらとは言え、猫部屋に閉じこもって猫たちがトイレに上がるのを待っているのは、決して楽なことではございません。また、猫たちに運動させるのも、楽なことではございません。
 明後日の朝、Sさんがトイレ掃除に来ますので、pH検査の練習をしてもらおうと考えております。特に難しいところもないので、Sさんにだって検査できるはず。そうなれば、土曜・日曜の二日間、朝から夕方まで休日出勤できないかどうか、相談してみます。
 先生が望んでおられますデータを得るため、何か注意すべきことや希望されることがおありのはず。どうぞ遠慮なさらずに、お申し付け願います。
 アッそれと、伺うべきか否か悩んで忘れかけたことなんですが、ほかの飼い主様たちは、トイレに乗ってきた猫がウンチなのかオシッコなのか、どうやって見分けているのでしょうか?姿勢とか時間とかで違いがあるのでしょうか? 2007/07/18 19:11 M(東京)

 M様 メールありがとうございます。驚嘆いたしました。事前に尻尾を掴む訓練もなさらず、いきなりの本番。初めて見るpHスティックを怖がり、排尿の途中でトイレから逃げ出す猫も少なくないようですので、M様と五つ子の絆の深さが並々ならぬものと拝察されました。
 尿pHの測定結果の読み方につきましては、pH変動カーブpH正常値のページに詳しく書いておきましたように、目まぐるしく上昇・下降を繰り返していることが健康で正常な姿です。
たとえば、pH8.0の尿が出ていても、次の尿がpH6.6以下の酸性ならストラバイトの心配なし。
ポツンと単発のデータを見ても判断できません。連続1週間の測定データが望まれますが、無理をお願いさせていただくつもりは毛頭ございません。お言葉に甘え、私にとって好都合で自分勝手な希望を、恐る恐る具申させていただきます。

①データは豊富な方がベター。金土日月の4日間、お手伝いさんに来てもらえませんか?
②猫の排尿時間は朝とか夜とかに集中するものではなく、気まぐれでマチマチです。また、
 ♀猫の排尿回数は0~2/日、♂はマーキングを含めて1~5回/日くらいと言われてます。
 お手伝いさんの勤務時間外は、できうるならばM様にご検査を願えませんでしょうか?
③運動させると尿のpHが一過性に下がってしまいます。かといって放置するとキラキラが
 出てしまうかもしれない。たいへん乱暴で厚かましいお願いですが、ここは実験と割り切り、
 金曜日から4日間、運動を中止していただけませんでしょうか。もしかすると、早ければ日
 曜日頃からキラキラが出てくるかもしれませんが、そのときはキラキラを出している子が
 特定できているはずですので、その子だけ運動させれば済みますが…。
④エサの影響を除去するため断食というわけにはまいりません。かといって今までどおり
 市販のキャットフードを置きエサにして、いつでも自由に食べさせておくのも??です。
 そこで、4日間に限り、朝夕2回、肉食オンリーに徹していただけませんでしょうか。
 恐れ入りますが、牛や鶏などの挽肉を生のまま食べてくれるかどうか試しみてください
 (安価な豚の生肉は寄生虫のトキソプラズマがちょっと心配、猫は避けた方が無難です)。
 生肉を食べると、尿がを一過性に酸性化します。そのため、運動不足で尿がアルカリ性
 になりましても、キラキラ出現の危険を回避できるはずです。ただし、生肉は腐敗が早い
 ので、食べ残しがないように。食べ残したら、こまめに片付けてください。お願いします。

 重ねて申し上げます。①~④は私の勝手な希望にすぎません。どうぞ、M様のお気持ちとご事情を最優先になさっていただきまして、しかる後に出来るか出来ぬか、ご勘案くださいますよう伏してお願い申し上げます。決して無理なお願いは、させていただきません。
 なお、お手伝いさんに尿検査の手順を説明なされます際、少しでも理解しやすくしておこうと思い立ち、HP猫尿のpH検査いろいろを更新しておきました。明後日、パソコンを開けてSさんに見せていただけますれば幸いに存じます。
 また、トイレ台に座った猫が、これから糞を出すのか尿をするのか見分け方があるかとのご質問ですが、ハタと困りました。今まで誰も私に聞いてこなかったものですから、考えたことすらございません。室内で猫と一緒に暮らしている飼い主さんたちにとっては、ごく当たり前の日常的なことなんではないかしら(脱糞の最中なら臭い)。恐れ入りますが、お手伝いさんにお尋ねいただきたく、お願い申し上げます。敬具 Dr.中島健次拝(2007/07/18 21:05)

 中島健次先生 昨夜、先生のメールを拝見して直ぐ、Sさんと電話で相談いたしました。
土日の休日出勤(朝8時~夕18時)は可能だけど、金月午後の予定は崩せないとのこと。
そこで、金曜と月曜日は午前中だけということで、ご了承ください。この条件で成果が得られますものかどうか、中島先生に工夫していただけると宜しいのですけれど…。Sさんが不在の時間、私もなるべく検査してみようとは思っています。2007/07/19 08:24 M(東京)

 M様 土日2日間、猫たちの尿のpH検査に休日出勤してくださるSさんに、中島が喜んで感謝していると、お伝え願います。M様におかれましては、余計な出勤手当ての支出を余儀なくさせてしまい、大変申し訳ございません。誠にありがたく、心から篤く御礼申し上げます。
 明日からの運動停止4日間に備え、どうか今日は、これから積極的に運動を励行なさっていただきたく、お願い申し上げます。敬具 Dr.中島健次拝(2007/07/19 10:55)

 中島健次先生 アーちゃんとオーちゃんは、昨日、尻尾持ち上げの尿線カットを試みるチャンスがなかったのですが、先ほど二人ともできました。これで五人全員に信頼されていることが確認され、とっても嬉しいです。それと同時に運動効果も、はっきり確認されました。
 先生にメールを差し上げた後、9時頃から1時間ほど、押入れ上段からの一斉突き落とし運動や、タワー運動(猫タワーの天辺まで五人を追い上げて自分で跳び下りさせる)を続けました。ランチの前、ちょっと猫部屋を覗いてみましたら、たまたまアーちゃんがトイレに上がるところでしたので、即座に実行。
 尻尾を掴んでお尻を持ち上げ、排尿中の尿線とおぼしきあたりにまでスティックを差し入れました。アラッ、股間から引き出したpH試験紙はやや赤みを帯びていて、比色表と比べてみるとpH5.8でした。次のイーちゃんの尿もpH6.2でした。
 本当にpHが下がるのですね。こうなるからキラキラが出なくなるのですね。納得しました。
これを見付けた中島先生は偉大です。お世辞じゃないですよ。ほかに二人、検査しました。
検査順に、アpH5.6(11:45)、イpH6.2(12:05)、オpH6.6(18:10)、エpH7.2(20:00)でした。
 先ほどSさんに電話し、牛か鶏の挽肉を買ってきてくれるよう頼んでおきました、明日の朝、Sさんが出勤したら、さっそく朝ごはんで食べさせてみます。五人の子は庭でヤモリやトカゲを食べてましたから、生の挽肉も喜んで食べるに違いありません。置き餌は片付けました。
 わざわざ更新していただきました尻尾持ち上げのページ拝見しました。そら君の写真を見れば一目でわかります。Sさんに見せて、尿検査をしてもらいます。2007/07/19 21:37 M
 

 

 


 2007/07/20(金)、Sさん出勤。ただちに牛の挽肉(生のまま)を別々の皿に載せ、猫たちの前に置く。五人とも生肉に群がり、むさぼるように食べ尽くす。ああ、良かったわ。

 ところが、Sさんは尻尾持ち上げの尿検査ができない。エーちゃんがトイレの上にしゃがんだので、尻尾を掴んで持ち上げようとしたとたん、トイレから下りてしまった。次のウーちゃんも、Sさんが尻尾に触ろうとしただけでトイレから下りてしまった。どうしてなの?

 ふだん、猫部屋の掃除やトイレの始末や餌・水を補給しているとき、猫好きのSさんの周りに猫たちがまとわりつく。Sさんが喉を撫でたり尻尾を引っ張ったりしても猫たちは嫌がらず、喜んでいる。それなのに、どうしてトイレのときは触らせないのか、不思議でならない。

 Sさんが猫たちの尿検査をできないなんて想像もしておらず、今さら中島先生との約束を破ることはできない。困った。われ如何せん。しょうがない、アタクシがやりましょう。でも、検査のタイミングを逃さないように、ずっと猫部屋の中で待機しているなんて、とてもじゃない。
 Sさんに見張ってもらい、猫がトイレに上がりそうな気配を感じたら、すかさず携帯電話で知らせてもらおう。急いでアタクシが駆けつけて、尻尾を掴み、検査することにいたしましょう。

 「もしもし、奥様~! お願いします~。ウーちゃんがトイレで~す」
 

 

 和室(6畳間)に閉塞された同胎5仔(生後約12ヶ月?)の尿pH(M様ご測定)
(早朝・深夜の尿検査不可、朝夕2回牛生肉給餌、猫タワーからの飛び降り自由)

猫名

07/18

07/19

07/20(金)

2007/07/21(土)

2007/07/22(日)

07/23(月)

ア♂
(赤)

 

5.6
(11:45)

  7.0
(15:25)

  6.4    6.8    7.2
(09:40) (13:00) (21:15)

  7.0    7.2    6.8
(07:35) (14:10) (17:55)

  6.6    7.6
(08:05) (10:30)

イ♀
(黄)

7.0
(18:30)

6.2
(12:05)

  6.4
(13:00)

   6.0   6.8
(10:30) (22:20)

  7.8    6.4
(08:20) (21:15)

  6.2
(09:55)

ウ♀
(青)

6.4
(17:35)

 

  7.2
(09:40)

   6.4    7.0
(11:20) (16:50)

  6.2    7.6
(10:15) (18:00)

 

エ♂
(緑)

6.8
(17:10)

7.0
(20:00)

  7.0     7.6
(10:45) (14:40)

   6.8    7.6      7.0
(08:35) (11:05) (15:10)

  6.8    6.6    7.2
(10:30) (13:05) (21:10)

  7.0
(07:30)

オ♀
(橙)

 

6.0
(18:10)

  7.6     6.0
(11:00) (21:35)

   6.6   7.4
(08:05) (17:15)

  6.2
(09:30)

  6.4
(10:15)

参考A
(元気な幼女)

    6.2     6.8      7.2      5.8      7.6
 (07:03)   (11:33)   (16:41)   (18:58)   (21:25)  〈2007/08/18〈土〉測定〉

参考B
(ボケかけ爺)

  5.6    5.6    5.8    5.8    5.6     5.2     6.8    6.0     5.6    6.4     6.2
(00:48) (03:43) (05:35) (07:31) (09:47) (12:07) (15:01) (18:29) (20:34) (21:49) (23:53)

 

 

 

 

 
 かくして、五つ子の貴重この上なき尿pHのデータを入手できました。M様、および補佐役S様に心から篤く厚く御礼申し上げます。本当に、ありがとうございました。感謝、感謝です。

 7月20日から4日間、毎朝、トイレに排尿の痕跡が残っていたよし。M様は朝一番尿のpHチェックができなかったことを気になされておられましたが、とんでもございません。
 これは、事前の説明を欠いた当方の手落ちです。朝一番尿のpHチェックが簡単なのは、自分で検尿のできるニンゲンと飼い主さんと散歩に行くまで排尿を我慢できる犬だけです。 
 猫の場合は非常に難しく、例えば飼い主さんと一緒に寝ていた猫が、明け方、フトンから出て行った。それで、ああトイレだなと気付く。というような状況でなければ、なかなか朝一番尿のチェックは困難です。説明不足で余計な気を使わせてしまい、申し訳ございませんでした。
 本来なら、こういう実験は、とっくの昔に獣医大学でやっておかなければならないことです。学生たちは徹夜なんか平気の平左、喜んで見張ってくれるでしょう。そういう地道な基本の実験をせず、犬の心臓移植やら猫の腎臓透析やら、何十年遅れの「従医」のマネゴトばかりがもてはやされてしまいました。私どもこそ、お詫び申し上げなければならない立場です。

 上表の参考A(元気な幼女)のデータは、夏休みで泊まりに来てくれた孫娘(もうすぐ5歳)のものです。別の日に測らせてもらった朝一番尿5回の測定結果は、pH5.8~6.2でした。
 pHスティックご利用の飼い主様たちから送られてきたデータを総合しますと、若くて腎臓機能が正常の健康な猫や犬も、朝一番尿はpH6.0前後にまで低下する傾向にあります。
 それ故、7月20日から4日間、毎朝9時の朝食(生肉)前に測定された尿pHは、酸性になるだろう。との予想に反し、実際はpH6.8や7.0でした。特に♀猫イでは、07/22の08:20にpH7.8になっています。いったい何があったのだろう。
 この♀猫イは、猫タワーの天辺から競争相手の♀猫オを何度も突き落としていたそうですが(後述)、勝利の瞬間の感激や快感が原因だろうか。それとも、大好きなママ(M夫人)が部屋に入ってきてくれた瞬間、激しい歓喜で副交感神経が全開したのだろうか?
 上表の参考Bは、2007/07/21における66歳の私の尿pHです。動脈硬化が進んで手足の指先が痺れたり、感動・感激することのなくなったボケかけ老人の尿は、常に酸性になりがちです。尿のpHアップに暗中模索・苦心惨憺し、私は3年もかかりました。それに比べたら、元気な若猫や若犬の尿pHダウンなんて簡単至極。運動させれば済むのですから。

 ♂猫アは、高さ約80cmの押入れ上段から、M夫人に押されて飛び降りる運動を好んだ。10数回も飛び降り運動を繰り返した後の尿は、pH5.6でした(07/19)。
 ところが、運動の強制を止めた07/20からの4日間、♂猫アの尿は最低でもpH6.4どまり、それ以下には下がらなかった。おそらく、猫アは寝そべってばかりいたのだと思われます
(pH6.4の尿は朝の09:40に出ているが、これは明らかに朝食で食べた生肉の効果です)。
 一方、高さ約2mの猫タワーの頂上から互いに落とし合った♀猫イと♀猫オでは、両者ともpH6.0の酸性尿が出ています。高所から飛び降りて着地する瞬間の衝撃が、さぞかし猫の四肢の筋肉に程好い疲労をもたらすのだろうと推察されます。

 これで判明しました。誰がキラキラ(ストラバイト)を出していたのか、の答えです。4日間のうち、弱酸性(pH6.4±0.2)ないしそれ以下の酸性尿を出していた日が何日あるか?
 ♂猫ア:2日、♀猫イ:4日、♀猫ウ:2日、♂猫エ:1日、♀猫オ:4日。したがって、4日間、毎日一度、弱酸性以下の尿が出ていた♀猫イと♀猫オは、明らかにストラバイトとは無縁だったはずです。となると、他の3頭ア・ウ・エのうちの誰か?
たぶん、その3頭ともストラバイトを出していたのだろうと推察されます。

 何となれば、朝夕2回の生肉が効いているからです。牛挽肉の肉食オンリーに切り替える前は、市販のキャットフードを置き餌にしていました。それらに野菜や大豆などのアルカリ性食品が含まれてなく、肉類だけの酸性食品だったとしても、置き餌はよろしくありません。
 理由は簡単。安全な室内で寝そべったままノンビリしていると、四肢の骨からカルシウムや燐酸塩類などのアルカリが溶け出して血流に乗る。体内の過剰なアルカリを中和する酸類が足りないと、アルカローシスになってしまう。そうならないようにホメオスタシス(恒常性維持機能)が働き、過剰なアルカリが腎臓で濾過されるから尿がアルカリ性になる。
 こういうとき、置き餌をちょぼちょぼ食べていたのでは追いつかない。かつての日本軍が敗け続けたのは、激戦地へ少数兵力を断続的に投入したせいだったという。それと同じです。
 体内に溜まった過剰のアルカリを中和するためには、一挙に大量の酸性食品を摂取しなければならないのではなかろうか。朝夕2回、たっぷりと肉を食べることによって、体内に溜まったアルカリを確実に中和させる。その結果、弱酸性以下の酸性尿が出てくるのです。

 4段リングの猫タワーを♀猫イと♀猫オに占領され、部屋の隅で縮こまっていたという運動不足の♂猫ア・♀猫ウ・♂猫エについて、食後約3時間以内の該当する尿pHを通覧してみますと、せいぜい低下してもpH6.2程度にすぎません。もちろん、これでストラバイトを確実に予防できるのですが、猫タワーから飛び降りていた女ボス2頭の尿pHと比べてください。
 やっぱり私がかねてから強く申しているとおり、エサよりも運動です。肉食オンリーに徹してストラバイトを防ぐのは次善の策。あくまでも運動第一が最善であることを、改めて確認することができました。

 仮説「♂ライオン」で、ストラバイトが♂猫に多発する原因の一つは、快適安全な室内に恐怖の敵がいない、それで警戒し緊張する機会がなくて交感神経が弛緩し、副交感神経優位となって尿がアルカリ性になったまま低下しなくなる…、のではないかと書きました。
 でも、一緒に生まれた姉だか妹だかが激しく争そっているのを恐れ、緊張して部屋の隅で縮こまっていたはずなのに、♂猫アとエの尿は酸性にならなかった。もしかすると、去勢した♂猫は戦列外になるのではなかろうか。つまり、避妊してない♀猫たちに相手にされない。無視されて面白くないから、ごろごろ寝そべるしかない。それでストラバイトが出やすいのではなかろうか? 以後、ストラバイトの出た♂猫の去勢の有無に着目してみます。

 上表をつらつら眺めていて思い付いたのですが、「猫の百度食い」がいけないのではなかろうか。ストラバイトで動物病院に来るのは、猫が犬の3倍近いと聞いてます。今まで、猫は水をあまり飲まないから尿が濃くなるからだ、♂猫の尿道が細くて長くてストラバイトが詰まりやすいからだ、などと説明されてますが、果たしてそれだけだろうか。もしかしたら、置き餌を少しずつ食べる猫の習性がストラバイト多発の主原因かもしれない。
 一人暮らしで昼間は仕事に出かける飼い主さんたちに、実験をお願いします。ケージや室内に猫を閉じ込めて外出するとき、今までは置き餌にするのが常識でした。留守中でも空腹にならないようにするため、自動給餌装置の特許もたくさんあります。その常識に逆らって、餌を片付け、水だけ置いて外出する。帰宅したらケージから解放すると共に、生肉を満腹するまで食べさせてあげる。生肉は腐敗するから、食べ残しは冷蔵庫に仕舞う。朝夕2回の肉食満腹によって、必ず愛猫の尿pHが低下するに違いない。ぜひ、試してみてください。
 ただし、ボケかけの老獣医師の頭を過ぎった思い付きにすぎません。試していただくのはたいへん嬉しいのですが、何卒、自己判断・自己責任でお願い申し上げます。 

 


 イ♀(黄)とオ♀(橙)に注目! これが健康で正常な尿pHの姿です
  これならストラバイトは出来ない(作表・作図:中島健次、不許複製) 

 

  さて、上図の折れ線グラフに注目してください。M様から頂戴した4日間(7/20~7/23)の五つ子たちの尿pH値を線で結んだものです。不完全なデータ(早朝・深夜の尿pHが抜けている)のグラフなんか意味がない、と思われたら大間違い。学術論文じゃありません。偶然かもしれませんが、5頭の猫とも、尿pHが見事に上昇・下降を繰り返しています。

 尿が一過性にアルカリ性になるのは、異常でも何でもありません。pH4~9くらいの範囲内で、絶えず目まぐるしく上昇・下降を繰り返して変化するのが正常な姿です。
 尿がアルカリ性になったため、目に見えない微小な三重燐酸結晶が析出するのは単純な化学反応にすぎず、尿と一緒に体外へ捨てられるのだから無害です。
 警戒すべきは、尿がアルカリ性になったまま低下しなくなること。これがイケナイのは、析出した微小な三重燐酸結晶がドンドン大きくなってしまうからです。砂粒くらいの大きさなら、尿と一緒に出てきてキラキラ光って見えるので飼い主さんに気付いてもらえます。気付かれずに放置されると、カルシウムなど他の尿成分が結合して巨大な結石になってしまい、尿道を詰まらせたり、膀胱粘膜を傷付けたりして死を招きます。
 だが、無闇に恐れることはありません。尿がアルカリ性になっても、上図のように一過性に弱酸性以下に低下すれば何の問題もないのです。

 毎月一回とか、毎週一回とか、動物病院で行う尿pHの定期検査のバカバカしきことよ!
上図を御覧いただけば、どなたにも納得していただけましょう。本当に愚かな習慣です。
 でも、大本は医学領域での誤解に発しています。腎臓で濾過された不要物・有害物を体外へ捨てるための液体である尿を、かつては「体液」の一つと認識していたようなのです。
 体液なのだから、血液などと同様にホメオスタシス(恒常性維持機能)で管理されているに違いない。故に、血液の正常値がpH7.35~7.45に維持されているのと同様、尿のpHにも正常値がなくてはならないはずだ。尿pHの正常値はpH6付近だ、いやpH6.0~6.5くらいだ、犬や猫ではpH6.2~6.4だ、などと諸説紛々。決められないのが当たり前、上図のように、常に大きく変化しているのが正常な姿だからです。

 獣医学の教科書を修正せねばなりません。だが、哀しいかな。かつて日本学術会議の講堂で颯爽と講演した若き俊英も、隠居すれば無力な爺。獣医学会での影響力はゼロになりました。となれば、「従医」の業界気質を逆手にとり、医学の教科書を修正してもらった方が早道かもしれない。との深慮遠謀で、隠居の身を省みず、痛風や糖尿病の皆さんに尿のpHチェックを推奨させていただいている次第です。もちろん、蟷螂の斧かもしれませんが…。

 で、かんじんの体質は? ストラバイト体質は、どうなった?
残念ながら、五つ子の尿pHを眺めても答えは得られませんでした。でも、そんな変な体質なんてものは猫にも犬にもありゃしない、という私の当初の見解は揺らいでおりません。
 もしも本気でストラバイト体質とか結石体質とかを主張するのであれば、獣医大学レベルで
「ストラバイト体質の♂猫」×「ストラバイト体質の♀猫」から生まれた子猫の全てがストラバイト体質になるのか、半分か、四分の一か。その孫たち、曾孫たちにも遺伝するのかどうか。こういう研究が不可欠です(犬でも同じ)。それなくして私を批判し、反論する資格は誰にもありますまい。「ただの運動不足にすぎないのだ!」、否定できるなら、どうぞ、どうぞ。
 

 

 

 
「奥様、申し訳ございません。かんじんなときに、オシッコ検査のお役に立てませんで…」
「ホント、不思議よねー。エーちゃんたち、オシッコじゃやなくてウンチだったのかしら?」
「どっちでも同じです。動物が敵に襲われやすいのは、排泄・交尾・出産のときだそうです。一番警戒しているときだから、猫ちゃんたちは奥様しか触らせなかったのだと思います」
「ウフフ、そうお。やっぱりね。嬉しいわ。アタクシも、そうじゃないかと思っておりましたのよ」

「奥様も、お気づきになられましたでしょうか? イーちゃんとオーちゃんの物凄いケンカ…」
「エーッ? あれがケンカなの? 猫タワーのてっぺんを取り合っていただけじゃないの?」
「それはそうなんですけど…。朝から夕方まで2日間、お部屋の中で五人と一緒に暮らしていて思ったのですが、このままですと二人は女王の座を争って死ぬまで闘うような気がしてなりません。ほかの三人は怖がって、隅っこに縮こまっているようです」
「そんなにヒドイなんて…。アタクシがお部屋に入ると、みんな仲良く寄って来ますのに…」
「奥様の前でだけ、良い子にしてるんですよ。昔から『猫を被る』っていうじゃありませんか」
「それで、あなたはどうしたら良いと思うの?」、「外へ出してやっていただけませんか?」
「庭へ出したら、またお隣から苦情が…」、「いいえ、お庭ではなくて、お屋敷の外へです」

 猫タワーの最上段の筒の上からオーちゃんがイーちゃんを突き落とす。イーちゃんが上に登ってきて、オーちゃんを筒の上から叩き落とす。てっきり楽しく遊んでいるものとばかり思っていたら、「どっちが女ボスになるか争っているんです」とSさんに教えられ、びっくり仰天。
去勢してない♂どうしの争いなら、怪我だらけで血まみれになると聞き、さらにビックリ。
 何故なら、一人っ子だったM夫人の幼きころの願いが兄弟姉妹だったからです。兄弟姉妹は仲良しこよし。同じ卵の双子ならもっと仲良し。だから、猫の五つ子も仲良しに決まってる。

 ところが、猫たちの生存競争じみた争いは、M夫人にとってカルチャーショック。初めての新鮮な驚きだった。底知れぬ深淵を覗き込んだ不気味さを、とっさにお感じになられたという(30年ほど昔、お目出度い慶事と祝福された日本で初めての五つ子たちは、どうしているのかしら。無事に成長する可愛い姿が高校生になるまでテレビで放映されていたけれど、その後パッタリ姿を見せていない。もしかして、不運不幸で四分五裂?

 ノラの子はノラへ帰そう。五人の首からリボンを外し、裏門の潜り戸を開けて公道に放つ。「元気でね。車に轢かれないよう気をつけるのよ。赤ちゃん出来たら産みに帰っておいで」
M夫人とSさんが見送るなか、あっと言う間に姿が消える。よっぽど外へ出たかったんだ。

 激しい喪失感・寂寥感・虚脱感、と同時に重荷を下ろして深い安堵感・解放感・疲労感。
とにかく五人は去った。さらば、猫たちよ。潜り戸を閉めるSさんの背中に、声をかける。
「ご苦労さま。次からはまた、毎週一回でお願いしますね」、「はい、かしこまり…、ン?」
「ニャ~オ」、閉めたばかりの潜り戸の向こうで呼んでいる。扉を開けてと呼んでいる。

 Sさんが扉を開けると、アーちゃんとエーちゃんが飛び込んできた。お帰りなさ~い。もう
戻ってきちゃったのね。男の子のくせに、意気地なしね。でも、嬉しいわ。帰ってきてくれて。
去勢して男の子じゃなくなっちゃったから、もうノラでは生きて行けないのかもしれないわね。
変なことをしたアタクシが悪かったわ。ごめんなさいね。ずっと、ここに居ていいのよ。

 退出時間を気にするSさんに頼み、猫部屋の掃き出し口の釘を抜き、竹竿を取り払ってもらう。これで前のように、庭へ自由に出入りできる。でも、隣家に迷惑かけぬよう、排泄は猫部屋の中でさせよう。トイレ台を二つ残し、大好物の生肉を部屋の中で与えることにする。
 「ウチに住みたければ、オシッコとウンチは必ずここでするんですよ」、二人に言い聞かす
(言うことをきかなければ、隣家の境の生垣に金網を張ろうか、恐そうな犬を買ってきて庭へ放し飼いにしようか、庭の隅に砂場を作ろうか)。2007/07/23(月)、正午すぎのことでした。
 

 

 


 貴重な尿pHのデータをいただいてから、早2ヶ月。残暑にめげず、クーラーなき書斎に閉じこもって頑張れども、遅々として進捗せず。ひと様の流麗な名文の要約という作業が如何に難事であるか、もうコリゴリです。二度といたしますまい。脳力劣化を思い知らされました。
 言い訳がましきことながら、なかなか進捗しなかったのは五つ子の行方が気がかりだったせいでもあります。M邸から出て行かなかった♂猫アとエは猫部屋に居付いたまま、♀猫イとオが取り合った猫タワーの最上段の筒の中で、2頭仲良く寝そべって喧嘩もしないよし。

 お手伝いさんの提案で、生垣から一番遠い勝手口の庇の下の雨がかからぬ乾燥した地面に、コンクリートブロックで囲った約1平米の砂場を作ってあげたところ、2頭の♂猫たちが好んで排泄するようになり、隣家の庭へ侵入する気配は全く見られないとのこと。
 ♀猫3頭は消息不明。気になって時々、M様が近所の公園や緑地帯を探しておられるものの、今のところ生死定かならず。妊娠して里帰りの期待も空しいという。でも、それでよろしいのではなかろうか。母猫たちにM邸内が安全な出産場所であることが知られたら、都内有数の超高級住宅地に猫屋敷が生まれてしまう。テレビのワイドショーなどで騒がれたら、M様も猫たちも無事では済まなかろう。どうか、このままM邸が平穏無事であり続けますように…。

 末筆ながら、生後半年になるやならぬやの子猫の去勢手術を引き受け、無事に成功なされましたY院長の卓抜たる手腕に、深甚なる敬意を表させていただきます。それと共に、最良の顧客になっていたかもしれないM夫人に、Y院長を主治医にせよと推薦いたしませず、誠に申し訳なく心から深くお詫び申し上げます。敬具     20007/09/28 Dr.中島健次記
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


M夫人から必ず私のHPに掲載せよと厳命された「悲憤慷慨」 3件

1. 御先祖様、なにとぞ子孫を絶やさないでくださいまし!
 私をお可愛がりくださいました御祖父様・御祖母様、御父様・御母様、そしてM家累代の御先祖様たち、どうか私に子宝をお授けくださいまし。M家最後の私に子が授かりませんと、私の代でM家は絶えてしまいます。いよいよ駄目となったなら、主人の近親者を養子にしてM家の名跡を残しますけれど、なろうことなら是非にも我が子を授け給え。
 真冬の山中で滝に打たれて神仏におすがりしました。祈って祈って祈り続けました。願って願って願い続けました。お寺での法要ご供養を欠かさず、お彼岸の墓参も欠かさず、墓石も磨き続けてまいりました。それなのに、神様からも、仏様からも、御先祖様からも何のお助けもいただけず、空しく閉経に至ってしまいました。
 先祖霊が実在するのであれば、子孫の絶滅を喜ぶはずがございません。少なくとも、私を珠玉の如く可愛がってくださいました祖父や両親の霊魂は、私の願いを聞き届けてくださるはずではないでしょうか。それがなかったのです。霊魂なんて無い、と悟らざるを得ません。
 霊界とか前世とか霊能力とか、霊魂を売り物にしてテレビに出ている方々に質問します。
世田谷一家惨殺事件の犯人を霊視しないのは何故なの? どなたも霊視できないのでは?
飲酒運転で幼児を轢き殺し、焼き殺し、橋から突き落とした犯人が死なないのは何故なの?
憎い殺人犯が生きているのは、先祖や被害者の霊魂が存在しないことの証拠じゃないの?
 国民の生命・財産を守るのが国家の役目です。そのためにこそ税金を納めているのです。
故に、強盗殺人事件などは国家の手落ちです。被害者に泣き寝入りさせる国家は無用です。
生命・財産を守れなかった警察署の署長は、被害者に詫びて引責辞任せねばなりません。
被害者から過去に徴収した税金を返還し、残された遺族の納税を終生免除とすべきです。
国家の威信をかけて迅速に犯人を捕らえ、目には目を。問答無用で処刑してくださいまし!

2. 三つ子以上は不妊治療の失敗作です!
 神仏にも御先祖様にも見離され、一心不乱、不妊治療に専念しておりました頃、五つ子の誕生を祝賀するテレビや新聞などを見るにつけ胸を抉られる思いをさせられました。
 高野山かどこかのお寺の高僧が名付け親となり、世間こぞって目出度い目出度い。医学の勝利と囃し立てる。
 とんでもない。子宝を切望する不妊夫婦にとりまして、欲しいのは子供一人。せいぜい双子までです。人間の哺乳器は二つなのですから、双子が限界です。それなのに五つ子が目出度いだなんて、当事者の困惑に気付かぬ世間の良識に戸惑いました。
 不妊治療を担当した医師たちは、五つ子の両親に多大な負担を課してしまったことを詫び、技術の未熟を恥じ、失敗を認めてテレビなど公の場で陳謝して欲しかった。
 当時、不妊治療の現実に絶望し、怖気をふるった夫婦がいたことを知っておいてほしい。

3. 東京に、あの澄んだ青空をもう一度!
 太平洋戦争に敗れ、占領軍の指令によって華族・士族・大農などの身分が剥奪されたことにより、日本固有の精神文化を継承する上流階級が衰微してしまいました。
 あまつさえ、過酷極まりなき相続税制により、先祖から引き継いできた財産が分散し、さらに衰退へと追い詰められております。
 幸い天皇家だけは昔日の栄光を保ち続けておられますので、まだまだ日本国も輝き続けましょう。でも、天皇家の盾となる旧華族や官軍系旧士族を衰微させ消滅させ続けたまま、千代に八千代に天皇家がご安泰であらせられますかどうか、密かに危惧いたしております。
 願わくんば英雄出でて、史上何度目かの王政復古を成し遂げられんことを!
皇室の藩屏を蘇生・再建してくださいまし! 皇都安寧のためi急ぎ警察力強化を願います!
山手線・中央線・地下鉄各線に昔どおりの一等車(警備員付き)を復活してくださいまし!
 悪貨は良貨を駆逐し、腐った1個のリンゴが樽内すべてのリンゴを腐らせます。礼節欠如の不良者どもと電車内で遭遇したとき、これを不快に思わぬ都民はおられますまい。
 何が四民平等でしょうや。恥を知る者は恥知らずに敵いませぬ。行き過ぎた人権尊重や過度の公平主義は社会不安を招きます。乗車賃2倍の一等車を復活させることにより、都民の自家用車保有率やハイヤー利用率が減り、再び東京に美しい青空が戻ってきましょう。
 昭和30年頃まで、祖父は人力車に乗って銀座などへ出かけておりました。私の幼稚園への送迎も人力車でした。門の脇に車夫のGさん家族が住む長屋と車庫がありました。その頃の東京の空は、吸い込まれるように青く澄んでました。どうか美しい青空に戻してくださいまし!
 そんな嬉しく楽しい夢が見られますなら、養子を立てるなどしてでも当家を存続させる意義がございましょう。そうなると、相続税で敷地の半分を国庫に召し上げられた隣家と同様、当家も辛い酷税を課せられます。ですが、我慢し耐え忍んでみせましょう。M.Y子(匿名希望)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


中島先生 今日もこの肌寒さ・・・先日、サマーカットにした小鉄が寒い寒いと丸まっております。
さて、M様の五つ子物語を拝見させて頂きました。お屋敷から放たれた子猫の行方が気になっております。いきなりの厳しい都会の中で強く生きていてくれれば良いのですが。。。
個人的に私は、不幸な野良猫を増やさない為にも、避妊去勢手術は必要だと思っています。
地域猫という位置づけも、避妊去勢をしてこそのもの。

我が家の猫、あー(奥様の猫と同じ名前ですね)も、元々は捨て猫。足立区に住んでいた父の家の前に捨てられていて、父が拾った猫。一年半程して、我が家に引き取ったのですが、生後半年くらいの時に、小鉄の主治医に避妊手術をして貰いました。
一切外へは出しませんが、さかりの鳴き声のすごさに驚いたのと、頻繁に訪れるさかりの本人の辛さの方が大きいと考え、まだまだ幼い顔のあーのお腹を切って貰った訳です。

一度も子を産んでないこのあーちゃんですが、その後、弟宅に二匹の子猫が拾われ、仕事の関係で、ミルクをあげられないと一時我が家に来た兄弟猫の世話を必死にやっておりました。
ウンチでベチョベチョに汚れたお尻を洗おうと私が子猫を洗面台に連れて行くと、子猫が恐怖でミーミー鳴きわめき、それに危機を感じたのだろうか、あーが洗面台にのぼり、私の手から子猫を奪おうとしておりました。母性本能なんだろうなぁと関心してしまった私。

その後に生後49日目の小鉄がやって来たのですが、この時もすごかったですよ。そのくらいの子犬も、食べては寝て遊んでは寝てと、ところ構わず寝てしまう。そんな小鉄の横で添い寝してやるあーちゃん。この子が人間なら、間違いなく過保護な親になるなと思ったものです。
が!今では、そんな恩を忘れた小鉄に頭に来る事もあるのでしょう、吠え掛かられるとポカッと一撃食らわしております。決して爪は立てないので、小鉄も舐めきってるのでしょう。

私も子供を産む臓器を持ちながら、産んでいない女として、一個人としての猫の避妊去勢に対しての思いです。これに関しての奥様のご意見を是非お聞きしたいと思います。
                                                                 はる(東京・練馬区) 2007/10/01
 

 

 


 ようやく、要約できましただなんて…。これでは要約どころか、削りすぎ縮めすぎ。アタクシが言いたいことの百分の一も書かれておりませず、かなり憤慨しておりました。でも、ちゃんと読んでくださる方がおられまして、少し安心いたしました。さっそくのコメント、ありがとうございます。
 でも、猫の名前が「あーちゃん」だなんて…。ほんとうなの? 中島先生のアドバイスでしょ?
「あー」にしておけばMの気を引くから、なんて勧められたのではないかしら。次に、「いー」という猫の飼い主様からコメントを頂けたら、おかしくて笑っちゃいますね。でも、楽しそう。

 楽しいだなんて、はる様に叱られてしまいますね。猫の避妊去勢は笑い事じゃございません。
削りすぎの弊害がもう現れました。上の授乳光景の写真の下5行目が削除されているのです。
「子宮を使わなかった女なんて、哺乳動物の雌として失格だわ。アタクシはアナタに負けたのね」

 この切なる気持ちがアタクシの正直な本心です。それなのに、中島先生は削るという。削ってはならないと拒絶したら、実は娘(梨本佳与)が猛反対。不妊に苦しむ女性たちの気持ちを傷つけるから絶対に削除すべきだと言ってます、とのこと。それじゃあ、まあ、しょうがない。
 中島先生のお嬢様は、可愛い子供に二人も恵まれて、憎たらしい。でも、生まれていればアタクシの娘くらいの若い母親から、ヤメナサイと言われたら素直に従うしかございません。

 でも、中途半端な妥協は宜しくありませんでしたね。はる様も子宝に恵まれなかったよし。それが、ご結婚なさらなかったせいなのか、ご結婚されていてもご主人に問題があったのか、余人の与り知らぬこと。もしも、不幸にして私と同じように、ご自分の体内に何かが欠けておられましたのなら、五体健全の他者を羨みこそすれ、あえて毀損する罪を犯す気にはなられますまい。
 猫とて同様です。せっかく天から備わった健全な生殖器を、人間たちの勝手な都合で切除することが許されて良いのかどうか。人間に、そんな権利はない。と、アタクシは思います。

 人類とって家畜が大切なのは承知しております。馬やラクダなど運搬に役立つ家畜の雄は、繁殖期になると暴れて手に負えなくなるそうですから、去勢は必要だと思います。牛や羊などの雄は去勢した方が飼いやすく、肉質が柔らかくなるそうです。また、テレビで見かける盲導犬や麻薬犬、災害救助犬、猟犬、牧羊犬など人類の役に立つ犬たちの場合、その特技を特化するために育種改良し、不適合個体を淘汰するのは当然なこと、と理解することくらいアタクシにもできます。でも、可愛いからこそ一緒に暮らす猫や犬たちは、断じて家畜ではありますまい。

 猫たちや、猫より弱々しく見える小さな犬たちの場合、繁殖を営利事業とする者は別として、
一般の飼い主さんが自分の都合で睾丸を取り、子宮・卵巣を切除するなんて言語道断。そんな非業なことをしてまで、猫や愛玩犬を飼ってもらいたくありません。子宝に恵まれなかった不運な女性たちにとりまして、猫や犬の去勢避妊は、我が身を切られるように辛いことだと存じます。
 アタクシのところで、奇形誕生を恐れるあまり、雄猫二人の去勢をしてしまいましたのは間違いでした。悪いことをして御免なさいね。心より後悔しております。

 そんな自分を棚に上げているようで気が引けますけれど、お住まいの広さや食餌費など飼い主さん側の事情によって、飼い猫の去勢避妊手術が励行されている風潮は納得できません。
 健全な生殖機能を除去してまで自宅で猫を飼う資格が、皆さんにおありなのかどうか。飼うのが困難なら飼わなければ宜しいのです。
 はる様のご質問への的確なお答えになっていないかもしれませんが、とりあえずアタクシの胸のうちをチラッと書いてみました。でも、猫たちと暮らし始めて、まだ1年そこそこの初心者です。
思い違いも少なくないことでしょう。はる様に教えていただければ、とても嬉しゅうございます。

 出て行ったまま戻らない雌猫3人を、ご心配くださってありがとうございます。でも、たぶん車に轢かれたなんてことはないはずです。どこの城下町も同じだと思いますが、この辺は千代田城を見通せないように細い道が入り組んでまして、自動車はめったに入ってきません。消防車が通れるように道路拡幅計画が持ち上がったこともありますが、住人たちの反対で実現せず、火事のときは長いホースを何本もつないで水を送ることにしました。伐採禁止の大木が多く、いたるところに猫たちが潜むに適した藪が散在しております。むしろ畑や雑木林の多かった練馬の方が道路の幅は広く、自動車の通行が激しくて、猫たちにとって危険なのかもしれませんね。

 猫に詳しい家事ベテランのSさんの提言により、受胎した雌猫イ・ウ・オーちゃんたちがいつでも帰ってこられるように、裏門の扉の下の角を切り取って通路を開けました。ちょっと小さいのではとSさんに言いましたら、猫は頭がくぐれさえすれば、お腹が大きくても平気で通り抜けられるとのこと。子猫たちが生まれましたら、今度こそ去勢なんてやりません。子猫が増えたら隣家の境に網を張る予定でおりますが、中島先生に魚網なら安価だと教えていただきました。
 増えて増えて猫千匹の猫屋敷になりましょうとも、当家はビクともいたしませぬ。アタクシの代で絶える家です。猫にあげちゃいましょう。癲癇の記録、読ませていただきますね。ご機嫌よう。
〔注記〕中島先生、このメールは「要約」しないでくださいね。 2007/10/02 M.Y子(東京)
 

 

 


〔ご寄稿謝絶〕
 少なからぬ方々からコメントをいただき、心から篤く御礼申し上げます。しかし、違うのです。
「乳母日傘」で育てられた雲の上の人に向かって、「子猫の糞が汚いとはトンデモナイ」などと叱ることはお門違いなんです。そういう世界のあることをご存知ない普通の家庭の皆様方を責めるのも間違いでしょうから、どうぞコメントをお控えいただきたく、お願い申し上げます。敬具
 

 

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