キラキラの正体は、尿中に浮遊するガラス状の粒々です。水晶と同じ結晶です。
それで尿晶(ストラバイト)と呼ばれているのです。
尿晶(ストラバイト)になる前、骨組織から流出して腎臓で濾過された燐酸塩類は、
尿が中性(pH7.0)〜アルカリ性になると析出(結晶化)します。
この目に見えない微小(数ミクロン)な結晶を、医学領域では「三重燐酸結晶」と呼んでいます。排尿の際、体外へ捨てられてしまう無害な尿成分の一つにすぎません。
それ故、三重燐酸結晶なんて警戒無用です。気にしないで無視してください。

気にしなければいけないのは、尿がアルカリ性になったまま低下せずに長引いているときです。そのまま放置すると、無害な三重燐酸結晶が肉眼可視大のストラバイト(尿晶)になり、光線の乱反射によってキラキラ光って見えるようになります。
このキラキラを見逃すと、ストラバイト(尿晶)がさらに大きくなって尿道を詰まらせたり、ストラバイト(尿晶)の周囲にカルシウムなどの尿成分がこびり付いて「ストラバイト由来の
結石」」になったりするなどして、我が子も飼い主さんも辛い思いをすることになってしまいます。

カルシウムに包まれたストラバイトは酸に溶けない本物の結石です。そうなると、もはや手遅れで運動療法は無効です。唯一最善の対策は、膀胱切開により結石を摘出する外科手術だけです(ウラジロガシは流石薬であって溶石薬ではない)。
そうならないように、尿の中でキラキラ光って見える段階で、いち早く飼い主さんが気付いてあげてやってください。不運にも尿のキラキラ(ストラバイト)を見落した方は、主治医の診療方針を最優先になされますよう(飼い主さんの手に負えなくなります)。

 尿に微細な結晶が出たって病気じゃない!


 

 
尿に結晶が出る⇒尿石形成の危険信号!
恥ずかしながら、何となく長年そう思い込んでおりました。それが間違いらしいと気付かされたのは、人間の蓚酸カルシウム尿石を取り上げたテレビのお蔭です(olds-2 ご参照)。
テレビを見終わり、急いで臨床獣医師向けの専門書を開いてみたら、ちゃんと次のように書いてありました。
 

 

 

 
 「原尿中に濾過されて出た低分子化合物のうち、再吸収されにくいものが溶解域を超え過飽和になって析出したものが結晶である。結晶は血中の余剰物質を生体が恒常性を保つために放出したものと考えられ、その観点に立てば、放出により生体は恒常状態に戻った、あるいは戻ろうとしている状態であって、診断的意義は大きいものとはいえない。しかし、他方では病的状態で産出される結晶もあって、生体内の情報として受けとることもできる。出現した結晶について、どのように理解するかは観察者の考え方、経験などにかかっている」
                   (獣医学臨床シリーズ17『尿検査』、学窓社、1999より抜粋)
 

 

 

 
ビールを飲み、枝豆を食べれば、蓚酸カルシウムの結晶が尿に出てくるそうです。でも、それは一過性の正常な生理現象にすぎず、誰も気にしないし、心配もしていません。
それと同様、骨組織から血液に移行した燐酸塩類が腎臓で濾過され、どこかで結合して燐酸アンモニウムマグネシウム塩になり、アルカリ性の尿中で析出して三重燐酸結晶(顕微鏡レベルの微細な結晶)になったとしても、尿と一緒に排泄されてしまうので無害です。

問題なのは微細な結晶が尿に出現することではなく、尿がアルカリ性のまま持続してしまうことです。いったい何時間くらい持続するとイケナイのか、残念ながら未解明のまま手付かずなんですが、たぶん尿pH7.0以上の状態が12時間以上も続くと、
A:三重燐酸結晶が1個ずつ大きく成長して肉眼可視の尿晶(ストラバイト)になる?
B:三重燐酸結晶が多数固まり、これを核として他の尿成分が結合して尿石になる?
C:ストラバイト(尿晶)の周囲に他の尿成分が結合してストラバイト由来の
尿石になる?

尿晶になるかストラバイト由来の尿石になるか。上記A・B・Cの分岐点となりそうな体内事情について、これも残念ながら未解明のままです。でも、学理なんかどうでもいいじゃないですか。とにかく、我が子(犬・猫)の尿閉を予防するのが先決です。
幸い、三重燐酸結晶は尿がpH6.6以下の弱酸性になれば溶けて消えます。だから、尿pHがアルカリ性になっても一過性で、絶えず目まぐるしく上昇下降を繰り返す正常な状態に戻るよう、我が子の生活習慣を改善してあげれば良いのです。⇒尿のpHは目まぐるしく変わる

アルカリ性の尿を弱酸性〜酸性に低下させるなんて、いとも簡単。クスリもサプリも特殊なフードも無用です。ただ走らせて肉食(生肉・生魚)に徹するだけ。本当に、これでOKなんです。
犬や猫にとって、室内暮らしが不自然きわまる生活環境であること、改めて正否を論ずるまでもありますまい。でも、ペットの健康を優先してイナカに移住なんて贅沢が望めない以上、がんばって日常の生活習慣を変えていただくしかありません。すなわち、生活改善策の第一は運動です(走れ走れ!ご参照)。運動不足の動物に、全力疾走の効用は二つあります。

@骨組織から燐酸塩類が流出する原因の一つは、もしかしたら犬や猫が安全で快適な室内に暮らしているが故に起こる「廃用性萎縮」かもしれません。獲物を追って山野を駆け巡るのに必要だった頑丈な筋骨が使われなくなったため、不要になった骨組織の成分(ストラバイトの原料)が腎臓経由で尿中に廃棄されているのではないでしょうか?

A室内暮らしの犬を日当たりの良い広場などで全力疾走させてあげましょう。地上を走り回る自由が与えられていない猫には、床の上でピョンピョンと跳ぶジャンプ運動をさせてあげましょう。そうすることにより、乳酸などの疲労物質が筋肉に溜まります。それが腎臓で濾過されて尿の中に排出されるので、必ず尿pHが低下して弱酸性〜酸性に変わります。運動させても尿がアルカリ性のままで変化しないときは、その運動量では運動不足であるか、または腎臓などの機能不全を疑わなければなりません。

生活改善策の第二は、野菜・果物厳禁です(肉食オンリーご参照)。
犬や猫は肉食動物だというのに、わざわざ野菜や果物などのアルカリ性食品を食べさせるなんて、正気の沙汰じゃない。どこのどいつが言い始めた栄養学なのか知りませんが、野菜や果実が犬・猫の栄養になるというのが真実であるなら、山野に捨てられた犬や猫が餓死せずに済むはずじゃありませんか。どうか理屈に合わない虚説に惑わされないでください。

最後に私の予感を書き残しておきます。そんなに何十年も先のことではなく、日本の獣医業界でストラバイトとかストラバイト由来の尿石という言葉は使われなくなり、死語となるに違いなし。何となれば、運動させて野菜・果実を食べさせない、たったこれだけのことで室内暮らしの犬や猫の大半を尿道閉塞から守ってあげられるからです。必ず死語になると確信します。
 

 

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