猫の尿石症



 


 私の「猫観」は、もう時代遅れで古びたものかもしれません。でも、近所で見かける幼稚園や
保育園の先生たちは、私と同じ考えではないかしら。すなわち、園児の気持ちを大切にはする。だが、園児の恣意に振り回されることなく、大人の意思で園児たちを統制しなければならない。
 それと同様、猫に《
お仕え》するなんて、とんでもない。もちろん、スズメやネズミなどを襲うときの敏捷な跳躍力、屋根から落ちても四肢で着地できる柔軟な筋骨など、猫ならではの特殊能力を尊重すること、決してやぶさかではございません。でもね、それは別にして、総体的に見れば、
猫は人間の2歳児以下の知能しかない動物なのです。
 

 

  
 

 故に、「ねこのきもち」を優先し、それに振り回されるなんてことが、あってはならないはずです。猫と接するときは、あくまでも人間中心、人間第一、人間が猫のご主人様であるべきです。
 たとえば、平岩弓枝の小説「五人女捕物くらべ」に登場する『猫姫おなつ』のように、蛇使いならぬ猫使いとして、猫たちを支配して欲しい。
 あんなのは小説で作り話だと思われる方々は、ぜひとも、私のHPに紹介させていただいた「のん様」を見習っていただきたく、お勧め申し上げます。

 


 

 テレビで見たのですが、ロシヤの猫サーカスで演技していた猫たちは、みんな調教師の目を見たり手を見たりして指示に従っていました。犬のように忠実でした。
 猫は集団で獲物を追うライオンの親戚だ。いや、♂も♀も単独行動を好む虎や豹の仲間だ。
ネコとは「寝子」のことだから運動無用だ等々、いろんな意見があるようです。何を信じようとも自由ですが、運動無用だなんて外出自由が当たり前だった昔の話。猫を室内に閉じ込めて屋外へ出さないなら、絶対に運動が不可欠です。ましてや、ケージに閉じ込めるなんて言語道断です。
 さまざまな事情で自由に外出させられないなら、せめて運動励行を心がけてください。元気なら玩具や餌で釣ってジャンプさせましょう。デブで運動嫌いの猫なら、タンスの上など高いところから突き落としてあげましょう。四肢で着地するときの衝撃が、筋骨の鍛錬になります。

 なお、猫は亡霊を見ている、と信じる飼い主さんが少なくないようです。ホントかウソか霊盲者の私には分かりません。でもね、自分は見えないくせに、「また出たみたい」などとHPやブログなどに書かないで欲しい。霊魂の見える人だけが猫の霊眼について書く資格あり、と私は思います。
 霊魂の類が見えると公言し、生業にしたりテレビに出たりしている方々にお尋ねしたい。
殺された被害者本人や、被害者の先祖たちの霊魂が犯人に仕返しをしないのは何故ですか?
霊魂が本当に実在するなら、自分や子孫を殺した殺人犯へ報復すればいいじゃないですか?

 昔、念力で敵国要人を暗殺する研究が日本サイ科学会で取りざたされてました。そんなことのできる超能力者が実在するなら、殺された被害者の遺族たちの怨念で殺人犯を呪い殺せるのではないでしょうか。でも、そんな実例は皆無なのが現実のようです。
 あなたが猫の見ている亡霊と同じものを見ることができるというのなら、99.99%、ただの錯覚かウソだと推察されます。本当に霊魂などを見る霊能力があるのなら、殺人犯を呪い殺せる能力をお持ちかもしれません。どうか、試してみてください。実績あればテレビで喧伝され、恨みを晴らして欲しい遺族たちが行列を作りましょう。200年前、日本にもノコギリ挽きの死刑があったという。眼には眼を。でも私自身は全くの能なしで、もどかしい限りです。 2008/01/05 Dr.中島健次追記
 

 


運動すれば尿がサッと一過性に酸性化します。ぜひ、ご自分の目で確認してください。
あれこれ食餌のことで迷い悩んできた苦労や努力や出費などがバカバカしくなります。
同様に、肉や魚などを食べさせれば尿pHがスーッと低下しますので確認してください。
無知の鞭もて我が子を閉じ込め、膀胱切開・陰茎切除。それでも止めないケージ飼い。 

ストラバイトはジャンプで溶ける!  跳んで跳んで ピョンピョンピョン♪
結石を防いでやるのは親の役。急いでジャンプ!ジャンプ!ジャンプ!
 

 


 ストラバイトに由来する結石や蓚酸カルシウムの結石は、飼い主さんが原因の人源病です。
最悪なのが一人暮らしの勤務者で、犬や猫を狭いケージの中に閉じ込めて出勤する。留守中に室内を荒され、糞尿で汚されると掃除が面倒だからだという。ま、分からないでもありません。
でもね、本当はね、まだ早いのよ。犬や猫を飼う資格ナシ、というのが私の正直な気持ちです。

 しかし、そうも言ってばかりおられません。現実にケージの中に閉じ込められっぱなしの可哀想な犬や猫がいて、その多くがストラバイトや蓚酸カルシウム結石に苦しみ、摘出のために膀胱を切開されたり、尿道詰まり防止のためにペニスを切断されるなどの憂き目にあっています。

 切開手術や尿道洗浄などの治療は獣医師の仕事ですが、そうならないように予防してあげるのは飼い主さんの責任です。血尿やキラキラ光る砂粒、頻尿や排尿困難の呻きなど愛犬・愛猫の挙動不審を見逃さないようにしてください。
 細菌感染が原因の本物の膀胱炎なら、必ず抗生物質が効果を発揮して2〜5日で完治するのに対し、抗生物質が効かず、だらだらと血尿が続く場合が少なくありません。それは、尿がアルカリ性になったまま低下しないことによって起こる膀胱炎モドキです。

 膀胱炎モドキを知らず、抗生物質に頼り続けていると、ストラバイト(ストルバイト、ストロバイト)が出てきます。それを放置すると酸に溶けない本物の結石に変化してしまいます。
ストラバイトを溶かすのは簡単で、
1に運動、2に肉食。呆気ないほど簡単です。
蓚酸カルシウム結石の予防も簡単で、茹で野菜厳禁。これだけでOKです。
ただし、ストラバイト由来の結石や蓚酸カルシウム結石を溶かす薬なし。切開し摘出あるのみ。

 我が子(犬・猫)をケージに閉じ込めて仕事に行かねばならない飼い主さんに、一筆啓上。
あなたがケージに押し込んでるのは、生きている動物です。縫いぐるみの玩具じゃありません。犬が広場を全力疾走する喜び、猫が地上を駆け回ってスズメやネズミやバッタを食べる楽しみ。
それを奪っていることは、相手が人間なら人権蹂躙の大罪に他なりません。それでもまだケージ飼いを続けたいのなら、せめて罪滅ぼしのつもりで毎日の運動励行を心掛けてください。
                                      2007/07/10 Dr.中島健次追記
 

 

五つ子の猫を六畳間に閉じ込めた。キラキラが出た。4日間、尿pHを測定していただき、
折れ線グラフを描きました。一目瞭然、尿pHは上昇・下降を繰り返す(2007/09/29追記)


尿石症(urolithiasis)とは、腎臓から尿管、膀胱、尿道にかけて尿路内に結石ができる病気です。
結石(stone)とは、尿路内に析出した多量の結晶(crystal)どうしが固まったり、結晶の周囲にカルシウムなどの尿成分が結合して形成されたものです(尿の中で出来る結石だから尿石)。

たとえば、骨組織から流出した燐酸アンモニウムマグネシウム塩がアルカリ性の尿中で析出した微小な結晶を三重燐酸結晶と呼び、アルカリ性の状態が長引いて肉眼で見える砂粒状の大きな結晶に発達したものを尿晶(struvite)と呼び、さらに尿がアルカリ性のまま持続した結果、尿晶の周囲にカルシウムなどが結合すると酸に溶けないストラバイト由来の結石になります。

尿石が停滞する場所により、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石とも呼ばれます。
尿石の表面が粗くてザラザラだと、尿路の粘膜を傷付けて炎症を起し、腹痛や血尿が出ます。
尿石や
尿晶が尿道を塞ぐと排尿困難(尿閉)となり、尿毒症で落命する危険が極めて高くなります。 

日本獣医師会雑誌(平成14年1月号)の「小動物疾病発生状況(平成11年度)」によると、全国34のモニター病院が1年間に診療した小動物約7万頭(初めて来院した犬、猫、ハムスター、小鳥、兎、フェレット、モルモット、その他)のうち、尿石症の発病率が最も高かったのはです。
すなわち、診療した猫12,414頭のうち422頭(
3.4%)が尿石症でした(猫での発病頻度10位)。次がで24,455頭中243頭(1.0%、犬での発病頻度20位)、兎が402羽中2羽(0.5%)でした。

猫の尿石症をFUS(Feline Urological Syndrome 猫泌尿器症候群)とも呼びます。これは、尿石や、それ以外の原因(膀胱内の出血が凝固したもの、細胞が崩壊した蛋白物質の塊など)で尿道が閉塞し、排尿障害を起した状態を示す病名です。ただし、FUSの定義はあいまいすぎるとして、最近ではFLUTD(Feline Lower Urinary Tract Disease 猫下部尿路疾患)と呼ぶことが提案されてます。だが、FUSであれFLUTDであれ、最重要の発病原因がストラバイトであることに変りありません。

猫の尿石症の70%以上が燐酸アンモニウムマグネシウム塩に由来するストラバイト(尿晶)、またはストラバイトに由来する本物の尿石で、次に多いのは蓚酸カルシウム尿石です。ほかに燐酸カルシウム尿石や尿酸アンモニウム尿石などがあります。
尿道を閉塞する猫特有の尿道プラグ(栓)は、柔らかい砂状物質が膀胱内に溜まり、これが尿道に入って詰まってしまったものです。尿道プラグの主成分はストラバイトである場合が圧倒的に多いので、FUS(FLUTD)=尿石症と大まかに理解してもかまいません。

長毛種の方が短毛種よりもはるかに発病率が高いそうです(理由不明)。♂♀とも発病率は同じですが、危険な尿道閉塞を起すのは♂猫だけです。ごく稀に♀猫でも尿道閉塞を起しますが、生死にかかわるほどではありません。そのわけは、♀猫の尿道が太く短くて柔軟性に富んでいるのにくらべて、♂猫の尿道は長い上に、ペニス内で急に尿道が狭くなっている。そのため、キラキラ光る砂粒状の尿晶(ストラバイト)や尿石が詰まりやすいと説明されています(尿石体質なんてウソです)。

尿道閉塞(尿閉症)を起した♂猫は悲惨です。詰まり具合と経過時間によって症状は様々ですが、頻尿(排尿回数の増加)、排尿困難〜排尿不能、決まったトイレ以外の場所で排尿する、血尿(膀胱壁が結石で傷付けられる)、苦しがって奇声を発する。下腹部を触ると、尿が溜まりに溜まって膀胱がパンパンに膨らんでいます。もちろん食欲はなくなり元気消失、嘔吐、昏睡、不整脈もみられる。この状態のまま放置すれば、72時間以内に腎不全⇒尿毒症となり、致死率は極めて高い。

動物病院では、緊急処置として膀胱に太い注射針を刺し、溜まった尿を大急ぎで抜き取ります。症状がそれほど切迫していなければ、ペニスをマッサージして、尿道内に詰まった結石を膀胱内に溜まった尿の圧力で押し出そうと試みます。それがダメなら、ペニスの尿道内に細いカテーテルを挿入して水を噴射し、水圧で尿道内の結石を膀胱内に押し戻そうとしたり、超音波で振動する細長い棒を尿道内に挿入して結石を細かく砕こうとしたりします。そうやって一旦は急場をしのいでも、いつまた再発するか分かりませんので、抜本的処置として「会陰尿道口形成術」というものを施します。つまり可哀想なペニス切断です。

獣医学の教科書によると、猫は犬よりも水を飲まないので尿量が少なく、濃縮された尿が排泄される。だから、尿中に含まれるアンモニウムやマグネシウムなどが結晶化されやすい傾向にある、と説明されています。確かに、そういう要因もあるかもしれませんが、一番の原因は運動不足だと思われてなりません。猫の先祖が虎かライオンか。正確なことは忘れましたが、本来なら獲物を追って山野を敏捷に走り回れる頑強な猫たちを、安全で快適な室内に寝そべらせているから、尿にストラバイトが出てくるのではないかと思われます

地上で走りまわることが許されていない猫には、どうか床の上でピョンピョンとジャンプ運動をさせてあげてください。さらに休日には、なるべく屋外へ連れ出してやりましょう。首輪に長いヒモを付けて猫を地上に下ろし、元気に走りまわらせやっててください。巣から落ちた子雀を追いかけるもよし、♀猫の匂いを嗅がせるもよし、犬に吠えられて逃げるのもよし。それらの刺激・緊張・興奮が交感神経を活性化させることにより、弱酸性〜酸性の尿が出てくるようになるはずです。
もちろん、たっぷり運動して筋肉が疲労すれば、乳酸などの疲労物質が尿に出てくるので尿pHが必ず低下します。⇒
室内暮らしのペットたち

寝そべって ばかりいるから骨が解け 燐の尿晶 尿路を塞ぐ

運動もさせずに尿の酸性化を望むのは感心できないのですが、次善の手段として、アルカリ性食品の野菜や果物を厳禁し、肉(生肉、手羽、モツ)や魚、スルメ(酸性食品)など安価な肉食オンリーの食餌に徹していただくことをお勧めいたします。
なお、酸性食品・アルカリ性食品につきましては、拙著「
出てますか?弱酸性尿」(文芸社、2006年12月発行)に詳しく紹介しておきました。また、元の資料南山堂、大正11年発行「内科診療の実際」より抜粋)を希望される方が多いので、お届けできるようにしております。

動物病院でも猫の尿検査は非常に厄介な作業です。猫を押えつける保定係と、膀胱を圧迫して尿を絞り出す採尿係の二人ががりでやらなければなりません。ときには下腹部に青痣ができるほど強く圧迫してしまい、猫に嫌われ飼い主さんに叱られて、全く立つ瀬がありません。そのため、猫のお腹に注射針を刺し、膀胱から尿を吸い出す場合もあります。飼い主さんから見れば残酷と思われるかもしれませんが、意外と猫には痛くなく、手っ取り早い採尿方法ではあります。

それが嫌で、自宅で採取した猫の尿を容器に入れて動物病院へ持参する飼い主さんも少なくありません。動物病院の中には積極的に奨励し、便利な採尿スポンジを売っているところもあります。でも、採尿後数時間経過した尿は腐敗しかかり、バクテリアが繁殖してアルカリ化してしまうことが多いのです。それでも、せっかく苦労して採取してくれた尿を捨てるのは申し訳ない。良心的な獣医師たちは内心忸怩たる思いをしながら、腐敗した尿で一通りの検査を済ませることもあるやに聞いてます。どうぞ飼い主さん自身で我が子の尿のpH検査を心掛けていただきたく願って止みません。

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