犬の尿石症



 


 私の「犬観」は、もう時代遅れで古びたものかもしれません。でも、近所で見かける幼稚園や
保育園の先生たちは、私と同じ考えではないかしら。すなわち、園児の気持ちを大切にはする。だが、園児の恣意に振り回されることなく、大人の意思で園児たちを統制しなければならない。
 それと同様、犬に《
お仕え》するなんて、とんでもない。もちろん、鋭い嗅覚、敏捷な運動能力、熊や猪を恐れぬ勇気、湯タンポ犬の優しさなどの特殊能力を尊重しております。でもね、それは別にして、総体的に見れば、犬は人間の2歳児以下の知能しかない動物なのです。
 それ故、犬と接するときは、あくまでも人間中心、人間第一、人間がご主人様であるべきです。
「いぬのきもち」を優先し、それに振り回されるなんてことが、あってはならないはずです。

 犬は集団で行動し、序列の中で安心する動物です。最近流行の家族の一員とか、対等の友情とか、犬を人間並に扱う風潮に私は反対です。そんなことを、犬たちは望んでおりません。人間に支配され、家庭内で人間の末席に位置付けてもらう。その位置で、人間に気に入られ、褒めてもらい、可愛がってもらう。これが、犬にとって一番嬉しいことなんだと思います。 

 故に、犬を支配し従わせる意志も気力も体力もない人間は、犬を飼ってはいけないのです。
たとえば、ワンワンキャンキャン、のべつまくなく吠える犬は、主人に躾けられていない証拠です。
自分で躾けられなければ、プロに頼んで躾けてもらわなければいけません。躾け料金を払えない貧乏人は犬を飼う資格なく、躾けてもダメな犬は生まれつきのバカ犬です。
 躾けられてないバカ犬1匹のせいで、周囲の住人、新聞・郵便・宅急便などの配達員、普通の通行人など何百何千もの人々が不快なストレスを負ってしまう。ウルサイばかりでなく、狭心症など心臓病もちの老人が耳元や足元で不意に吠えられたら、頓死する危険だって懸念されます。

 バカ犬を可愛がるバカな飼い主が後を絶たず、実に嘆かわしい。恥さらしな飼い主は、己が無知なることを知らぬが故の無恥が多い。フトン叩き婆や糞尿撒き爺などと同様、迷惑極まりなき有害な欠陥人間です。親切に注意してあげてもダメなら、白い目で蔑視するしかない。
 立派な素晴らしい犬たちが毎日ガス室で殺されています。片やバカ犬が大切に飼われている。この不条理を如何せん。ゲルマン民族の純化を標榜したヒトラーは自殺し、万人平等が正義とされる時代です。だが、バカ犬の淘汰を促進してこそ、犬の人気が保たれるのではなかろうか。

 なお、ガス室送りの前の数日間、飼い主の救出を待っている群の中から名犬を確実に見分ける方法があります。すなわち、処分場の係員たちは、ペットショップの販売員など足元にも及ばぬ優れた鑑識眼の持ち主です。よって、@できれば係員から数頭の候補を教えてもらい、Aあなたの目を見てスクッと立ち上がり黙って尾を振る若犬を探し、Bその中で一番気に入った犬を選ぶ
(ただし、収容された犬たちの生死の運命に自ら関与したくないと考えている係員も少なくない)。
 どうしても選別しがたい犬が2頭いたら、両方とも引き取ってください。残してきた犬が気になり、ノイローゼになりかねません。そんな選別に悩まず2頭とも飼うか、どうしても1頭しか飼えなければ、飼えない犬の里親探しに努力した方がはるかに楽です。 2008/01/10 Dr.中島健次 追記
 

 


運動すれば尿がサッと一過性に酸性化します。ぜひ、ご自分の目で確認してください。
あれこれ食餌のことで迷い悩んできた苦労や努力や出費などがバカバカしくなります。
同様に、肉や魚などを食べさせれば尿pHがスーッと低下しますので確認してください。
無知の鞭もて我が子を閉じ込め、膀胱切開・陰茎切除。それでも止めないケージ飼い。 

ストラバイトは走れば溶ける!走れ走れランランラン♪
結石を防いでやるのは親の役。急いで走れ、全力疾走!

 

 


 ストラバイトに由来する結石や蓚酸カルシウムの結石は、飼い主さんが原因の人源病です。
最悪なのが一人暮らしの勤務者で、犬や猫を狭いケージの中に閉じ込めて出勤する。留守中に室内を荒され、糞尿で汚されると掃除が面倒だからだという。ま、分からないでもありません。
でもね、本当はね、まだ早いのよ。犬や猫を飼う資格ナシ、というのが私の正直な気持ちです。

 しかし、そうも言ってばかりおられません。現実にケージの中に閉じ込められっぱなしの可哀想な犬や猫がいて、その多くがストラバイトや蓚酸カルシウム結石に苦しみ、摘出のために膀胱を切開されたり、尿道詰まり防止のためにペニスを切断されるなどの憂き目にあっています。

 切開手術や尿道洗浄などの治療は獣医師の仕事ですが、そうならないように予防してあげるのは飼い主さんの責任です。血尿やキラキラ光る砂粒、頻尿や排尿困難の呻きなど愛犬・愛猫の挙動不審を見逃さないようにしてください。
 細菌感染が原因の本物の膀胱炎なら、必ず抗生物質が効果を発揮して2〜5日で完治するのに対し、抗生物質が効かず、だらだらと血尿が続く場合が少なくありません。それは、尿がアルカリ性になったまま低下しないことによって起こる膀胱炎モドキです。

 膀胱炎モドキを知らず、抗生物質に頼り続けていると、ストラバイト(ストルバイト、ストロバイト)が出てきます。それを放置すると酸に溶けない本物の結石に変化してしまいます。
ストラバイトを溶かすのは簡単で、
1に運動、2に肉食。呆気ないほど簡単です。
蓚酸カルシウム結石の予防も簡単で、茹で野菜厳禁。これだけでOKです。

 我が子(犬・猫)をケージに閉じ込めて仕事に行かねばならない飼い主さんに、一筆啓上。
あなたがケージに押し込んでるのは、生きている動物です。縫いぐるみの玩具じゃありません。犬が広場を全力疾走する喜び、猫が地上を駆け回ってスズメやネズミやバッタを食べる楽しみ。
それを奪っていることは、相手が人間なら人権蹂躙の大罪に他なりません。それでもまだケージ飼いを続けたいのなら、せめて罪滅ぼしのつもりで毎日の運動励行を怠ることなかれ。
                                      2007/07/10 Dr.中島健次追記
 

 


尿石症(urolithiasis)とは、腎臓から尿管、膀胱、尿道にかけて尿路内に結石ができる病気です。
結石(stone)とは、尿路内に析出した多量の結晶(crystal)どうしが固まったり、結晶の周囲にカルシウムなどの尿成分が結合して形成されたものです(尿の中で出来る結石だから尿石)。

たとえば、骨組織から流出した燐酸アンモニウムマグネシウム塩がアルカリ性の尿中で析出した微小な結晶を三重燐酸結晶と呼び、アルカリ性の状態が長引いて肉眼で見える砂粒状の大きな結晶に発達したものを尿晶(struvite)と呼び、さらに尿がアルカリ性のまま持続した結果、尿晶の周囲にカルシウムなどが結合すると酸に溶けないストラバイト由来の結石になります。

尿石が停滞する場所により、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと呼ばれます。
尿石の表面が粗くてザラザラだと、尿路の粘膜を傷付けて炎症を起し、腹痛や血尿が出ます。
尿石や
尿晶が尿道を塞ぐと排尿困難(尿閉)となり、尿毒症で落命する危険性が高まります。 

日本獣医師会雑誌(平成14年1月号)の「小動物疾病発生状況(平成11年度)」によると、全国34のモニター病院が1年間に診療した小動物約7万頭(初めて来院した犬、猫、ハムスター、小鳥、兎、フェレット、モルモット、その他)のうち、尿石症の発病率が最も高かったのはです。
すなわち、診療した猫12,414頭のうち422頭(
3.4%)が尿石症でした(猫での発病頻度10位)。次がで24,455頭中243頭(1.0%、犬での発病頻度20位)、兎が402羽中2羽(0.5%)でした。

犬の尿石の大半が膀胱結石です。大きいものではピンポン玉くらいになります。結石が大きくなれば腹痛を起し、腹部触診によって膀胱内の結石を触知できます。大きな結晶であるストラバイトはX線フィルムに写りませんが、本物結石はX線を透過しないのでレントゲン写真に影が写ります。
尿路内の結石を溶かしてくれるクスリやサプリがあればよろしいのですが、あいにく人間の尿石でさえ開発されていません(三重燐酸結晶とストラバイトだけが酸性尿に溶けます)。
そのため、膀胱結石の場合、膀胱を切開して結石を摘出するしか方法がないのです。でも、手術をしたからもう安心できる、とはいえません。たいていの場合、膀胱結石を摘出しても、すぐまた結石の再形成が進みがちだからです。再発防止のためには、生活習慣の改善が不可欠です。

犬の尿石症の約70%がストラバイト(燐酸アンモニウムマグネシウムの結晶)に由来する膀胱結石だとされています。しかし、結石と言われている固形物の一部もは、まだ結石化していないストラバイト(尿晶)であることも稀でなく、これは尿を酸性化することによって溶かすことができます。
酸で溶けるストラバイトか、ストラバイトが結石化して酸には溶けなくなった本物の結石か、その出現比率は別にして、特に
多発が目立つ犬種は、快適な室内で暮らしているコーギー、ゴールデンレトリーバー、ラブラドール、パグ、シーズー、Mダックスフントなどです。
チワワやプードルなど元々の愛玩用お座敷犬がストラバイト由来の尿石症で苦しむなんて、めったにお目にかかれません。どうやら、雪の中でも平気で眠れる頑丈な犬を、快適な室内で寝かせるのがいけないようです。

次いで蓚酸カルシウム尿石が多く、犬の尿石症の約14%を占めます。このほか、尿酸アンモニウム尿石(約7%)、珪酸塩尿石(約3%)、シスチン尿石(約3%)などが知られておりますが、このホームページではストラバイト由来の膀胱結石と蓚酸カルシウム尿石に焦点を絞りました。
その訳は、単に両者の発病率が高いからというのではありません。実は余り知られていないようですが、両者が密接に関連していて尿のpH検査によって重要な情報が得られるからです。

本来なら狩猟犬、牧羊犬、警察犬として山野を敏捷に走り回れる頑強な犬たちを、安全で快適な室内に寝そべらせているから、ストラバイトの原料となる燐酸塩が尿に出てくるのです。どうぞ日当たりの良い広場で全力疾走させてあげてください。たっぷり運動して筋肉が疲労すれば、乳酸などの疲労物質が尿に出てくるので必ず尿pHが低下します。⇒室内暮らしのペットたち

寝そべって ばかりいるから骨が解け 燐の尿晶 尿路を塞ぐ

運動もさせずに尿の酸性化を望むのは感心できないのですが、飼い主さんの中には車椅子生活の方や出不精・閉じこもりの方もおられるでしょうから余り強くは申せません。その場合は次善の手段として、アルカリ性食品の野菜や果物(アルカリ性食品)を厳禁、生肉やモツ、手羽、魚(酸性食品)などによる肉食オンリーの食餌に徹していただくことをお勧めいたします。
なお、酸性食品・アルカリ性食品につきましては、拙著「
出てますか?弱酸性尿」(文芸社、2006年12月発行)に詳しく紹介しておきました。また、元の資料(南山堂、大正11年発行「内科診療の実際」より抜粋)を希望される方が多いので、お届けできるようにしております。

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